症例48

臨床所見

0歳11ヶ月 男性
要約)来院時心肺停止 病歴) 生来健康の児。在胎38週0日、予定帝王切開で出生。Apgar score 8(1分)/9(5分)。出生時体重2995g、伸長47.5cm、頭囲35.0cm。周産期に特記事項なし。既往症なし。 20時頃に授乳後入眠した。23時頃には寝息を立てて眠っていた。0時15分頃に50cmの高さのベッドから腹臥位で転落しているのを母が発見した。毛布が体に巻き付き、鼻口を含めて覆われている状態で、呼吸なくぐったりしていた。すぐに母により救急要請、0時17分に覚知、0時22分救急隊接触時心肺停止。胸骨圧迫、人工呼吸を行い、救急搬送となった。0時42分、病院収容、来院時心肺静止、呼吸なし。 死亡時間は発見時間0時15分。 3時0分 Ai-CT撮影。


画像所見


右主気管支内はCT値が25程度のものが充満し内腔が描出されなくなっている。


両側肺は背側肺の含気消失が認められる。

診断

  • 語られている死亡状況との照合について言及すると、うつぶせによる窒息事故であるということを示す所見はないが、その可能性を否定する所見も認められない。

解説

  • 撮影時、右主気管支内はCT値が25程度のものが充満し内腔が描出されなくなっている。気道分泌物、誤嚥などによる気管支内腔の消失を見ているものと思われる。
  • 両側肺は背側肺の含気消失が認められる。蘇生時、死後の含気消失の可能性が高いと考えるが、生前のものと区別は困難である。他の肺野は肺野条件での再構成がなく、概括的な評価に留まる。気管支血管束周囲の拡大がある。生前のものとの鑑別が付かないが、死戦期の急性左心不全や死後変化による浮腫の発生が考えやすいところである。post obstructive pulmonary edema と特に言いうる所見ではない。
  • 心大血管についてはきわめて概括的な評価に留まるが、大血管の奇形、分岐異常などは指摘できない。心内腔には fluid fluid level が生じており、急性死であったことを示唆する。病的意義はないが、大動脈管索の石灰化が認められる。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)