症例43

臨床所見

0歳1ヶ月 男性
要約) 双胎間輸血症候群受血児、胎児水腫、多臓器不全
病歴) 在胎27週2日、出生体重1550g、Apgarスコア2/1点、緊急帝王切開、一絨毛性二羊膜双胎第一子として出生。出生後NICUに入院。胎児水腫が著明であり、輸血、血液製剤等を繰り返し登用したが、血管内volumeの増加が見られず、高度の浮腫が続いた。カテコラミンや利尿剤を使用しながら治療したが反応は乏しく、死亡3週間前から無尿が続く。両親とICで看取りの方針として、20〇〇年4月5日午前2時39分 死亡確認。


画像所見


両側肩甲骨が外側上方に偏位


dystrophic calcification が生じている 。


心筋壁が広汎に石灰化を示しており、心筋壊死の存在を示す。


両側腎の著しい萎縮

診断

  • 広汎な心筋壊死の存在、脳幹部を含んだ嚢胞性脳軟化、両側腎の著しい萎縮、広汎な肝壊死の発生を示す形態などDIC等によって多臓器不全が発生したことを裏付ける画像所見が得られている。
  • 頸部では褐色脂肪細胞の壊死が見られ、長管骨の石灰化障害も明確に現れている。死因は心筋壊死による心不全が直接的なものであろうが、脳幹部を含めた広汎な脳障害、両側腎の強い萎縮なども生命維持が不可能となっていたことを示している。

解説

  • 胎児の受血側では、上半身の方が、低酸素の影響を受けて、成長障害や無心臓になるといわれており、上半身の石灰化が強いことに一致する。右腎は左腎より小さい。右腎に粗大な石灰化があることより、右腎の低形成があるかもしれない。逆に、左がのう胞状 に変性し、腫大している可能性もある。
  • 胎便と思われる高吸収が腸内にあり、下半身は相対的に成長しているようである。栄養障害により、全ての骨幹端の骨化不全が起きている(くる病ではなく、壊血病に使い状態で、石灰化は起きているが、骨化ができない状態である)。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)