症例40
臨床所見
3歳 女性
要約)20〇〇年5月末から嘔吐下痢が出現。嘔吐が続くため、6月11日に前医を受診。内服処方を受け外来通院をしていたが改善なく、15日入院。入院後傾眠傾向、上下肢の振戦が出現。17日精査目的にてCT施行したところ、5-6cmの頭蓋内腫瘤を認め、救急搬送、入院後脳ヘルニアによる呼吸停止を来たし、気管内挿管、人工呼吸器管理、緊急開頭ドレナージを施行。意識の改善なく、7月10日気管切開。16日より酸素化不良。17日午前0時12分死亡。
画像所見
右後頭近くのやや高吸収領域
小腸も拡張している。また、厚く、ケルクリングが消失し、浮腫があり、壁の吸収値も比較的高い。
診断
- 腸管のびまん性壁腫大、水濃度の内容物での充満は、終末期の低浸透圧の状態による二次的変化の可能性もあるが、当初の下痢嘔吐など腸管感染症の変化が持続し腸管分泌が亢進していた可能性もある。臨床的にも腸炎あり、Aiにても、腸間膜リンパ節が目立ち、小腸の浮腫がある。腸炎に関連し、脳炎、脳症となったものと思われる。
解説
- Ai-CTの撮影は、嘔吐、下痢出現から2ヶ月程度。傾眠傾向、上下肢振戦出現、脳ヘルニアから1ヶ月程度経過している。
- 臨床的脳死に相当する状態で生命維持は不可能になっていたと考えられる。本例は当初の脳障害が死因になったと考えられる。
- 当初の脳病変はAiCTからは推定が困難である。
担当者名
Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)