症例4

臨床所見

症例は50歳代男性。道路脇の雪山に乗り上げてた軽自動車内で、心肺停止状態で発見された。当院に救急搬送されたが、蘇生されずCTによるAiが施行された。


診断

上行大動脈解離、心タンポナーデ

画像所見

死後8分後の胸部CT。上行から下行大動脈にかけて、大動脈は変形し、内膜の偏位を認める。Stanford A型解離の所見である。また、心臓周囲には内側が高吸収で外側が低吸収となるような液貯留を認め、心タンポナーデと判断された。解離腔は胸部下行大動脈に留まり、腹部下行大動脈には解離腔は認められない。

ポイント

上行大動脈解離と心タンポナーデの所見を認めた場合、どちらの所見が死因となったのか判断しなくてはならない場合があるが、Shiotaniらによると、上行大動脈解離での死因の90%が心タンポナーデによると報告されている。本症例のように、心タンポナーデの内部が高吸収で、周囲が低吸収のようにみえる場合は“Hyperdense armored heart”と呼ばれ、高吸収部分は血球成分が主な成分であり、低吸収部分は血清成分を主に含んでいる。重力に従わない分布が特徴である。Shiotani et al.Radiet Med 22(6) 405-7 2004

担当者名

帯広厚生病院 放射線科
菊池穏香、佐藤幸彦、菊地慶介、真鍋徳子