症例39

臨床所見

1歳4ヶ月 女性
病歴)
201〇年〇月〇日21時20分頃自宅で就寝。同室内に父親、祖母がおり、23時頃寝息を確認。2月27日0時10分頃祖母が入浴を終えて寝室へ戻ると児が腹外で手足が冷たいことに気がついた。仰臥位にすると顔が紫色になっており、呼吸停止していた。祖母により胸骨圧迫が行われた。0時32分救急隊到着時、心肺停止、対光反射喪失、下顎硬直あり。気道確保困難。救急隊により胸骨圧迫、バックバルブマスクで換気。
1時18分〇〇病院へ搬送。左手背でライン確保。PH6.949 Pco2 134.9mmHg PO2 44.9mmHg Hco3 10.1mEg/L BE -32.4 Na 142 K 6.1 Cl 104 Ca 1.53 Glu 187 Lac 4.38 エピネフリンなど投与したが心拍再開せず、1:47 CPR中止、
1:53 死亡確認

既往歴)来院1ヶ月前から毎日後ろ向きに転倒していたと父親の話あり、来院時額部に2cm大の擦過傷あり
20〇〇年1月28日 殺鼠剤の誤嚥あり


画像所見


心大血管内の鋳型状凝血塊


肝臓の吸収値が、脾臓、心臓よりも高い。

診断

  • 外傷性変化なし。頭蓋内出血、骨折など虐待を疑わせる所見は認められない。
  • 気管支壁肥厚を伴って両側肺びまん性に、気管支血管束周囲から小葉中心部優位に認められる斑状の濃厚陰影は、死戦期の急性左心不全やpostobstructive pulmonary edemaの可能性の他に、生前からの感染など異常の存在を否定できず、非特異的ではあるが窒息や先行感染の可能性を示す。
  • 殺鼠剤による、肝障害、肝硬変や金属の集積の可能性はある。

解説

  • 殺鼠剤として使われるワーファリンには、重篤な肝障害という副作用がある。一月ほど前からの転倒は肝性脳症によるものかもしれない。殺鼠剤の種類やどの程度の量を誤嚥したかの確認が望ましい。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)