症例38

臨床所見

0歳4ヶ月 女性
要約)2016年2月19日午後7時30分頃、実母がベビーベッドに仰向けの姿勢で寝かしつけた。同日午後10時頃、ベビーベッド上で呼吸をしていないことに気づき、119番通報した。


画像所見


頭蓋の形状は舟状頭蓋。


心大血管内の鋳型状凝血塊


脂肪の沈着も大目。

診断

  • 頭部:頭蓋の形状は舟状頭蓋であり、前頭部が広く、眼窩にくらべて飛び出している、いわゆるfrontal bossingである。未熟児という履歴もないことから、巨頭による舟状頭蓋を疑う(早期産・低出生体重児の可能性を除外する必要あり)。縫合の早期癒合はない。
  • 心、大血管:明確な血管奇形は指摘できず。心大血管内の鋳型状凝血塊は、ある程度の死戦期があった可能性を示唆する。
  • 骨軟部:外傷性変化なし。骨の形態異常、骨系統疾患、代謝性疾患を疑わせる所見なし。

解説

  • 外傷性変化が認められないこと、出血性疾患がないこと、生命維持を困難とするような脳、気管・気管支、腹部臓器の異常がないこと、などが確認できたと思われる。
  • 骨変形は無いが、Sotos 症候群の様なovergrowth syndromeの可能性は考えられる。大腿骨骨頭の骨化も若干だが早そうである。また、脂肪の沈着も大目で、足は、ミシュランタイヤ児の様に段々になっている。頬の脂肪も多く、垂れ下がっている。
  • Sotos syndromeは違うが、多くのovergrowth syndromeはreceptor tyrosine kinase (RTK)/PI3K/AKT の異常があり、インシュリン レセプターの過剰出現があると言われているので、何らかの関連は有るかもしれない。それに関連してnesidioblastosisがあったとすれば、低血糖となった可能性が考えられる。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)