症例37

臨床所見

0歳7ヶ月 女性
要約)18トリソミー、VSD,PA banding, PDAbanding 術後
病歴)MD twinの第2子、FGRを指摘されていた。37w3d予定帝王切開で出生。1538g,AP5/7
低出生体重児のため、NICUに入院。Overlapping finger耳介低位あり。無呼吸が強く、日齢2-10挿管管理。染色体検査で18トリソミーモザイクと診断。VSDによる心不全あり、利尿剤投与でもコントロールできず、転院し、PA banding術施行。経口摂取と注入栄養を併用。生後3ヶ月で在宅移行。体重増加は緩やかだったが感冒や入院などもなく過ごしていた。〇月〇日17時頃からだっこしながら入眠。18時10分着替えさせようとしたときに呼吸をしていないことに気づき、救急要請。BLSしながら18:39病院着。
胸骨圧迫、挿管、人工呼吸器管理、骨髄から輸液、アドレナリン投与を行ったが、Asystoleのまま、反応なし、家族の到着を待ち、19時30分死亡確認。


画像所見


前後径が不釣り合いに長く、新生児期~乳児期早期に仰臥位で管理されていたことを示唆する。


後頭蓋窩後方の髄外腔の拡張あり、小脳半球は小さく18トリソミーの形態的特徴を示す。


肺の外套領域の含気はある程度保たれており、不完全なバタフライ陰影の状態で、心原性肺水腫と思われる。

診断

  • 出血などはない。心不全・心原性の肺水腫があったのではないかと思われる。
  • 小脳低形成など18トリソミーに整合する形態的特徴が見られる。
  • 特異的とまでは言えないが、後頭蓋窩の所見は18トリソミーの特徴的所見である。

解説


  • 線量不足!!
  • 腹部は0.5secスキャン、83mAと著しい低線量で撮影されています。肺内の空気とそれ以外がなんとか見分けられる程度で、腹部については読影不能だと思います。
  • 被ばくを気にしなくてもいい死後CTですから、体内脂肪が少なく生理的コントラストも低い、小さな幼児では少なくとも500~600mAs程度は入れていただいた方が、はるかに情報の豊かなCTとなると思われます。今後AiCTでは是非500~600mAs程度以上の高線量での撮影をお奨めします。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)