症例36

臨床所見

0歳 男性
要約)肺胞出血
病歴)胎児・胎盤機能不全のため、2015年6月24日に在胎26週3日、体重450g、緊急帝王切開で出生。人工呼吸管理、NICU管理。経過中、慢性肺疾患、未熟児同脈管開存症、肺高血圧症、未熟児網膜症を発症。ステロイド剤投与、インダシン静注、日齢4日より、経腸栄養開始。
日齢115日より急激な呼吸状態の悪化。人工呼吸管理再開。慢性肺疾患。肺高血圧症の悪化と診断。デキサメタゾンの投与、ミダゾラムによる鎮静、一酸化窒素吸入開始。呼吸状態改善。
日齢127日腸管ガス拡張像を認める。
日齢128日(10月30日)呼吸状態の悪化、肺出血と腹部の著明な膨満。14時心停止。
14時44分死亡確認。


画像所見

  • 全身の血管内の失血が著しく、著明な血管内ガスがある。画像から確認できないが、肺出血を来した出血点が気管(気道)血管瘻となり、大量の空気の血管内進入を生じたと思われる。出血による血圧低下、生前の持続的陽圧呼吸、蘇生時の陽圧呼吸などが大量の空気の進入を助長した要因となり得ると思われる。
  • 急変の原因は治療抵抗性となった肺高血圧症、心不全など様々考えられるが、空気塞栓は気道出血により進行していたと考えられる血行破綻を悪化させる要因となった可能性はありえると推測する。ただし新生児・乳児の蘇生後変化として著明な血管内ガスを見ることはまれではなく、本例の血管内ガスがどの程度急変時の状態を示しているか明確にはわからない。
  • 左ソケイヘルニアによる腸管拡張像

画像所見

  • 肺は強い過膨張を示す肺と器質化した無気肺が混在し、慢性肺疾患の典型的な像を示しており、血管床の異常が強く、血流改変により肺出血を起こりやすい状態であると推測される。
  • AiCTでは著明な血管内ガスが認められるが、蘇生術で通常認める以上の血管内ガス像であり、これは肺出血により気道血管瘻が生じ陽圧換気により進入したもので、本例の様な著明なものも新生児・乳児の蘇生後の変化としてみられることがあるものである。
  • 左ソケイヘルニアによる腸管拡張像

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)