症例34

臨床所見

0歳 男性
要約)〇年〇月〇日、12:30頃に破水感あり、安静にしていた。徐々に腹痛が増強したため、産婦人科へ連絡し、受診を指示されたが、間に合わず、自宅で児娩出となった。
CPR 120分
639gr (胎生24週の平均値をやや下回る)
死亡〇年〇月〇日 午後3時31分


画像所見

  • 脳室拡大なし。脳槽の描出に大きな異常なし。
  • 右前頭頭頂部に限局的な髄外の高吸収領域あり。架橋静脈に沿った出血や血栓に見える。
  • 頭蓋は前後径が不釣り合いに長く長頭傾向を示す。矢状縫合早期癒合なく、子宮内の姿位や圧迫が影響しているのではないかと思われる。
  • 縫合の部分での屈曲や骨重積も強く表れている。
  • 甲状腺は不明瞭。舌骨下に径3mm大の高吸収結節がある。
  • 胸腔内気管の弯曲強い(肺低形成の影響か)。撮影時は気管支内の含気はあるものの末梢の含気認められず。
  • 両側肺とも volume は非常に小さい。肺胞が開いておらず、肋間も狭く、全体にベル型をしている。
  • 両側腎は通常位置にあるが、腫大しており、内部の濃度は高低混在して不整になっている。腎盂は丸く拡大している。腎杯の拡張はみられない。まず常染色体劣性多嚢胞性腎は鑑別されるべき。
  • 肝臓は内部エコーが不均一。門脈周囲の低吸収が目立つ。周産期からのCaroli病や先天性肝線維症の合併はありえるのでその所見を見ているものかもしれない。
  • 結腸内の胎便は正常濃度。腸管の拡張や通過障害を疑わせる口径差はない。
  • 両側精巣が陰嚢内にありそう。
  • このCTで指摘できる脊椎の形成異常はない。
  • 多指症なし。amniotic band なし。

まとめ

肺低形成による呼吸不全

  • 尿減少→羊水過小→Potter sequenceに一致する。両側肺の容積減少が著しく、臨床診断にあるPotter sequenceに整合する所見が得られている。
  • 両側腎は腫大の内部の濃度不整、腎盂拡大が見られ、常染色体劣性多嚢胞腎などの、一連のCystic Renal Dysplasiaが鑑別にあがってくる。
  • 両側肺低形成以外には死因につながるような所見は指摘できない。
  • 右室肥大は、胎児循環のまま亡くなったからと考えられる。
  • 頭蓋には子宮内のcrowdingによると思われる長頭や側頭部の陥凹がみられる。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)