症例33

臨床所見

0歳 男性
要約)肺低形成による呼吸不全
病歴)胎児期より、羊水過小、著明な肺底形成、高度な腎肥大、腎盂の拡張を指摘されており、Potter sequenceを疑われていた。骨盤位であったが胎児適応の帝王切開は行わない方針で有り、骨盤位で経腟分娩で出生。蘇生措置は実施しない方針。出生後わずかに啼泣あったが仮死状態であり、保温とサクションの未実施、徐脈であったが1時間ほど両親と過ごし、〇年〇月〇日午後11時死亡確認に至った。


画像所見

  • 両側のシルビウス裂は形成されており、胎生25週相当と発育をしている。
  • 両側germinal matrixより出血、両側側脳室後角内に血腫が認められる。
  • 第3脳室、第4脳室内にも小さな血腫あり。
  • 胸郭入口部で気管内、左右主気管支内に低吸収の物質が気管内を充満。胎児肺胞液の可能性が高いと推測される。
  • 両側肺内は気管支系に沿って樹枝状に空気が認められる。末梢の含気は得られていない(肺胞はまだ充分に形成されていない)。肋間が開いていないことから、肺胞が開く前に亡くなったものと考えられる。サーファクタントが無く、肺胞が開かなかったものと考えられる。
  • 心臓の大きさは正常。心内腔に液面形成あり、急性死を示唆。
  • 胃泡の左外側に粗大な石灰化があり、肝左葉外側区にあるように見える。congenital infectionに関係する所見かもしれない。結腸内に胎便あり。
  • 子宮と思われる構造が骨盤内にあり、外表は男性器があるので、半陰陽と思われる。
  • 上腕骨幹端がやや吸収値が低いことから、母体内での栄養障害や胎児感染の可能性がある。
  • 両側頚肋あり。肋骨は左右12対。

画像所見のまとめ

  • 肺胞の拡張ができなかったことによる呼吸不全と考えられる。
  • 肝臓腫大や上腕骨の骨幹端の吸収値低下は先天感染の可能性を示すが、ホルモンに異常による代謝異常なども考えられる。
  • 半陰陽があるので、副腎酵素欠損症などの可能性がある。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)