症例31

臨床所見

0歳 男性
要約)先天異常(奇形症候群、臍帯ヘルニア)、染色体異常(13トリソミー)の疑い
病歴)早産極低出生体重児(在胎34週、出生時体重1335g、Apg3(心拍+1,筋緊張+1,呼吸+1)
、奇形症候群(口唇口蓋裂、多指、外性器異常、耳介低形成)、臍帯ヘルニア、心室中隔欠損症、脳梁欠損疑い、低血糖
胎児心拍異常のため緊急帝王切開で、出生。血性羊水、出生後啼泣なく、活気不良。HR 50-60でmask bag換気施行。生後7分からHR>100に上昇。FiO2 50%でなんとか酸素化保たれるが、努力呼吸。air入り不良、2.5mm挿管チューブで気管内挿管。サーファクタント1Vを3方向投与。腸管壊死が見られ、緊急手術の必要があったが13トリソミーなどの奇形症候群が疑われる旨説明したところ、手術の同意を得られず、看取りの方針。
午前3時20分死亡


診断

  • 腸回転異常、臍周囲での腸管の機械的通過障害、脳梁欠損/低形成など既知の病変が確認された。口唇口蓋裂 多指症、胸骨低形成(骨化核が少ない)があり、13トリソミーに一致する。
  • シルビウス裂周囲の脳回形成異常、脳幹部の低形成、肺動脈の狭窄などは可能性のある異常としてあげられる。
  • 血管内濃度が低く貧血の状態ではなかったか。
  • 肺の小葉間隔壁など間質の肥厚が目立つ。
  • 明確な死因は示されないが、間質性肺水腫相当の状態、肺血管の異常(疑い)、貧血(疑い)などが同時に作用すれば生命維持は困難になるものと思われる。腸管壊死による壊死物質の血管内流入や感染があればさらに状況が悪化すると思われる。

画像所見

  • 右後頭部平坦化、左前頭部の髄外腔開大がありあり、生前の頭位が右向き優位であったことを示唆。開大している左のシルビウス裂周囲の脳回は表面が不整の印象を受ける。Polymicrogyria など皮質形成異常の可能性が考えられる。
  • 脳梁低形成あるいは欠損脳梁膝部は存在するかもしれない。
  • Dandy-Walker variantなど小脳虫部の低形成。
  • 第四脳室前縁が前方凸で脳幹部低形成の可能性を示す。
  • 硬口蓋が確認できない。口唇口蓋裂があるよう。
  • 肺動脈は細い印象を受ける。右室の心筋の厚みが大きいことと併せて肺動脈の形成に異常を疑う。肺動脈狭窄疑いとすると、病歴から心室中隔欠損があるので、大動脈騎乗は評価しにくいが、ファロー四徴症があった可能性がある。
  • 直腸内に高吸収の胎便あり。口側に辿って行くと結腸は後腹膜に固定されず左腹部に蛇行して存在し、腸固定異常(腸回転異常)の存在を示唆する。臍帯ヘルニアとの情報に整合する。腹腔の右側には小腸が多く、腸回転異常に整合する。中腸軸捻は存在しない。
  • 臍帯内に連続する腸管の拡張があり周囲との不均衡が著しく通過障害の存在を示している
  • 多指症、胸骨低形成。
  • 第9胸椎にsagittal cleftあり

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)