症例30

臨床所見

13歳 男性
要約)縊頚
病歴)
〇月〇日 18時15分頃 最終生存確認
18時50分 学校で首をつっているのを発見。学校職員にてCPR開始。
19時00分 救急隊到着時PEA、CPR継続、ライン確保、アドレナリン投与
19時26分 病院着PEA
気管内挿管時、挿管後、口腔内、気管内から多量の新鮮血の出血あり。その他には体表からの出血を認めなかった。


診断

  • 縊頚による自殺として矛盾しない。縊頚による環軸関節回旋固定と肺水腫が認められる。

画像所見

  • 骨折なし。頭蓋内に外傷性変化なし。
  • 白質/灰白質境界不明瞭化、静脈洞高吸収化、脳溝不明瞭化あり(これらは死後変化だが、救急外来に心肺停止状態で搬送、蘇生術を施行されるも死亡した患者の死後CTよりも目立ち、死後経過時間が長かったことを示唆する)。
  • 前頚部皮膚表面に索溝がある。舌骨骨折はない。
  • 頚椎骨折はないが、環軸回旋固定、顎二腹筋の前腹が舌骨と共に左にシフトしている。
  • 左腕頭静脈内にガス粒あり(輸液の空気混入、蘇生術後変化)。食道内液体貯留あり(蘇生術に伴う胃内容逆流)。肋骨骨折なし。外傷性変化なし。
  • 左室心筋は厚くなっている(死後硬直に相当)。
  • 胸腺残存、女性化乳房あり(最大でも2cm以下で思春期の一過性男性乳房腫大と考えられる大きさ。)。
  • 両肺にスリガラス様陰影、浸潤影がモザイク状に広範に広がっている。われわれの経験ではこの所見は縊頚症例で典型的に認め、肺水腫に相当する。気道内にも浸出物が逆流していたことを予想するが、現病歴で‘気管内挿管時、挿管後、口腔内、気管内から多量の新鮮血の出血あり’との記載があり、挿管前後で吸引されたためか気道内液体貯留は認めない。
  • 腹部外傷なし。
  • 肝臓、胆嚢、膵臓、副腎、腎臓、膀胱、前立腺は特記事項なし。脾臓に低吸収結節があり、リンパ管腫/血管腫が考えやすい。リンパ節腫大なし。
  • 胃拡張あり(バッグバルブマスク換気による消化管への空気注入による)。便秘あり。
  • 四肢外傷なし。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)