症例25

臨床所見

10歳5ヶ月 女性
病歴)
11:30頃 母親が布団の上で仰臥位で寝ていたことを確認し、別室に移動した。
11:45頃 再度訪室すると腹臥位になっており、呼吸停止であった。両親が心肺蘇生を行いながら
11:48 救急車要請
12:01 現着CPA
12:10 病院着、静脈ライン、骨髄ルート確保。生食ボーラス。エピネフリン投与したが、心拍再開せず。
12:45 死亡 異状死として警察に連絡。
既往歴)在胎25W, BW668gで出生。◯◯病院NICUで長期入院。発達障害あり。


診断

  • 急性膵炎を疑う所見があり、腸間膜リンパ節腫脹も認められる。しかし、腸炎の所見はない。コクサッキーB群ウイルス,サイトメガロウイルス、ムンプスウイルスなどが考えられる。
  • 肺に浮腫と肺胞の含気低下が混在している所見は、生前の誤嚥性肺炎、肺感染症などの存在、うつ伏せによる低換気などの死亡に関連する事象が存在していた可能性を示す。
  • 脳幹被蓋部のvolumeが少ない印象で、呼吸・嚥下調節の異常の存在がなかったかどうか懸念される。

画像所見

  • 頭は長頭。未熟児の影響。両側大脳半球の白質のボリュームはやや少ない。GA25wということであれば、臨床的に顕在化したPVLでなくても白質のボリューム減少。脳幹被蓋部のボリュームも少ない。
  • 中咽頭に異物あり、挿管による脱落した歯かもしれないが、この部分のデータが欠落している部分もあるので、頭蓋底から、胸郭入口までの撮影が不十分である。
  • 舌骨の骨折はない。気道は亜区域枝レベルまで明瞭に内腔が描出される。
  • 気管支血管束周囲の拡大、すりガラス状の透過性低下、末梢の肺胞隔壁の顕在化も認められる。1)生前の嚥下性肺炎(無気肺)、2) 直近での肺感染症、3) 腹臥位で窒息に近い状態となったのであれば窒息性の肺水腫、4) 死線期の急性心不全 などの可能性が考えられるが確定は不可能。
  • 肝臓は、右腎より下まであり、軽度肝腫大。
  • 膵臓周囲に毛羽立ちと腸間膜リンパ節の腫脹が目立つ。膵炎があった可能性がある。
  • 上行結腸の腹側に液体貯留が広がっており、膵液の可能性がある。
  • 左右横隔膜下に液体貯留あり。周囲より吸収値は低い、吸収値30-40HUほどで、出血ではないようである。膵液ではないかと思われる。
  • 胃内の食物はほとんどない。朝食は採れていたのか?
  • 膣内空気 理由は不明
  • 右腎萎縮あり。
  • 骨塩濃度の低下、筋肉量の減少あり。骨盤から大腿の筋肉が委縮気味であり、麻痺があったのではないかと思われる。
  • 椎体(矢状断で)は上下方向に長く、いわゆる tall vertebra で出生時より長期臥床状態にあることを示唆する。

担当者名

Ai情報センター(小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業登録症例)