症例20

臨床所見

身元不明の70代男性。路上で心肺停止の状態で発見され当院へ搬送された。蘇生術に反応なく死亡された。体表に明らかな外傷は指摘できなかった。


診断

心タンポナーデによる死亡

画像所見

図a,b)心腔内に淡い高吸収を呈する液体が認められ血性と思われる。心タンポナーデによる死亡と思われた。CT上も骨折、皮下血腫などの明らかな外傷を示唆する所見は指摘できなかった。

ポイント

心嚢液が高吸収を呈し血性であり心タンポナーデであることは判断できるが、出血の原因は同定出来なかった。本例では明らかな外傷を示唆する所見は指摘できなかったが、胸部鈍的外傷の約2ヶ月後に心破裂を生じた症例の報告1)もあり、診断は慎重にあるべきと考えられる。警察検案症例となった。

1.Ueda S,Ito Y,Konnai T,et al.: Delayed cardiac rupture occurring two months after blunt chest trauma. Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2011,59(1):45-7

担当者名

亀田総合病院
伊藤憲佐 梶川奈都子 葛西猛