身元不明の70代男性。路上で心肺停止の状態で発見され当院へ搬送された。蘇生術に反応なく死亡された。体表に明らかな外傷は指摘できなかった。
心タンポナーデによる死亡
心嚢液が高吸収を呈し血性であり心タンポナーデであることは判断できるが、出血の原因は同定出来なかった。本例では明らかな外傷を示唆する所見は指摘できなかったが、胸部鈍的外傷の約2ヶ月後に心破裂を生じた症例の報告1)もあり、診断は慎重にあるべきと考えられる。警察検案症例となった。
1.Ueda S,Ito Y,Konnai T,et al.: Delayed cardiac rupture occurring two months after blunt chest trauma. Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2011,59(1):45-7
亀田総合病院
伊藤憲佐 梶川奈都子 葛西猛