症例18

臨床所見

慢性心疾患のある80第男性。数日前より食欲低下と息切れがあった。自室にて意識消失している所を家人が発見し救急要請。救急隊接触時、心肺停止の状態であり蘇生術施行しつつ当院へ搬送されたが反応なく死亡された。


診断

慢性心不全患者の突然死

画像所見

死後約3時間でのCT。図a)右中大脳動脈に高吸収化が認められる。図b)右側頭葉に軽度の皮質・白質境界の不鮮明化とわずかな低吸収化が認められる。図c)両側胸水貯留と心拡大が認められる。基礎に鬱血性心不全があり脳梗塞を発症し神経原性肺水腫を合併し低酸素血症が死因の可能性があると考えられた。

ポイント

脳梗塞超急性期の所見として中大脳動脈の高吸収 (hyperdense MCA sign)1)、初期虚血所見 (early CT sign; 皮質・白質の不鮮明化、脳溝の狭小化・消失など)が認められる。これは生存症例の診断と変らない。

1.Tomura N,Uemura K,Inugami A,et al.: Early CT finding in cerebral infarction: obscuration of the lentiform nucleus. Radiology 1988 168(2):463-7

担当者名

亀田総合病院
伊藤憲佐 野田剛 葛西猛