症例15

臨床所見

70代女性。訊ねてきた親族が自宅で倒れている本人を発見し救急要請する。救急隊接触時、心肺停止状態であり蘇生術開始しつつ搬送された。蘇生術に反応なく死亡確認となった。


診断

大動脈解離

画像所見

図a)虚脱した上行大動脈の内壁が認められる。図b)淡い高吸収を呈する心嚢液が認められ血性と思われ心タンポナーデと思われる。図c)上行大動脈壁に沿う淡い高吸収帯が認められ解離腔と思われる。上行大動脈解離、Stanford type Aおよび心タンポナーデと考えられた。

ポイント

大動脈壁は死後変化として高吸収化する事1)が知られている。これを手掛りに動脈壁を追跡すると診断できると思われる。心嚢液に限らず液体貯留が認められた場合、血性の可能性に注意する必要がある。

1.Shiotani S,Kohno M,Ohashi N,et al.: Hyperattenuating aortic wall on postmortem computed tomography (PMCT). Radiat Med. 2002,20(4):201-6

担当者名

亀田総合病院
伊藤憲佐 野田剛 葛西猛