症例13

臨床所見

既往歴不明の70代男性。リゾートマンションの大浴場にて浴槽に顔を浸けて浮いている所を発見され救急要請。救急隊接触時心肺停止の状態であった。蘇生術施行しつつ当院へ搬送されたが反応なく死亡された。


診断

入浴中の事故(脳梗塞の可能性がある)

画像所見

死後約3時間のCT。図a)肺野にはスリ硝子影は認められず粒状影が主体であった。図b)両側上顎洞に少量の液体貯留が認められる。図c)右橋部に淡い低吸収が認められ脳梗塞を示唆する可能性があると考えられた。

ポイント

入浴中の事故として虚血性心疾患や脳血管障害が多い事が報告1)されている。超急性期脳梗塞のCTでの感度は約40%との報告もあり注意を要する。本例では撮影までの時間が約3時間と短く脳梗塞と断定して良いか疑問が残る。

1.舟山眞人,山口吉嗣: 高齢者の入浴中の死亡. 保健婦雑誌 1990,46:54-59
2.Mullins ME,Schaefer PW,Sorensen AG,et al.: CT and conventional and diffusion-weighted MR imaging in acute stroke: study in 691 patients at presentation to the emergency department. Radiology 2002 224(2):353-60.

担当者名

亀田総合病院
伊藤憲佐 野田剛 葛西猛