症例12

臨床所見

高血圧症のある70代男性。自宅浴槽内に顔まで湯に浸かった状態で意識を消失している所を家族に発見され、救急要請。救急隊接触時、心肺停止の状態であった。蘇生術開始しつつ当院へ搬送されるが、反応なく死亡された。


診断

浴室内突然死(溺水の所見はあるがその原因は不明)

画像所見

図a,b)右下葉に浸潤影が認められ、肺野には広汎なスリ硝子影が認められる。基礎の肺野には肺気腫が認められる。図c)左上顎洞・蝶形骨洞に液体貯留が認められる。肺所見と合せ、溺水を示唆する所見と考えられる。溺水の原因は指摘できなかった。

ポイント

浴室内突然死は人口10万人あたり年間約11.7人と推定される1)。溺水症例にて副鼻腔の液体貯留・肺野のスリ硝子影は全例で認められるが、乳突蜂巣の液体貯留は浴槽での発見例では4例中3例で認められないという報告2)がある。死後CT検査では約半数に溺水の所見があるとされる1)。

1.永原陽介,林敬人,吾郷一利ら: 2010年における鹿児島県の浴室内突然死例の検討 各環境気温、日内及び前日との気温差との関係について. 鹿児島大学医学雑誌 2011,63(2);23-30.
2.新川慶明,新川仁奈子,陣内崇ら: 溺死における死後CT所見の検討.オートプシー・イメージング学会誌 2009,6(1);10.

担当者名

亀田総合病院
伊藤憲佐 野田剛 葛西猛