未治療の早期胃癌・慢性腎不全・心房細動がある70代男性。突然の腹痛・下血が出現したため救急要請。来院時、血圧測定不能のショック・右心負荷・低酸素血症が認められた。下血からの出血性ショックが考えられ輸液・昇圧剤開始するが死亡された。
腹痛・下血後ショックとなり死亡した症例
CT上血栓は高吸収・低吸収のどちらも呈する場合があり慎重に判断する必要がある。担癌患者に後天性凝固異常が生じることが知られている1)。脳塞栓症を発症することもありTrousseau症候群として知られている。本症例では動脈系・静脈系にそれぞれ血栓の存在が疑われ、凝固異常が基礎にある可能性が示唆された。
1.Thrumurthy SG,Anuruddha AH,De Zoysa MI,et al.: Unexpected outcome from Trousseau syndrome. BMC Surg. 2011 6;11:1
亀田総合病院
伊藤憲佐 中山恵美子 葛西猛