80代男性。22時最終安否確認。0時に家族によってCPA状態で発見される。当院に救急搬送され、蘇生処置を行うも永眠される。家族の承諾ののちAiを施行した。解剖は行われていない。
大動脈解離
頭部:特に所見はなし。 肺野:特に所見なし。
胸部:大量の胸水を認めた。胸水の濃度は高く(CT値:45HU)、血性が疑われた。下行大動脈にはフラップを疑う所見を認めた(矢印→)。心臓は虚脱していたが、心嚢液は認められなかった。
腹部:特に所見なし。
以上より、解剖は行われなかったがAiの所見より胸部大動脈解離の破裂が死因であると推定された。
大量の血胸が認められた場合、死因はとしては大動脈瘤、解離、内胸動脈などの動脈からの出血が考えられる。瘤を認めた場合は動脈瘤破裂、本症例のようにフラップを認めた場合は解離と確定できる。フラップは単純CTでは認められないこともあるため、確定させるためには造影CT、MRIが必要となる。
社会医療法人財団池友会 新小文字病院
萩田 智明(1) 小笠原 伸彦(2) 長嶺 貴一(3)
(1)放射線科 診療放射線技師 (2)放射線科 (3)ER・外傷センター