夾雑物の基準が新薬とジェネリック医薬品で異なる

夾雑物の基準が新薬とジェネリック医薬品で異なる

医薬品の品質の基準は新薬とジェネリック医薬品で同一でなかったのか

「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会」(代表理事 武藤 正樹)が2018.11.7に発表した声明文によると、

http://u0u1.net/Njnu

化学合成される原薬中における有機不純物の管理に関しては、ICHQ3A ガイドラインが平成9 年4 月以後に製造承認申請された新有効成分含有医薬品に適用され、その後、ジェネリック医薬品への適用が推奨されてきた

とあります。新薬には「適用」で、ジェネリック医薬品は「適用が推奨」です。さらに、DNA 反応性(変異原性)不純物についてのガイドラインについて、新薬では準拠することが求められるのに対し、ジェネリック医薬品については

新薬にとどまらず、既存薬やジェネリック医薬品などにもより広く適用する方策を探ること

としています。「適用する方策を探る事、」つまり、現在は適用外だという事です。私は不勉強ながら、こうした基準が異なるとは認識していませんでした。

これは、2018年にとある降圧薬のジェネリック医薬品で発がん性物質「N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)」の混入が発覚し、流通していた医薬品の回収が実施されたことを受けての声明文ですが、この声明文を読むと、新薬では満たすべきとされる基準を、ジェネリック医薬品は満たすことが求められていない事が解ります。新薬のほうは、平成9年4月以降に製造承認申請された新有効成分含有医薬品、で基準を満たすことが求められているという事です。概ねここ20年近い期間に市場に出てきた医薬品という事になりますから、「ごく最近の医薬品」ばかりではなさそうです。

ジェネリック医薬品を推奨する立場の安全性についての説明

ジェネリック医薬品について厚生労働省の作成した資料では、

先発医薬品と同一の有効成分を同一量含み、同一経路から投与する製剤で、効能・効果、用法・用量が原則的に同一であり、先発医薬品と同等の臨床効果・作用が得られる医薬品

の様に説明しています。安全性が同等だとは私には読めません。なぜならば、安全性の問題は夾雑物によって引き起こされる場合もあるからです。ですので有効成分が同一であることが、安全性の同一性を担保する根拠に必ずしもならなりません。つまり、ここで述べている「臨床効果・作用」は有効性に焦点を当てて述べていると理解できます。

一方、日本ジェネリック製薬協会のホームページではジェネリック医薬品の事を

新薬と同じ有効成分を同じ量含有し、効き目も安全性も同等なおくすりです。

の様に「安全性」も同等だと主張しています。厚生労働省の主張と温度差を感じます。「安全性」を同等だと主張する、根拠と言える部分は次の様に記述されています。

ジェネリック医薬品は、主に「規格及び試験方法」、「安定性試験」、「生物学的同等性試験」の項目で承認審査され、これらの内容が先発医薬品と同等であることを示すことによって、有効性・安全性に問題がないことが確認され承認されます。

これらの審査対象の項目は安全性に問題がないことを確認できるような試験でしょうか?夾雑物を含め「製剤として」ヒトでの安全性を確認できる試験とは考え難いです。

https://www.jga.gr.jp/index.html


2018年11月12日追記:発がん性物質に関する管理指標の設定についての通知が発出されました。

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