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フッ素による虫歯予防に関する一つの考え方

(〜大西正男名誉教授) フッ素を水道水に加えたとき、斑状菌のほかに現われる危険な慢性あるいは 特殊な中毒症状として挙げられているものを列挙してみますと、以下のように なります。 一、化骨が遅れ、骨質が弱くなる。 二、甲状腺の働きが低下する。 三、フッ素アレルギー。 四、染色体傷害。 五、高齢者癌死亡率の増大等。 どれひとつをとっても重大な問題ですが、 これら危険信号の現われる機構と日本での再現性に関する研究がほとんど行な われていません。フッ素の利用に関しては、慎重な態度で臨まなければなりま せん。フッ素溶液でうがいをするにしても、高濃度で長い時間ですと、口の粘 膜から吸収されるので危険視する人がいます。このような問題も含めて慎重で ありたいと思います。(略)  フッ素を水道水に加えたとき最も抑制できた虫歯は醗酵性酸蝕症です。 抑制率はニュージーランドの例で約90%です。そして日本に多い溝と凹みの 歯炎には効果が弱く、歯の間の歯炎に対する効果は中間です。水道水のフッ素 化が奏効したという国はすべて欧州や米国で、それらの国は歯炎だけでなく醗 酵性酸蝕症の多い地方です。これが日本やアジア諸国でフッ化物を水道水に加 えるときの迷いのひとつです。 (虫歯についての基礎知識、講談社学術文庫、1978より。 大西先生は東京医科歯科大学歯学部予防歯科教授を経て、現在同大学名誉教授)
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