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フッ素研究会目次に戻る (案) 厚生大臣 宮 下 創 平 殿 健康政策局長 小林英資殿 生活衛生局長 小野昭雄殿 日本フッ素研究会 会長 高 橋 晄 正 前書き 虫歯予防を目的とする水道水フッ素化(1ppm)は、1945年にアメリカ歯学の提唱 のもと、WHOを通じて世界に普及されてきた。以来半世紀を経過し、合衆国ばかりでな く世界各国で水道水フッ素化をはじめ、種々の方法で虫歯予防へのフッ素応用が実施され ているが、その結果、斑状歯等、様々なフッ素中毒による健康被害が起きる事が明らかに なってきた。 フッ素化開始後間もなくヨーロッパ諸国の大部分は、その医学的根拠が明確でないとの 理由等で水道水フッ素化を中止した。また中国広州市は、18年間におよぶ水道水フッ素 化によって過半数に及ぶ子供たちに斑状歯が発症した事実から、フッ素化による虫歯予防 を「多害少利」(利益は少なく、害が多い)と総括して、1983年9月26日に中止し た(資料16.p169)。さらにソヴィエト連邦レニングラード市やチェコスロバキア のプラハ市も中止するに至った。 一方、我が国ではマッカーサー司令部による水道水フッ素化の指示がなされ、京都市山 科地区(資料16.p166)、三重県朝日村、返還前の沖縄県の一部である期間、実験 的に行われたが、火山国で高濃度のフッ素を含む河川水が多いとの理由で、全国的な水道 水フッ素化は受け入れなかった。その代替としてフッ素塗布、フッ素洗口、歯みがき剤へ のフッ素添加などがフッ素応用法として採用され、今日に至っている。 アメリカ合衆国は、これまで一貫して「フッ素は安全・有効」と主張してきたが、全米 毒性プログラム(NTP)でのラット実験で骨肉腫の発生が見られたのち(資料1、p3 6)、1991年にタイトルを「フッ素研究・効用と危険」とした冊子(略称Ad Hoc レポート、資料1)を発行、その勧告(資料1、p47−48)の中で、フッ素の発ガン 性、母体安全限界に関する研究の不十分性を指摘するなど、従来の主張を一変させている。 また1994年のWHOの「テクニカルレポート846」は、その本文1−2頁に「あ る程度の歯のフッ素症が増加することなく効果的な虫歯予防を行うことは不可能であるこ とを経験は示している…このことは低いレベルのフッ素を使用してもある程度の歯のフッ 素症は必ず起こることを意味している」(資料、4−1)と、フッ素を使った虫歯予防法 には、ある程度の効果は認められるにしても歯のフッ素症すなわち斑状歯の発症は避けら れないことを明言している。 1981年創立の日本フッ素研究会(創立者 東京医科歯科大学柳沢文徳教授)は、フ ッ素によるむし歯予防の効用と害作用に関する研究を開始し、その成果を機関紙「フッ素 研究」No,1〜17に発表し、我が国で予想されるフッ素による健康被害を防止するた めに問題を提起し注意をうながしてきた。 当研究会は、むし歯予防へのフッ素応用によって生じるであろう斑状歯ならびに全身的 健康被害を危惧しており、とくに安全域の狭い、桁違いに高濃度の劇物フッ化ナトリウム の局所使用を規制することで、予想される被害を未然に防止したいと強く望んでいる。 一方、アメリカ合衆国では、1995年にクリントン大統領が行政法規の頁ごとの総点検 を指示したこと(資料、2)を受け、FDA(食品医薬品局)は1997年にすべてのフ ッ素入り歯みがき剤(塗布用ゲル、練り歯みがき、粉末)および洗口剤、予防的治療用ゲ ルに対して後に述べるような「警告」をラベルに記載することを義務づけている(資料、 3)。 このように、フッ素によるむし歯予防をめぐる世界情勢はここ数年の間に大きくその動 向を変えていることに注目すべきである。 ここに政府は、速やかにWHO「テクニカルレポート846」(1994)の結論ないし 勧告(資料、4−1〜4)ならびにアメリカ合衆国FDA(食品医薬品局)の行政指導(資 料、3)を参考にして、早急にむし歯予防へのフッ素政策の見直しと改善を計るよう申し 入れるものである。 要望事項1、フッ素入り歯みがき剤について 1.フッ素入り歯みがき剤について、下記の注意書きを入れるよう、歯みがき剤製造会社 に行政指導されたい。 (1)「子供の手の届かない所に置くこと。誤って歯磨きに使うよりも多量の歯みがき剤を 飲み込んだ時には、直ちに医者に行くか中毒管理センターに連絡すること」 (資料、3、FDA)。 [注:我が国では、このような注意は義務づけられていない] (2) 「飲み込まないこと。6歳以下の子供には豆粒大の量で。子供が歯磨きするときには 歯みがき剤を飲み込まないように必ず大人が監視すること」(資料4、WHO) [注:この要望事項は、本会が6歳以上の子供のフッ素入り歯磨き剤の使用を認めて いることを示すものではない] [注:我が国ではこれまで「医薬部外品」であった歯科用フッ素が「歯科用歯磨剤」 (1996)と規定されたのは、フッ素による骨肉腫発生報告(資料15、p143 −154、資料11、1991)以後のことである(資料5)] 付言 1.フッ素入り歯みがき剤についてアメリカ合衆国では、水道水のフッ素化がなされて ない地域でも斑状歯の増加が報告されている。1991年2月合衆国厚生省公衆衛 生局 Ad Hoc委員会の報告書(資料1、p51−62)は、フッ素入り歯みがき 剤も斑状歯の増加に寄与していると報告している。 (1) 合衆国では、1991年ころ歯科医師会で作られたという「飲み込まないこと。 6歳以下の子供には豆粒大の量で。子供が歯磨きするときには歯みがき剤を飲み込ま ないように必ず大人が監視すること」との警告文が付けられている。 (2)1997年4月1日発行のFDAの「Code of federal regulations」(資料3)では、 警告として全てのフッ素入り歯みがき剤(ゲル、ペースト、粉)と洗口剤ならびに虫歯 予防ゲル薬剤に、以下の警告文を掲載することを義務づけている。 「子供の手の届かない所に置くこと。誤って歯磨きに使うよりも多量の歯みがき剤 を飲み込んだ時には、直ちに医者に行くか中毒管理センターに連絡すること」。 要望事項2 フッ素洗口について 1.フッ素洗口については、WHO 『テクニカル・レポート 846』(1994) 12.5(33頁);12.6(31頁)で「6歳未満の子供では非推薦・禁忌であ る」ことを指針にしていることを、地方自治体を通じ全国民に衆知させること。日本 歯科医師会には、この勧告に従うよう指導すること。 2.アメリカのFDA(食品医薬品局)では「誤って洗口で用いられるよりも多量の洗口 液を飲み込んだ時には、直ちに医者に行くか中毒管理センターに連絡すること」。と いう警告を洗口液のラベルに記載するよう規定されていること(資料3)を製剤関係 者に行政指導をする一方、日本歯科医師会にはこの事実に注意するよう指導し、また 洗口を指導する歯科医師(我が国では学校当局)はこのことを児童・生徒の家族に知 らせた上で同意を得るよう指導すること(インフォームドコンセント)。 [注:我が国では、現在、年齢規制がなく、幼稚園や保育園でも実施されていること は大きな問題である。なお、この要望事項は、本会が6歳以上の子供のフッ素洗口を 認めていることを示すものではない] [注:我が国でフッ素洗口指針を定めた「歯科保健指導の手引き」(資料6)(1990) は、15〜16歳の男子でフッ素による骨肉腫が数倍に増加することが報告される 1992年(資料11)以前のことである] 付言 フッ素洗口については、アメリカ歯科医師会雑誌(JADA)106巻.1983、 629(資料7)で、「洗口液の誤飲量は幼い子供ほど多く、3−5歳では洗口液 を誤飲する量の割合が有意に高く、何人かは全量誤飲している」とある。 要望事項3 フッ素塗布について フッ素塗布については、下記3点の情報を、地方自治体を通じ全国民に周知されたい。 また日本歯科医師会等の関連団体に同様の情報を周知徹底されたい。 (1)8歳未満の子供には勧められない(資料4、WHO)。 [注:我が国では、1歳児から実施がのぞまれる、としている] (2)その適応は、(a)矯正治療をしている子供(b)顔の付近の放射線治療をして唾液 の出にくい子供の二者に限定して使用を可としている(資料4、WHO)。 [注1:現行実施要領では、適応症の規制がない(資料8、厚生省)] (3)「誤って塗布で用いられるよりも多量の塗布液を飲み込んだ時には、直ちに医者に 行くか中毒管理センターに連絡すること」。という警告を塗布液のラベルに記載す るよう規定されていること(資料3)を製剤関係者に行政指導をする一方、日本歯 科医師会にはこの事実に注意するよう指導し、また洗口を指導する歯科医師(我が 国では学校当局)はこのことを児童・生徒の家族に知らせた上で同意を得るよう指 導すること(インフォームドコンセント)。 [注:我が国では1996年に弗化物歯面塗布実施要領(1966)が制定されて いるが、15〜16歳の男子でフッ素による骨肉腫が数倍に増加することが報告さ れる1992年(資料11)以前のことである] 付言 フッ素塗布については、WHOは資料を示していないが、濃度300または500ppm 以上のフッ素塗布が、歯のエナメル質を溶解するという論文がある(資料9、10)。 要望事項4 フッ素の全身影響について フッ素の摂取によるダウン症(染色体異常による先天性智恵遅れ、資料13)、骨折(資 料12)、ガンの増加(資料11,14,16p.143−154)、脳へのフッ素の蓄積 による知能への影響(資料)など、新たな問題について以下の事項を要望する。 1.フッ素応用の賛否両論の学識者による医科系・歯科系別に同数、審議会を設置するこ と。 審議事項 (1) フッ素の摂取による重大な全身影響の多面化に鑑み、フッ素によるむし歯予防政策の 全面的再検討をおこなうこと。 (2)フッ素の水質基準は現在0.8ppmとなっているが、設定後に発表された多数の文 献および上記の状況に鑑み、早急に再検討をおこなうこと。 [注:我が国で水質基準を0.8ppmとしたのは、1952年に京都大学美濃口教 授が山科で水道水フッ素化実験をおこなったとき、アメリカの至適濃度1ppmを我 が国の国状を考慮して少し下げたという非科学的なものであるといわれる。 しかし、我が国では、0.6ppm(山科)、0.4〜0.5ppm(宝塚)でも 斑状歯が多発しており、また全国17地区(浅野、藤)、および中国のデータ(秋庭、 小泉)で、飲料水のフッ素濃度が低くても斑状歯の率が著しく高いことが報告されて いる(資料17、p166−169)。] 2.フッ素塗布については、WHOは資料を示していないが、濃度300または500ppm 以上のフッ素塗布が、歯のエナメル質を溶解するという論文がある。 3.むし歯予防へのフッ素応用の見直しの資料として、最近発行された総説的資料を提 出する。

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フッ素研究会目次に戻る 資料 1.アメリカ厚生省・公衆衛生局「フッ化物展望:効用と危険」(Ad-Hocレポート 1991)日本フッ素研究会 高橋、秋庭、成田(抄訳)「フッ素研究」17:16− 49,1997 2.クリントン大統領:規制の再編統合化、1995「フッ素研究」(1997)、17. p 59 3.FDA§355.50 Labelling of Anticaries drug prpduct,1997(秋庭:FDA によるフッ素入り歯磨剤ラベルの規制「フッ素研究」(1997)17,(56−59 頁) 4―1.WHO『テクニカル・レポート846』(1994)の本文1−2頁 4−2.WHO『テクニカル・レポート846』(1994)11.3(28頁); 11.7(29頁) 4−3.WHO『テクニカル・レポート 846』(1994)12.2(31頁) 4−4.WHO『テクニカル・レポート846』(1994),12.5(32頁) 12.6(33頁) 5. 厚生省:「薬用歯みがき剤製造(輸入)承認基準」(1996) 6. 厚生省:「歯科保健指導の手引き」(1990)―フッ素洗口について 7. アメリカ歯科医師会雑誌(JADA)106;629,1983 8. 厚生省:「弗化物歯面塗布実施要領」(医発第537号の2,昭和41年) 9. 日本口腔衛生学会フッ素研究会(可児瑞夫委員長):口腔保健のためのフッ化物応 用ガイドブック、p。89−93,1994[フッ化物歯面塗布法] 10.ラルセン、M.J.ほか:歯牙エナメルおよびブルシャイトの溶解性に関連するフ ッ化カルシウムのイニシェーションについての実験、Arch.Biology,39(1):23− 27,1994 11.コーン,P.:飲料水のフッ素化と少年男子における骨肉腫の発生率の関連性につ いての報告趣旨、飲料水とフッ素化の疫学報告書、ニュージャージー州厚生省, 1992 12.クーパー,C.:「水のフッ素化と腰部骨折」アメリカ医師会雑誌(JAMA),264 (4):500−502,1990 13.高橋:フッ素関連性ダウン症出生とその水道水フッ素化による推定発生状況,Fluoride. 31(2):61−73,1998(英文、訳) 14.高橋・秋庭・成田:がん登録統計の分析を基礎としたフッ素化とがん促進の相関, 第22回国際フッ素研究協会コンファレンス,1998,8.24−27、ベリン ガム( U.S.A.)(英文抄録,訳) 15.ヴァルナーJ.A.他 飲料水中のフッ化アルミニウムまたはフッ化ナトリウムのラッ トの脳神経細胞に与える影響 ,Brain Research 784(1998)284−289 16.日本フッ素研究会 高橋晄正編著:「あぶない!フッ素によるむし歯予防Q&A [増補]」、労働教育センター1995(初版)、1998(増補版)

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