医師の救急車同乗研修(質問)

京都府 救急隊員

 宮崎医大救急部のホームページに掲載されています,医師の救急車同乗研修を拝見致しました。

 実は思うところがあって,我々救急隊員の教育指導又は,救命指示医師の方々に対して,救急活動の現状を理解して頂くために,救急車に搭乗して頂くことについて,関係する上司に上申中のところです。

 これを実現するためには,色々な問題が浮上しまして,これらを解決しなければ実施困難な状況です。そこで,今回宮崎医大において救急車同乗研修を可能とされた経緯について次の事項について,ご教授頂きたいと思います。

1 実施期間及び人数
2 目的(大学側及び消防側のメリット)
3 同乗中の医師に対する災害補償について
4 被救護者のプライバシーの保護
5 同乗中の医師の立場(研修としての見学又は医療行為の有無)
6 本研修を実施して得られた効果等
7 その他参考となる事項

 以上多くの設問を羅列しまして恐縮ですが,私も京都Fにおいて,是非実現させたいと考えておりますので,宜しくお願いいたします(eml 814)。


回答1(eml 820)

 宮崎医大の救急車同乗は、国立医科大学救急部の救急医療体制の貧困性から、学生教育のために始めたものです。こちらから、学長名で宮崎市消防局へお願いして実現しました。また、宮崎市郡医師会を通じて、このような実習を行うこと、患者を学生と一緒に運ぶことがあることを各病院へ連絡しました。最初は、消防局の方からいくつかの懸念がありましたが、開始してみたところその様な心配は飛んだようです。以下、項目ごとにお答えします。

1 実施期間及び人数

 昨年の11月末から開始しました。週に一度です、医師は私1名、学生は2-3人を連れていきます。

2 目的(大学側及び消防側のメリット)

 こちらのメリットは学生に生の救急現場を見せることができる。こちらのデメリットは、指導教官が大変。

 消防側のメリットは、救命士が医師がいることで種々の処置を直ちに施行することができる。また、指導してもらえる。人数がたくさんいて力仕事が楽。学生が卒業してからも救急医療や救急隊に対する大変さを理解してもらえる(こんな患者を運んできては困る...という医師はいなくなる)。

 患者のメリットは救急薬品や気管内チューブなども携帯している(交渉して大学で用意してもらいました)ので、病院前から治療を受けられる。

 デメリットは、救急車の中がいっぱいで、家族は一人しか乗れない。

3 同乗中の医師に対する災害補償について

 災害補償は特別なものはないです。教育実習中の事故でもらえる普通のものだけだと思います。

4 被救護者のプライバシーの保護

 病院内実習と同じレベルでの守秘義務です。学生は病院内でも患者に対して実習をしています。

5 同乗中の医師の立場(研修としての見学又は医療行為の有無)

 医療行為を行いますが、保険請求はしていません。もしかしたら、搬送先の病院でしているかもしれませんが、私は知りません。また、医療行為は実習前は遠慮してどうしようかと思っていたのですが、消防局の方からやって下さいと言われたので迷うことなくすることにしました。

6 本研修を実施して得られた効果等

 感想文を書かせていますが、その中で気がつくのは学生が救急隊の機敏さ、大変さに尊敬の念を必ず書いていること。直接患者さんと接することができた喜び、緊張感などを書いています。具体的な効果は、まだ、わかりません。数年先だろうと思います。

 また、救急隊員から見た効果はわかりません。ただ、救命士は、最初は同乗実習に行っているところに配属されている者だけだったのですが、現在は、同乗実習の日は、あちこちの出張所から交代で来ます。宮崎はまだ、救急隊員3人のうち1名が救命士なのですが、同乗実習の日は通常2人、時には、すべてが救命士ということもあります。だから、何かの役には立っているのだろうと思います。直接聞いてみて下さい。

7 その他参考となる事項

 よそでは救急車同乗は学生だけ行かせるところが多いのですが、それでは学生の教育にならないし、救急隊員にとっても医師が同乗していないのでメリットは少ないかもしれません。一方、医師にとってはとくに私のように年をとっていますと肉体的に結構疲れますし、とくに得することもありませんので乗りたいと思う人が少ないかも しれません。私はただ、学生が喜んでくれるから、そして最近は救命士が喜んでくれるということで精神的に満たされ、また、もしかしたら死んだかもしれない患者を救命する可能性があるという喜びでしょうか(ちょっと、キザですか?)。

 いろいろ、消防局の上の人は心配しますが、案ずるより産むが易しだと思います(宮崎県、医師)。


回答2(eml 830)

 所沢市でも3年ほど前から週に2回(現在は月、水、金の3回、朝9時から17時まで)防衛医大の医師が高規格救急車に搭乗しています。問題となる点に付いては既に回答1と重複する部分がほとんどなので、項目ごとの回答は差し控えます。搭乗するのは救命センターの医師で、インターンからベテランまでその日によって替わりますが学生は搭乗しません。搭乗者は前月に月間搭乗予定表を戴いてきますが、お忙しい方ばかりなので当日の変更もあります。所沢市の場合医師搭乗がメインでなく、救急隊員の研修を建前に行われています。そのため救急車が9時前に防衛医大救命センターに出向き、その日搭乗していただく医師(外来診療の無い方)に携帯電話を渡します。救急隊も同様に電話、ポケベルを携帯し出場指令に使用しています。

 我々救急隊員は研修が目的なので、そそくさと資機材の点検等をすませ朝の症例検討を末席で聞いたり、手術が有れば見学させていただいたりします。午後は、部屋で教科書を読んだりしてすごします。

 出場は所沢市全域(東西 15.6 km x 南北 9.1 km)の重篤と思われる傷病者にたいして出場します。救命センターは市のほぼ中心部に位置していますが、同時に管轄の救急車も出場し、2台で連携することになります。

 救急薬品に付いては医師に必要なものをリストアップしてもらい、消防側で購入していますが、薬事法の関係で保管場所が病院になっていると思います。

 医療行為は当然行われていますが、保険請求はどうなっているのか分かりません、救命センターに収容すれば請求すると思いますが、二次病院等へ搬送した場合していないと思います。

 救命センター以外の病院へ搬送する場合、ほとんどの搭乗医は診察室にはいるのを遠慮していますが、積極的に処置を手伝う方もいて個々でまちまちです。

 消防側からみれば救急車に医師がいればこんなに心強いことは有りませんし、医師の処置を横からみているだけでも参考になりますし、後で質問もできるしとその効果はとても大きいです。

 最後に所沢市の方法は、救急出場した場合のみ医師にわずかな報酬を支払っています。国家公務員である医師は、救急出場中は有給休暇(時間休)を取ることになっているそうです。色々大変そうですが、案ずるより産むが安し、ほとんどの懸念がき憂に過ぎないことが分かると思います(eml 814)。

 補足(eml 885)

 ドクタ−カ−の出場指令は119番通報を受けた指令課員個人の判断で行っています。

 判断基準としては、

 1 先着救急隊から要請があった時
 2 意識が無いようだ
 3 呼吸が無いようだ
 4 心疾患の持病がある
 5 緊迫した雰囲気
 6 その他必要と認めた時

 通報者は慌てていたり、倒れた人を見ていない場合も多く、かなり勘というか自由度を持たせないと実用的でないと考えたからです。(埼玉県、救急隊員)