電子メールによる救急患者さんの経過報告とセキュリテイ

愛媛大学救急医学 越智元郎(3/23/96、eml 134)


 ◯◯先生、書き込みありがとうございました。これは非常に重要な問題ですね。
私もじっくり考えてみたいのですが、1点だけ考えを述べさせて下さい。

 私は電子メールの内容が他人に漏れる恐れがあるので、患者情報は送らないと
いう考えには立ちたくありません。それならば郵送でも誰かが開封する恐れは皆
無ではなく、ましてや葉書はもっとオープンです。

 私は基幹病院と関連の消防本部とが、インターネットで結ばれるべきだと思っ
ております。そして収容した患者のうち、例えば中等症以上の患者では、一定の
書式で予後や治療経過を電子メールを消防本部に送ってあげるのがよいと思いま
す。その内容は例えば入院カルテの要約を電子入力する習慣にして、その全文を
例えば紹介元の開業医などへ電子メールで送る、要約のうち特に専門的な記載を
除いた”要約の要約”を消防署へメールで送る、というのが21世紀における病院
と救急医療システムとの情報共有の形になればよいと思います。送受信したデー
タをデータベースに入れ、これをもとに医師と救急隊員とで勉強会の題材を決め
ることもできると思います。

 電子メールの機密性が確保できるか、ハッカーにデータベースを読まれないか、
といった問題は将来もあると思います。しかし現在でも手術室の職員の口から町
内の名士の病名や手術名が漏れるといった現象(あってはいけないことですが)
が皆無ではないと思いますので、新しい通信手段であるが故に警戒するというス
タンスは、私は少し納得がゆきません。なお患者さんが特定される恐れのある情
報については暗号化をすることによって、不用意な患者情報の洩れは防ぐことが
できると考えています。

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