救急医療メーリングリスト(eml)からの情報

航空機事故とヘリコプター


Date: Mon, 01 Sep 1997 12:53:40 +0900
Subject: [eml:04260] 航空機事故とヘリコプター

初めまして。
名古屋工業大学社会開発工学科社会基盤計画学(インフラ計画のようなものです)
研究室の小池ともうします。よろしくお願いします。

さて、私は海上空港(主に関西国際空港や中部新国際空港)で飛行機が事故った
時の負傷者の方の搬送やら医療スタッフの方の輸送をシミュレーションして,そ
の結果から飛行機事故を考慮した道路計画とかヘリポートの計画とかいうものを
たてられないものかと,いろいろ頭をひねっております。
ご挨拶かたがた,9/12に土木学会全国大会(中央大)での発表概略を紹介さ
せていただきます(より詳しい講演要旨も収載されています)。

関西国際空港では,ヘリコプターの活用が緊急計画の中でいろいろ議論されてい
るようですが,所要時間予測などがいまいちぱっとしない。そこで自分で計算し
てみようということで,川崎医科大で行われた救急ヘリコプター実用化研究の報
告書(1993)から,データを拾って確率分布で到着時間の予測を行いました。
結果だけかいつまみますと
1,だいたい90%の確率で通報をうけてから75分以内には関空に着くことが
  期待できる。
2,だいたい90%の確率で通報をうけてから90分以内には負傷者を乗せて医
  療機関に着くことが期待できる。
3,3機のヘリコプターの活動を想定したとき,前機が離陸してから次機が着陸
  するまでに必要な間隔を5分と想定すると,約80%の確率で待ち合わせが
  生じ(関空にはヘリコプターの着陸帯がひとつしかないので),その場合の
  平均ロスタイムは10分強になると思われる。

そもそも,救急ヘリコプター実用化研究のデータ通りの活動が現状の態勢で可能
かどうかも疑問なんですが・・。
ヘリコプターが航空機事故の救命・救急活動のなかでどのような分野でどのくら
い期待していいのかを考えるときに少しでも役にたてればと思います。ご意見等
お聞かせ下されば,うれしく思います。

では、これにて
今後ともよろしくお願いします。

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名古屋工業大学社会開発工学科(土木系)

助手   小池則満

講演要旨(日本土木学会 970912):

海上空港における航空機事故を想定した救急ヘリコプター運用計画に関する一考察

名古屋工業大学 社会開発工学科 小池則満、山本幸司


1.はじめに

 救急ヘリコプターはその機動性、速達性から通常・災害救急を問わず救命率の向上に大きな期待がされており、関西国際空港においても緊急計画の中で航空機事故発生時における負傷者搬送にヘリコプターを用いる記述がある。筆者らは搬送力という視点からヘリコプターを用いた航空機事故発生時の負傷者搬送シミュレーションモデルを構築したが、運用方法に係わる評価や空港内施設整備の方法については触れていない。そこで本研究では、1994年に行われた救急医療ヘリコプター実用化実験(以下、実用化実験)のデータを用いて、必要なパラメータを抽出するとともに、航空機事故発生時におけるヘリコプター運用案を所要時間という視点から評価し、望ましい救急ヘリコプターの運用方法について考察する。

2.救急ヘリコプターに関する考察

(1)実用化実験のデータ分析

 実用化実験は岡山県内の救命・救急センターを基地として、周辺地域の臨時ヘリポートとの間を往復して主に重傷者の搬送を行ったものである。このデータをもとに、以下のように搬送活動の各段階における所要時間を分析した。

T.出動要請受付→離陸:

 平均24分、位相4のアーラン分布で95%有意を得た。

U.離陸→現場:

 累乗近似により、高い相関のもとに近似することができた。
  y=1.19×d^0.67   (R^2=0.82)
  y:飛行時間(分)
  d:飛行距離(km)

 飛行距離が伸びるほど離着陸に伴う上昇・下降時間の影響が小さくなり、平均速度が向上する式となっていることから、ヘリコプターの特性を充分評価しており問題ないと考えられる。

V.現場での負傷者収容:

 平均4分、位相3のアーラン分布で95%有意を得た。

W.現場→病院着陸:

 次式により近似した。   y=1.26×d^0.64   (R^2=0.83)
  y:飛行時間(分)
  d:飛行距離(km)

 報告書では往路と復路の時間差を天候の違いと説明しているが、復路の方が往路よりも全体に速く飛行していることから、着陸先が専用ヘリポートであるか臨時ヘリポートかの違いも影響していると考えられる。

X.病院着陸→患者収容:

 平均3分、位相4のアーラン分布で95%有意を得た。

 これらの値を合計することによって、離陸から着陸までの所要時間を予測できると考えられる。

(2)ヘリコプター運用方法の検討

 航空機事故におけるヘリコプター搬送については、3つの案が提案されている。A案は関西国際空港緊急計画によるもので、ヘリコプターは定置場から直接空港へ向かい、負傷者を収容して医療機関に搬送する。B案は泉州救命・救急センターの溝端らが提案したもので、ヘリコプターは定置場から救命・救急センターに立ち寄り医療スタッフを収容した後に空港に飛来し、負傷者を収容後に再び同一の救命・救急センターに戻るものである。医療スタッフの同乗を前提として重傷者の搬送を想定したものである。C案は実用化実験で採用された方法で、ヘリコプターが医療機関に定置されていることを前提として定置場と海上空港を往復するものである。使用するヘリポートが定置場と海上空港の2カ所のみであるため、救急ヘリコプターを運用する際の課題の一つであるヘリポートの確保が容易である。しかし、現段階では医療機関に定置されているヘリコプターがないことから、定置場から近辺の医療機関へ救急車で負傷者を搬送することを前提としなければならない。 通報から負傷者を医療機関に収容するまでの時間は各段階の所要時間を合計することで算出できる。なお、医療機関への飛行時間予測については、着陸先が専用ヘリポートを備えている場合にはU、グランド等の臨時へリポート使用の場合にはWを適用することにする。

3.関西国際空港に対するシミュレーションとその考察

(1)シミュレーションの前提

 関西国際空港で航空機事故が発生した際に使用されるヘリコプターについては、関西国際空港緊急計画連絡協議会の参加機関に所属するヘリコプターの定置場である八尾空港、小松島基地、また協議会に参加はしていないが関西国際空港から至近にある神戸ヘリポートからの来援を想定する。これらのヘリコプターのうち担架を搭載していない機体については、担架搭載時間として定置場離陸段階に10〜15分の一様乱数を加算した。収容先医療機関には、関西国際空港緊急計画に記載された府内の救命・救急センターを取り上げた。

(2)所要時間の計算結果

 前節で示した運用案のうち、ここではA案についての結果を示す。まず、八尾空港のヘリコプターが府立救命・救急センターに負傷者を搬送する場合について、所要時間計算を1000回行ってその分布を求めたところ、おおよそ60分以内に病院へ収容できる確率は約15%、75分以内が約60%、90分以内が約90%という結果であった。これより、航空機事故における初期の段階での負傷者に対しては、ヘリコプター搬送はあまり期待できないことがわかる。しかし、バイタルサインが安定するのを待っての搬送や遅れて発見される負傷者の搬送については有効であると考えられる。次に、神戸、八尾からの来援機に担架が常時搭載され、担架搭載時間(10〜15分)が必要ない場合を想定して計算を行った。その結果、八尾、神戸とも9割の確率で60分以内に現場へ到着し、5〜6割程度の確率で60分以内に負傷者を医療機関へ収容できることがわかった。よって、担架等の医療機器を常に搭載したヘリコプターを八尾、神戸に定置しておくことが望まれる。

(3)必要なヘリパッド数の算定

 関西国際空港では、ヘリコプターの着陸帯がひとつしかないため、複数機が活動すると上空で待機する必要が生じてくると考えられる。前機の離陸から次機の着陸までどの程度の時間間隔を必要とするかは、気象条件や事故現場の状況等で異なってくると考えられるが、本研究では3機のヘリコプターが活動する場合において、離着陸間隔と待ち合わせ確率、待ち合わせが起きた場合の平均ロスタイムを求めた。その結果、いずれかの機と待ち合わせる確率は0分間隔の場合で、5割程度、平均ロスタイムは4分程度であった。5分間隔の場合では空中でのホバリングによる待ち合わせが8割程度の確率で必要となり、平均ロスタイムは10分強、さらに、10分間隔の場合では9割以上の確率で空中での待ち合わせが必要となり平均ロスタイムも19分となることがわかった。よって、5分以上の離着陸間隔をとる場合には、着陸帯の増設や空港前島の臨時へリポートの使用が必要といえる。

4.おわりに

 海上空港での航空機事故発生時における救急ヘリコプターの運用方法を考察し、次のような知見を得た。

 @現状の態勢では、初期の重傷者の搬送には所要時間から不向きであるが、遅れて発見される重傷者や多数負傷者発生時の中等傷者の搬送には有効である。

 A5分未満の間隔をおいた離着陸を可能とすれば、着陸帯は現在設けられている1カ所で充分であるが、5分以上の間隔をおいた離発着を行うとすれば着陸帯は2カ所必要である。

 本研究はヘリコプター搬送計画立案とそれに必要な施設整備のための資料として充分活用できるものと考えている。今後は、具体的な医療計画との関連、車両を含めた搬送態勢との関連等について考察をすすめていきたい。また、中部新国際空港への適用も検討したい。

 御意見、御感想等およせいただければ幸いです。

 文責 小池則満
 <
koike@doboku2.ace.nitech.ac.jp

【参考文献】

1、関西国際空港株式会社:関西国際空港緊急計画,P26,1994.

2、小池・和田・山本:海上空港における航空機事故の救急活動シミュレーション,土木計画学研究・講演集19(2),PP55〜58,1996.

3、(社)日本交通科学協議会:救急医療ヘリコプターの実用化研究,1993.

4、溝端康光他:関空事故を想定したヘリコプターの効率的活用方法,第3回日本エアーレスキュー研究会プログラム・抄録, PP45〜48,1996.

5、小村隆史:大規模災害時におけるヘリ搬送のための情報共有化に関する一考察,第3回日本エアーレスキュー研究会プログラム・抄録,PP36〜39,1996.


「消防自動車の歌」聞いてください!


Subject: [eml:04307] 新曲発表!聞いてください!
Date: Wed, 10 Sep 1997 09:09:29 +0900

 みなさまご無沙汰しております。鳥取西部消防の
藤山です。
このたび、「消防自動車の歌」を作成いたしました。

9月9日の鳥取西部消防 消防フェア’97で使用した
曲です。

すべて私が作曲したものですので、著作権は大丈夫
です。

もし、何かの行事に使っていただけるのでしたら、嬉し
いです。

http://www.sanmedia.or.jp/shiro/darazu/fcar.html

それでは、みなさんまた
**********************
   鳥取西部消防  指令課 藤山史郎
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神奈川プレホスピタルケアフォーラム開催

(平成9年9月24日(水)予定)


Subject: [eml:04319] 神奈川プレホスピタルケアフォーラム開催
Thu, 11 Sep 1997 15:36:39 +0900 (JST)

皆さん、こんにちは。
神奈川救急救命士会HP管理人の吉田@横消です。

本会の定例行事でもある、神奈川プレホスピタルケアフォーラムが今年も
開催されます。
入場無料ですのでお近くの救急隊の方も是非ご参加ください。
今回も好評のシミュレーション実習をはじめ充実した内容です。

--------------------------<日時等>------------------------------

○日時:平成9年9月24日(水)午前10時30分〜午後4時30分
○場所:横浜市瀬谷区「瀬谷公会堂」
    横浜駅より相鉄線急行にて3駅約15分「三ツ境駅」下車
    目標〜瀬谷区総合庁舎(徒歩約8分です)
    ※駐車場はありませんので車でのご来場はご遠慮下さい。
○入場料:無料
○問合せ:Eメールにて吉田(emt@mars.dtinet.or.jp)まで

-------------------------<プログラム>---------------------------

●代表世話人挨拶 横浜市立大学医学部
         救命救急センター長 杉山 貢 先生

●来賓挨拶 横浜市消防局警防部救急課長 石井久雄 様

●第1部 教育講演「症例から学ぶ中毒対策」
     昭和大学藤が丘病院救命救急医学科 兼坂 茂 先生

  座長:横浜桐峰会病院 院長 松本義峰 先生

●休憩(11時50分〜12時50分)

●第2部 発表「阪神淡路大震災での活動状況」
        神戸市消防局 救急救命士 正井 潔 様

  アドバイザー:昭和大学藤が丘病院
         救命救急センター長 高橋愛樹 先生

  司会:横浜市瀬谷消防署 救急救命士 倉持日出雄さん

●第3部 シンポジウム

 1「呼吸停止からスクイージングにより呼吸再開した喘息の症例」
   横浜市港北消防署 救急救命士 麻生秀章 さん

 2「救命チェーンで社会復帰に至った事例」
   横浜市瀬谷消防署 救急救命士 三好直人 さん

  アドバイザー:聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
         救命救急センター長 山中郁男 先生

  司会:横浜市金沢消防署 救急救命士 鈴木弘實さん

●第4部 教育講演「気道確保を理解する上で必要な解剖及び生理」
     東京多摩老人医療センター 岡崎久恒 先生

  座長:済生会神奈川県病院 救急部長 茂木正壽 先生

●第5部 シミュレーション実習(実技指導)

  1 気道確保

   ○「LMの取扱要領」
     聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 伊巻尚平 先生

   ○「スミウエイ(EGTA)の取扱要領」
     横浜市立大学医学部付属浦舟病院 森村尚登 先生

   ○「ツーウエイチューブの取扱要領」
     聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 中沢暁雄 先生

  2 静脈路確保

   ○「静脈路確保要領」
     済生会神奈川県病院 救急部 田熊清継 先生


総合司会:横浜市立大学医学部付属浦舟病院 看護部 高瀬ナオ美 さん

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神奈川救急救命士会HPの「掲示板・情報コーナー」にも載せております
ので宜しくお願いいたします。
参加のためのご連絡は不要です。ただ人数によっては一部立ち見となる
可能性もありますのでご了承ください。

私は当日は救急隊当直勤務です。しかし会場が近いので救急車で見に行く
予定です。下瀬谷救急隊の吉田を見かけましたら声をおかけ下さい(^^)

それでは、また

                    Sincerely  yours.

  ------ Yokohama city.E.M.S. SHIGEO YOSHIDA(吉田茂男)------
 |    Homepage. http://www.dtinet.or.jp/~emt       |
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