消防機関による報道対応体制について

―メーリングリストeml-nc、2006年11月―

(皆様のご意見をウェブ担当者までお寄せ下さい)



           目次 (発信者の敬称は省略させていただきます)
 A   [eml-nc6: 1973] 報道機関への個人情報の開示について 
 越智 [eml-nc6: 1989] Re: 1973 報道機関への個人情報の開示について
 山本 [eml-nc6: 1990] Re: 1973 報道機関への個人情報の開示につ 
 B  [eml-nc6: 1991] RE: 報道機関への...記者の方こそ 
 C  [eml-nc6: 1992] Re: 報道機関への個人情報の開示について 
 D  [eml-nc6: 1995] Re: 報道機関への個人情報の開示について
 坂本 [eml-nc6: 2001] 守秘義務について
 吉田 [eml-nc6: 2003] Re: 守秘義務について
 A  [eml-nc6: 2004] 消防機関による報道対応体制について
 E  [eml-nc6: 2009] Re: 報道機関への個人情報の開示について
 E  [eml-nc6: 2010] Re: 報道機関への個人情報の開示について
 F  [eml-nc6: 2020] Re: 報道機関への個人情報の開示について
 G  [eml-nc6: 2025] 救急外来における個人情報の扱い

■メーリングリストeml-ncにおける意見交換


A [eml-nc6: 1973] 報道機関への個人情報の開示について
Date: Wed, 8 Nov 2006

eml−ncの皆さん、・・消防 Aです。

 報道機関への個人情報の開示についてお尋ねします。

 自損(自殺)事例について、先日終日対応しておりました。問い合わせ内容ですが、傷病者
本人の状態(何処でどの様な状態であったか)や通報者は誰で、通報内容はどのようなもので
あったかなどでした。
 私の対応は、個人情報保護条例をお知らせして、一個人の事例であり、個人情報は開示で
きないことを申し上げて対応いたしました。
 私の対応が不適切であったであろうかと思いますが、一部の記者の方は、あなたは可笑し
い、狂っているなど言われ電話を切られた方、上部機関へ職員の対応が悪いなど意見をされ
た記者がおられました。
 意見をされた記者は、数時間後再び電話してこられ、対応は変わりましたかということで
した。こちらの対応は変わりませんでしたが。記者の方も、思うように情報を収集できない
苛立ちもわかりますが、このような対応しかできませんでした。
 以前には、傷病者の方から通報者の情報について問い合わせがあり、対応としては通報者
の方に確認をして、許可があれば開示すると説明して了承していただきました。
 なお、多数傷病者(集団災害)の発生事例では、個人情報の開示は別段定めています。 

 このメーリングリストには、多数の消防関係の方も参画されていると思います。報道機関
への対応の規約など定められている。消防局(本部)がありましたらご教示をお願い致します。


越智 [eml-nc6: 1989] Re: 1973 報道機関への個人情報の開示について Date: Fri, 10 Nov 2006  Aさん、eml-ncの皆様、市立八幡浜総合病院麻酔科 越智元郎です。  「報道機関への個人情報の開示について」の問題提起ですが、皆様から ご発言がありませんね。けっこう微妙な問題を含んでいるのでしょうか。  私個人としては、「自損(自殺)事例」の詳細について傷病者が特定される ような情報としては出してはならないと考えます。となれば、細かい住所な どを出さずに、(例えば)「〇月〇日〇時ころ、〇〇市在住の〇十代の〇性 が納屋で頸をつった状態で発見され、近くの病院に運ばれた。病院到着時は 意識不明。以上」というようなFAXを問い合わせ先の報道機関などに送付して 終わりにするのがぎりぎりの所と思います。  報道機関はある程度かたちになるような報道をすることが社会的に有用と 考えて食い下がって来るのでしょうか。  ネットでこのような話題がないか「消防本部」「個人情報」で検索してみ ましたところ、あるブログで「東京新聞の」以下のような記事を紹介してい ました。 http://youzo.cocolog-nifty.com/data/2005/09/post_5e26.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  東京新聞より「個人情報保護法で困った!!」 (中略) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  なかなか難しい問題がありそうですね。皆様のご意見はいかがでしょうか。


山本 [eml-nc6: 1990] Re: 1973 報道機関への個人情報の開示につ Date: Fri, 10 Nov 2006 山本(一般市民)です。 実は、1、2年前だと思いますが、消防庁に投書したことがあります。 テレビで救急隊員さんが、 「救急車をバックに、」 「制服を着て、」 搬送した傷病者の状況を克明に説明している映像についてでした。 特にその日のニュースは奥さんがウワキして、車で事故。。みたいな内容のものでした。 名前は隠してあっても、近所の人には有名になっちゃうだろうなと思いました。 この時の投稿、どこに行ったかな。。と探しましたら、「ペラペラ救急隊員」という投 稿がEMLでされていました。 その後も相変わらず、かっこいい制服の消防士/救命士さんたちがインタビューに答え る姿を目にしました。 ところが。。。今回の投稿で、気がつきました。最近はそういう映像を目にしていない 気がします。(すみません。主観ですけれど) メディアさんのノセ方がヘタになったのか、消防さんのガードが固くなったのか。。。 EMLの皆さまは意識が高く、こんなこと、釈迦に説法でしょうけれど。 以下,その時の私の投稿の一部。消防庁からのお返事の抜粋です。 > 随分前ですが、消防庁にメールしました。 > 以下、その返答の要約です。(これも、そのまま載せるとまずいんでしょうから) > > 消防庁総務課広報係より。 > > 地方公務員の守秘義務 > 「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を > 退いた後も同様とする。」(第34条第1項) > > 特に定められた基準はなく、 > 消防職員は、職務を通じて得た個人のプライバシーに > 属する事項などを他に漏らすことのないよう注意しなければならない。 > > 個々具体の事項が守秘義務に及ぶものであるか、守秘義務に課せられるに > 至らないかは、具体の事案に即して判断する必要があり、その判断は、 > その状況に応じ、各自治体で判断されることになる。 > > 従って、 > 消防庁としては、消防職員による情報管理や > 守秘義務の厳守について、適切な措置を取るよう > 各消防本部を指導していきたい。


B [eml-nc6: 1991] RE: 報道機関への...記者の方こそ Date: Fri, 10 Nov 2006 B(医師) > 私の対応が不適切であったであろうかと思いますが、一部の記者の方は、あなたは > 可笑しい、狂っているなど言われ電話を切られた方、 こういう事を言う記者こそ、会社の上層部に報告するべきではないでしょうか? 彼らは自分たちが絶対正義だと勘違いしている。


C [eml-nc6: 1992] Re: 報道機関への個人情報の開示について Date: Fri, 10 Nov 2006 C(消防職員) Aさんへ おつかれさんです。 後日のメール(越智氏)にもありましたが、個人の名前等出さずにぎりぎりのところで 何が如何した等は現場対応した消防として報道機関に答えるべきと私も思います。そう しなければ多くの電話等の問い合わせに対し、消防として不信感を与えてしまいます。 ただ越智先生ご指摘のように偽報道機関からの問い合わせもありますので、その判断は 難しいですね。 いずれにしても、一係(救急)では対応不可と思います。・・消防の組織システムに問 題がありますが、上に対応してもらわんといかんと思います。


D [eml-nc6: 1995] Re: 報道機関への個人情報の開示について Date: Fri, 10 Nov 2006 Aさん。越智さん。やまもとさん。Bさん。Cさん。皆さん、こんばんは。 D@・・消防です。 越智さん >  「報道機関への個人情報の開示について」の問題提起ですが、皆様から > ご発言がありませんね。けっこう微妙な問題を含んでいるのでしょうか。 Aさんが > できれば個人メールにて送っていただければ幸いです。 と書かれていたのでなのかもしれませんね。 でも、私すっかり読み落としておりました^^; やまもとさん > メディアさんのノセ方がヘタになったのか、消防さんのガードが固くなったの > か。。。 ははは。某○○のがんばりもあって、ガードが固くなったのに決まってます。 ただ、消防って、○か×かどっちかの選択が得意な組織ですので これはこれで極端だったりするので、あちこちで角が立ってしまってるようにも 思います(汗 この問題は、非常に難しい問題というか、「組織できちんと整理しておきましょ う」というところが ミソだと思いますが、個人的にも整理しておかなくてはいけないところがいくつ もあるように思います。 まず、これらを考えるときに個人情報保護が非常に強く意識されることが多いの ですが、実際は 1)情報公開・・・・できるだけ情報は公開しましょう と言う立場と 2)個人情報保護・・・でも、個人情報は保護しましょう という両天秤のバランスを取って対応しなくてはならないというところが大前提 です。 特に、注意が必要なのは、越智先生のメールの資料にある > ここで問題となるのが同法義務規定の適用除外となっている報道機関の取 > 材への対応。 は、事実で、報道側に対して 「個人情報保護があるので」というのは、理由と して適切ではなく あまりにこのことを盾にして対応するのは、残念ながらよろしくありません。 報道側の特性として、「言わない」という対応ほど彼らの感情を逆なでします。 よって 「あの人おかしくないですか?」という反撃は、責められないのです。 これらの件をちょっと横に置いて、消防広報では 取材を受ける広報と、こちらから積極的に打って出る広報があります。実は、内 容によって 個人情報公開の承諾を得てでも積極的に出たほうが、社会的に利益になること だってあるわけです。 となると、問題は、情報を報道に出したときに、こうした点を報道が配慮してる のか? というところだと思っています。 (ちょっと分かりにくいですかね?) 今回のケースでは > 自損(自殺)事例について、先日終日対応しておりました。 > 問い合わせ内容ですが、傷病者本人の状態(何処でどの様な状態であったか)や > 通報者は誰で、通報内容はどのようなものであったかなどでした。  ということですが、聞かれている内容が、いったいどのような社会的な意義を 見出して取材されようとして いるかが問題であると感じます。  自損とはっきり分かっているのか?  事件性の否定ができなければ、警察だって調べてるはず、だとすると「ごめん ねぇ・・そこは警察の調査に迷惑かけるかもしれないから、僕の判断では話せな いですよ・・・」でしょうね。  じゃあ、自損とはっきり分かってるとき、通常新聞報道などを見てると「昨夜 ○時○分頃、自宅で首をつっているところを発見され、119通報を受けた消防が病 院へ搬送しましたが、すでに死亡していました。」  みたいな感じでしょ^^。それ以上必要な情報は無いはずです。 ひょっとすると、それさえ、拒絶してしまっているとすれば、先の報道さんのプ ライドに真っ向から槍を向けた格好になってるかもしれません。  それ以上に突っ込んだ内容は、ちょっと覗き見趣味だし、そうなると、家族や 関係者への配慮が難しい内容になってしまいますよね。  それ以上聞いて、どうしようというのか?と思いますよね。  Aさんが、職場でどのような位置でお仕事をされているか存じませんので一 般論としてお話すれば  こうした対応は、現場職員で回答するものではないように思います。  こうした問い合わせを現場職員が受けた場合には、「守秘義務がありますの で、私個人の判断でお話できません、大変申し訳ありませんが、上司に相談して どのように対応するか、折り返しお返事いたしますので・・・」  といったん切って、本部の広報窓口や上司に対応を依頼する。あるいは、「個 人の判断で取材をお受けすることはできません、本部の広報窓口は、○○課になり ますので、そちらにご相談いただけますか?」といった対応がセオリーだと思い ます。  概ね、Aさんお尋ねの件は、本部広報窓口が回答するのが一番でしょうね。 でないと、現場職員がでちゃうと、結局根堀葉堀になってしまって、途中でバラ ンスを取るのが難しくなってしまいます。現場職員が話すときは、本部の責任者 が横について、内容が脱線したり逸脱しようとしたときは、きちんとコメントを とめてあげるなどの配慮が必要だと思います。  本当は、正しい情報を国民に伝え、建設的な貢献ができるように、消防と報道 の皆さんがフランクに仕事ができるように、日ごろから良好なコミュニケーショ ンを取っておくことが大切だと思います。  最近では、ルール違反の記者さんもいらっしゃいます。報道の上の方からは、 消防からも指導してやってください、というような面だってあるのです。  これは、オフレコね!がちゃんと通用する関係を作れるといいですね。(とな ると 余計に現場ではだめで、組織の窓口を整備しないといけませんね^^) ではでは


坂本 [eml-nc6: 2001] 守秘義務について Date: Fri, 10 Nov 2006 石心会狭山病院外科 坂本と申します。 私は外科医で勤務医ですが、家族、親族等の話の時に守秘義務について触れています。 具体的にはこうです。 本人と配偶者、もしくは患者本人の状態についてきちんと責任をとれる人にのみ病状 等の説明をする。 電話での問い合わせには一切お答えしない。 こちらからも、電病状説明のために電話をすることは無く、来院していただきたい旨 は電話で連絡する。 兄弟と名乗って病状説明を希望される方もいらっしゃるが、配偶者ないしは責任者(上 記)の同席が無い場合はお断りする。 報道機関への個人情報の開示に関しても、医師の持つ守秘義務に準じて考えることは 困難なのでしょうか? 失礼いたしました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 医療関係資格に係る守秘義務の概要  守秘義務に係る法令の規定例(刑法) 第百三十四条  医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証 人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったこと について知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金 に処する。 資格名 根拠法 医師 刑法第134条第1項 歯科医師 刑法第134条第1項 薬剤師 刑法第134条第1項 保健師 保健師助産師看護師法第42条の2 助産師 刑法第134条第1項 看護師 保健師助産師看護師法第42条の2 准看護師 保健師助産師看護師法第42条の2 診療放射線技師 診療放射線技師法第29条 臨床検査技師 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律第19条 衛生検査技師 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律第19条 理学療法士 理学療法士及び作業療法士法第16条 作業療法士 理学療法士及び作業療法士法第16条 視能訓練士 視能訓練士法第19条 臨床工学技士 臨床工学技士法第40条 義肢装具士 義肢装具士法第40条 救急救命士 救急救命士法第47条 言語聴覚士 言語聴覚士法第44条 歯科衛生士 歯科衛生士法第13条の5 歯科技工士 歯科技工士法第20条の2 あん摩マッサージ指圧師 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する 法律第7条の2 はり師 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第7条の2 きゆう師 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第7条の2 柔道整復師 柔道整復師法第17条の2 精神保健福祉士 精神保健福祉士法第40条 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


吉田 [eml-nc6: 2003] Re: 守秘義務について Date: Sun, 12 Nov 2006 日医大救急医学 吉田です。 基本的には下記の投稿(eml-nc6: 2001)に同意します。 ただし注意すべき点が2点あります。 1.守秘内容がHIVに関する場合 2.患者情報を必要としているのが警察、報道機関の場合 1.守秘内容がHIVに関する場合  基本原則は「患者本人」からの確実な同意を必要とし、だれに話してよいのかの 許可も得ること。  もし救急医療の場合で患者本人に意識がない場合等は、特に慎重な対応が必要。  救急医療を経験したことのないHIV相談員や専門家はとにかく「杓子定規」に「本 人の了解が得られてないので絶対に肉親、配偶者にもHIVについては断固話してはい けない」という立場を貫きがち。 2.警察、報道機関の場合  報道機関の場合、彼らは「報道の自由」という旗印を前面に押し出してくる。特 に社会部系の記者は報道することが正義であると誤解している者もなかにはいる。  しかしながら、報道の自由というものは、こちらが患者、傷病者の個人情報を伝 えるという行為の担保や擁護にならないことを認識すべき。つまり報道の自由とい う名の下に、もし情報を明かしたらならば、それは明かした本人(あるいはその人 の属する組織)の全責任になるということ。報道の自由は彼らのご都合であり、こ ちらの擁護はしてくれないということ。  警察の場合では少し話しが複雑。交通事故処理を簡単に済まそうと電話だけで聞 いてくる警官も多いが、これは論外。  刑事事件が関係する場合、裁判所の「鑑定処分許可状」を持参されたら情報の提 供は義務となる。  また昔は血液の提供に際し「任意提出書」にサインをさせられたがこれも危険。 これは「医療機関が警察にすすんで資料を提供してくれたもので、警察には責任は ありませんよ」という証明書のようなもの。最近はこの書類はあまりみなくなった が要注意。  もし傷病者が覚せい剤中毒など公序良俗に反する行為で病院に搬入された場合は、 本人の了解がなくとも警察がもし必要とするならば患者の情報供与はやむをえない。  報道機関は論外だが、警察関係はその傷病者の背景によって情報供与してもよい 場合もあり。  ただしそれはもちろん、情報供与した場合の責任にこちらにあり、100%免責 になるというわけでもない。時には警察など社会性のある機関への協力体制も病院 として行わなければならないこともあり、それについてはケースバイケースでの対 応が必要となります。  それぞれのケースについての情報供与のありかたの雛形は各医療機関で作ってお く必要がありますが、うちの病院はpoorです。


A [eml-nc6: 2004] 消防機関による報道対応体制について  eml-nc6の皆さん、・・消防 Aです。「件名を変えさせていただきました。」 報道機関への個人情報の開示については、多数の皆さんからご指摘、ご意見をいた だきお礼申し上げます。いかに勉強不足であったか痛感しております。 ◆ 以下について、皆さんの意見を参考に私なりにまとめてみました。 (1) 個人情報の保護に関する法律について  第五章 雑則 (適用除外) 第50条 個人情報取り扱い事業者のうち次の各号に掲げる者については、その個人 情報を取り扱う目的の全部又は一部がそれぞれ当該各号に規定する目的であるとき は、前章の規定は、適用しない。 一 放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。) 報道の用に供する目的 ◆ この条では、報道機関に個人情報を開示しても同法違反には該当しない。 (2) 消防機関による適切な報道対応について(通知)   消防消第66号 平成17年3月17日  消防庁消防課長発  1 報道対応体制の確立   各消防本部は、報道機関からの取材に対し、消防職員が個人として対応するこ   となく、組織として対応する体制を平素から整備しておくこと。 ◆ これは皆さんのおっしゃるとおりです。    2 災害発生時の対応   (1) 報道発表   多くの負傷者が発生する事故などについて、社会から関心の高い事案について   は、事実を早急に取りまとめ、消防本部の発表として正確な内容を迅速に報道   発表すること。 ◆ 今回の事例では、社会から関心の高い事案に該当すると推定されますので開示 をする。      (2) 対応窓口の明確化   報道機関からの取材に対しては、対応窓口を明確にして対応すること。 ◆ これも皆さんに指摘されたように窓口を明確にする。   (3) 留意事項   報道発表の際には、捜査情報、個人情報、プライバシー、被災者家族の心情に   十分配慮すること。 ◆開示はしてもこれらのことに留意しなさい。何か相反するようですが、個々の事 案について開示の際、検討しなさいということでしょうか。 雑談 法には上位法優先の原則があるけど、法と法は同等でしょう、もし報道機関 に個人情報を開示したため、その個人に不利益が生じた場合、個人情報の保護に関 する法律に違反しないかもしれないが、消防法や救急救命士法にある守秘義務違反 になるのでは・・・・法律は難解?


E) [eml-nc6: 2009] Re: 報道機関への個人情報の開示について Date: Sun, 12 Nov 2006 Aさん はじめまして。  E@・・消防と言います。 下記は消大警防課程におけるレジュメ資料です。 =================================================== 越智さんへ、 公開支障ないと考えます。学校で教育資料として 配布したということは、広く消防機関で学習材料とすべしという 現れと考えます。 この問題は、明確にどこまで、ということにはならないでしょう。 「緊急避難行為」が個々に検討されるべき事項であるのと同様に、 プライバシー侵害も、個々の事例で検討されることなのであろうと 感じました。 政治家は氏名公表しても良いが、芸能人は気をつける、なんてこ とにもなりそうですし、また、2000/3月発生の中目黒の電車脱線 事故では、東京消防庁が負傷者氏名を公表した初めての事例 なのだそうです。大規模集団災害は報道の公益性が認められる との考えがあるようです。 ==ここから========================================== ○報道機関は、消防広報にも協力してもらう場面もあり、いつもつっけん どんな態度で接するのは好ましくない。節度ある友好関係を築くことが大事。 ○プライバシー保護の対象となる具体例  1)犯罪に関すること     前科や犯罪経歴  ほか  2)個人の属性に関すること     個人の勤務先名称、電話番号     健康状態、病歴、身体的特徴、容姿に関すること     病歴  3)個人の行為に関すること     預貯金状況     婚姻事情、夫婦間のトラブル、     収入の源泉、収入金額、 ○具体例 芸能人Aが友人Bと乗用車走行中、事故を起こし、AとBが負傷した。 新聞記者が事故の詳細を消防に聞きに来た場合、どこまで答えてよいか。  発生日時 OK  発生場所 アバウト  事故形態 必要最小限   (車両同士の衝突事故、路外転落、など)  氏  名  ×(本人の承諾が必要)  年  齢  OK  職  種  OK  会社名  × というのが妥当なラインではないか。 たとえ善意の行動で、火災現場で初期消火した人物であってもその氏名を、 本人の承諾なしで勝手にマスコミにしゃべることにはならない。 もしかして会社をサボっている間のできごとなのかもしれないし、そんなこと が原因で会社を辞めさせられたら、賠償請求の対象になってもおかしくない のだそうだ。 ○以下レジュメ抜粋  事例研究5 有名芸能人の救急搬送に係るマスコミからの取材申し入れ  A救急隊が交通事故現場に出動したところ、有名芸能人Bと同乗していた友人C  の2名が受傷していたため、H救急病院へ搬送した。(受傷程度は2人とも中等症)  A救急隊が消防署に帰署したところ、D週刊誌の記者からE救急隊員あてに、「こ  の救急事故に対して、芸能人Bの救急搬送の事実、受傷程度、事故内容並びに同乗  していたCの氏名・住所・職業及びBとの関係等、詳細な事項について電話で執拗  に問い合わせてきた。  (1)プライバシー侵害とそれに伴う損害賠償請求権とは何か。  (2)プライバシー侵害に係る不法行為の構成要件とは何か。 (3)プライバシー保護の対象となる具体例は何か。  (4)このような事案に対応する場合、消防機関として留意すべき事項は何か。  引用・参考文献 ○ 行政法入門【第2版】藤田宙靖著(有斐閣,2000年2月) ○ 行政法総論講義【第3版増補】芝池義一著(有斐閣,1999年12月〉 ○ 消防作用法【改訂第2版】消防大学校編著(ぎょうせい,2000年4月) ○ 新・消防関係判例解説【増補】消防大学校編著(ぎょうせい,1999年5月) ○ 東京消防・実務シリーズ【月間】東京消防庁監修((財)東京消防協会) 「事例研究5 有名芸能人の救急搬送に係るマスコミからの取材申し入れ」の解説 (1)プライバシー侵害とそれに伴う損害賠償請求権とは何か.   1. プライバシー    ○ 法的概念としてのプライバシーは、19世紀末にアメリカで提唱され、我が      国においては、昭和39年に初めて判例に示された比較的新しい概念であ      る。    ○ しかし、その後も現在まで「プライバシー」に関する明文規定(法律)が      ないためその根拠や定義が明らかでない。    ○ 昭和39年9月28日・東京地裁判決において、「いわゆるプライバシー権      は、私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」と定義さ      れた。   2. 損害賠償請求権    ○ 同判例ではプライバシーを侵害した場合、「精神的苦痛に因る損害賠償請     求権が認められるべきものであり、‥‥‥‥…‥‥不法行為として評価され     るべき。」との判断が示された。    ○ また、平成7年3月22日・東京高裁判決で、「プライバシーの権利は憲法第      13条によって保障を受ける人格的利益の一環として法的保護の対象とな      る。」との法的根拠が示された。〈つまり、プライバシーの法的根拠が憲法      第13条であること。)   【憲法第13条 一 個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重 −】    「すべての国民は、個人として専重される。生命、自由及び幸福追求に対する    国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、    最大の専重を必要とする。」    ○ 一方、最高裁判所は、「被上告人らに対する行為はそのプライバシーを侵      害するものであって、同人らの人格的利益を侵害するものというべく、      …不法行為を構成するものといわざるを得ない。」と’’プライバシー”という      表現を初めて用いて、法的概念としてプライバシーを認め、さらに、これを      侵害した場合、不法行為となることを認めた。(平成7年9月5日・最高裁判決)      ○ しかし、プライバシーの定義や権利性については、最高裁判所が明確に判断      していないため、未だに法的に確立されたものとはなっていないと考えられる。   3. 損害賠償額   ○ プライバシー侵害に係る損害賠償額は、精神的苦痛として慰謝料額が算定さ     れる。(侵害行為の動機、態様、違法性の程度、被害者が受けた社会的影響、     悪質性等を総合的に掛酌して算定される。)   ○ 判例で認められた、この損害賠償額は2万円から500万円の範囲である。 (2)プライバシー侵害に係る不法行為の構成要件とは何か.    1. 判例における構成要件      昭和39年9月28日・東京地裁判決において次のように示されるとともに、     その後これらの要件は、東京地方裁判所(平成7年4月1日判決)及び東京高     等裁判所(平成7年11月25日判決)で追認されている。     ア 私生活上の事実又は私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあるこ       とがらであること。     イ ー般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合、公開を欲し       ないであろうと認められることがらであること。     ウ 一般の人々に未だ知られていないことがらであることを必要とし、この       ような公開によって当該私人が実際に不快、不安の念を覚えたことを必       要とする。    2.違法性阻却事由     ○ 不法行為を構成する行為でも特別な事情(違法性阻却事由)がある場合      は、損害賠償請求権は生じない。     ○ プライバシーの侵害においては、相手方の承諾がこれに当たり、侵害さ       れる者が事前に公表者に対して自分のプラバシーの公表について、承諾       の意思表示をしている場合があげられる。     ○ また、判例では、「当該個人の社会的活動の性質あるいは、これを通じ       て社会に及ぼす影響力の程度などの如何によっては、・‥‥・それが公       表されることを受忍しなければならない場合があると解されるほか、その       性質上、それが社会一般の関心あるいは批判の対象となるべき事項に       かかわるときは、その公表が許される場合があると解される。」(平成6年       9月5日・東京地裁判決)  (3)プライバシー保護の対象となる具体例は何か。     プライバシーについて、判例を検証して抽出・分類すると次のとおり。    1. 犯罪に関すること     ア 前科や犯罪経歴     イ 放火事件の犯人として逮捕された者の交遊関係にある者の住所、氏名、年       齢、職業     ウ 不起訴処分となった者の妻の年齢、学歴、職業、勤務先、容姿、私生活上       のエピソード    2. 個人の属性に関すること     ア 個人の勤務先の名称、電話番号     イ 個人の健康状態、病歴、身体的特徴、容姿に関すること     ウ HIV感染の事実    3. 個人の行為に関すること     ア 預金者の貯金の預け入れ・払い戻しの状況、残高、資産状況     イ 婚姻に係る経過や事情、夫婦間のトラブルの内容     ウ 収入の源泉、具体的な収入金額、年金受給の事実と年金額 (4)このような事案に対応する場合、消防境関として留意すべき事項は何か.   1.本件の場合、D週刊誌の記者が問い合わせてきた事項のうち、芸能人Bを搬送し    た事実の確認を除き、プライバシーの保護を受ける事項であり、特段の事情のな    い限り、違法性阻却事由にもあたらないと考えられることから、当事者の承諾な    しに、記者が問い合わせてきた内容を回答した場合、プライバシーを侵害し、損    害賠償請求権が生じることになるものと考えられる。   2. このように消防業務に関連して個人のプライバシーに関する問い合わせがな    された場合、安易に回答すると、損害賠償請求がなされる場合もあることから、    その対応には前(1)から(3)までの事項等に十分注意する必要がある。 =================================ここまで


E) [eml-nc6: 2010] Re: 報道機関への個人情報の開示について Date: Sun, 12 Nov 2006 Eです。 で、私の所属の報道機関対応ですが、火災でも交通事故でも よく報道機関からの問い合わせが通信に入ってきます。 当務隊長または責任者クラスがいれば、電話を回します。 外勤中などで不在であれば、しかたなく係長クラスで答える こともありますが、それの内容は前メールに沿ったところで、 なるべくぼかしてしまうようにします。 はっきりと「内容はわかってはいますが、それ以上は個人情報 となりますのでご勘弁ください」と言う事もありますし、いまどきの 時勢ですのでむこうもわかってくれます。 マスコミ報道でよく見られる、現場臨場者がインタビューに 答えることは、私の所属ではありません。


F) [eml-nc6: 2020] Re: 報道機関への個人情報の開示について Date: Mon, 13 Nov 2006 16:49:14 +0900 F@・・消防です。 通信指令課勤務なので、事故状況等の電話照会は、報道関係に 限らず、警察など頻繁に受けます。 以前は、電話対応した各個人の判断で回答していた部分もあり、 通信指令課としては回答に苦慮していたところです。 このため、指令課から総務課へ打診し、結果、平成18年3月に、 取り決め事項が策定されました。 主な内容は下記の通り。  ・報道関係  ・傷病者の家族  ・第3者  ・保険会社等民間機関  ・労働基準監督署  ・弁護士会  ・捜査機関  ・裁判所  ・当事者 これらの方を対象に、それぞれの情報について、  ・電話での回答  ・書面での回答  ・現場広報 回答内容は  ・時間経過(覚知から鎮火)  ・死傷者数・程度(搬送先は不可)  ・死傷者性別・年齢・職業  ・逃げ遅れ・避難状況  ・管轄署・出動隊数・人員・活動内容  ・通報者性別  ・その他、多数の項目に詳細分類している また、火災にあっては、火元建物と類焼に分け、情報公開の レベルを定めています。 なお、大規模災害など、患者氏名を公開する場合は、消防次長判断で カナ名称や、収容医療機関などを公開する事となっています。 報道関係の方からの電話問い合わせでは、言えない事について 一定の理解を得ることができますが、なかには、納得できないので 責任者と電話を替わってと申し出る方もおられますが、内部規定で 情報提供できないと言うだけです。 代表電話を設置している通信指令課としては、この規定に基づき 回答するだけなので、個人責任を問われることはありません。 (実際にあればトカゲのしっぽ切りかもしれませんが) 以上、ご参考になれば。


G 救急外来における個人情報の扱い Date: Tue, 14 Nov 2006 G(病院職員) 個人情報について当院においての情報を提示します。 ホワイトリストの存在 過去に問題のある患者のリストを受け付け端末に入れて あります。救急隊からの情報で氏名を閲覧して断ることもあります 院長名で内容証明付文書を送り受診を断る場合(200万程度滞納した患者もいます) 医師:看護師:事務職員に対する暴行:暴言など問題行動を起こす患者 暴力団員または構成員の家族や要注意人物 過去に被害者と加害者がともに暴力 団員で保険期詐欺の事案がありましたが、おかしいと感じ警察に通報摘発されま した。 (中略)生保扱いで毎日来ます、しかも時間外で。5人家族でカルテの厚ささは 5センチ以上です。受診前に延々と電話で人生相談があり。看護師が根負けして 受諾します。オペ中で受診できないと言うと10分ごとに電話がかかります。 医師がオペ後降りてきて『終わったよー端末開けてね−』と言うのでシャワー 浴びる時間を考え何分後にあけますか?○○さんが受診希望ですがと聞くと。 『じゃいつものパターンで』といわれるので・・後にきてもらいます。彼らは 仕事していないので午前3時だろうが朝6時だろうが関係ないようです。しかも 日勤帯で受診しているところを見たことがありません。・・・・・、 聞くと昼間は混んでいるからいやだそうです。思わず切れそうになりました。 (中略) 救急隊はVIPと呼んでいますが我々は差別しません。・・議員の妻や息子 行き も救急車帰りも送迎付でした。 また受診ストップ中で不可とお断りしたら、 なんと所属する市の医師会の会長に電話させ救急外来に受診を強要する事案が ありました。結局当直上席医に電話をかわり丁重にお断りしましたが・・・。 主訴は居酒屋でアル中で意識喪失です。いかに・・議員の息子でもオペ中では不 可能です。すごんですごかったですよ! 救急隊員でできないことを我々は毎日行います。 身元を特定できる所持品検査 財布:クレジットカード:現金の保管など個人を 特定できるものは何でも行います。携帯電話があれば速攻で所有者の特定と両親 や友人の電話番号を聞き出します。ホームレスの救急搬送の場合は発見した公園 の住所でカルテを作りID取ります。帰りは警察に公園まで送ってもらいますが・・ また一人暮らしの老人や身寄りのない人も結構います。聞き出してお迎えにきて くださいと電話すると怒って二度と電話するなといわれます。地区の民生委員や 福祉事務所は朝9時以降でないと出勤してこないので、迎えに来るのが10時ごろの 場合もあります。ベッドを塞ぐわけには行かないのでストレッチャ-で寝てもらい ましたがさすがに10時間はつらいもんですよね? 意識喪失の患者で救急隊の搬送通知書の住所氏名と所持品検査で判明した名前が 違う案件も結構あります。他人名義のクレジットカードや診察券 特に外国人に は身分証明書の偽造が多いようです。 我々は何でも屋です。医師や看護師をトラブルからいかに守るのかが仕事と考え ています。 それから不審な電話も結構あります。オンライン端末を全部止めろとか、現在稼 動している診療科の医師名を教えろとか、消防:警察:保険会社の名前で問い合 わせがあります。夜間帯は相手の連絡先を聞いて折り返し電話するようにしてい ます。患者の情報 どの病棟に入院しているかとか、病状の情報については警察: 消防からの問い合わせには相手の部局を確認して医師から電話してもらいます。 ○○警察署 交通課担当 誰々 内線2274とかで判断します。怪しいTELは氏名を 名乗っても折り返しの電話番号を聞くと切ります。 患者の家族からのTEL問い合わせ 入院しているが詳しい病状は答えられないので 直接お越しくださいと説明します。場所と電話番号を教えてナースステーション に来るように言います。 受傷患者の家族が遠距離の場合 都内に通学する大学生で両親が遠距離の場合の 対応 患者の名前を端末で確認してから本人から直接電話してもらうので電話番 号を教えてくださいといいます。不審者の場合これで切れます。両親の場合はメ モを渡して本人から電話してもらいます。 以前救急外来受診時、医師からコールがありました。なんと!ウイークリーマン ションの会員権の売込みでした。診察室は基本的に医師1名で対応しているのでそ こが盲点かも。わざわざ受付してからカルテ作らせて受診するように仕向けてま した。診療妨害と有印文書虚偽記載で警察に通報する旨告知し。その会社に抗議 しました。 それではまた!


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