●第2編第6章第3節「特定行為の制限」の二「特定行為の内容」
(p.141)に除細動を実施する際の具体的説明があるが、伝送については記載されていない。
第三節 特定行為の制限
(一)特定行為の前提条件
救急救命士は、救急救命士法第44条第1項により、医師の具体的
な指示を受けなければ、重度傷病者のうち心肺機能停止状態の患者に
対する 1)半自動式除細動器による除細動、2)厚生大臣の指定する薬
剤(乳酸加リンゲル液)を用いた静脈路確保のための輸液、3)厚生大
臣の指定する器具(食道閉鎖式エアウエイ及びラリンゲアルマスク)
による気道確保を行ってはならないと規定されている。
医師が具体的な指示を救急救命士に与えるには、指示に必要な情報
が医師に伝えられていることとともに、医師と救急救命士が常に連携
を保っていることが必要である。
医師が現場にいない場合は、救急救命士は医師が具体的指示を与え
るに際して、各種の判断を下すために必要な情報を医師に伝える必要
がある。伝送が必要な医療情報として、全身状態(血圧、体温を含む)、
心電図、聴診器による呼吸の状況などが考えられる。
心肺機能停止状態の判定は、原則として医師が心臓機能停止又は呼
吸機能停止の状態を踏まえて行わなければならない。
心臓機能停止の状態は、心電図において、心室細動、心静止、電導
収縮解離の場合、又は、臨床上、意識がなく、頸動脈、大腿動脈(乳
児の場合は上腕動脈)の拍動が触れない場合とすることが適切である。
呼吸機能停止の状態は、観察、聴診器等により、自発呼吸をしてい
ないことが確認された場合とすることが適切である。
(二)特定行為の内容
(1)半自動式除細動器による除細動は、心室細動を半自動式除細動
器により電気的に除去することである。この場合、医師の具体的指示
には、除細動の適否、除細動のエネルギー量、除細動が不成功の場合
の対応方法などが考えられるが、緊急を要する状況であるので、必要
な事項を的確に指示することが適切である。
(2)薬剤を用いた静脈路確保のための輸液は、留置針を使用して、
上肢においては1)手背静脈、2)橈側皮静脈、3)尺側皮静脈、4)肘正中
皮静脈、下肢においては1)大伏在静脈、2)足背静脈を穿刺し、乳酸加
リンゲル液を用いて、静脈路を確保するために輸液を行うことが適切
である。この場合の医師の具体的指示としては、静脈路確保の適否、
静脈路確保の方法、輸液速度などが考えられる。
(3)気道確保は、食道閉鎖式エアウエイ又はラリンゲアルマスクを
使用して行うことが適切である。この場合、医師の具体的指示としては、
気道確保の方法の選定、酸素投与を含む、呼吸管理の方法などが考えら
れる。
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