本研究班および関連研究班による成果物

視覚に障害のある方が新型コロナウイルスに感染し入院したら

〔説明 このリーフレットはA4縦(見開きA3) カラー 2つ折りです。これは 医療従事者と支援スタッフのためのサポートガイド「視覚に障がいのある方が新型コロナウイルス[COVID-19]に感染し入院したら」 というリーフレットです。説明終わり〕

テキスト化凡例
1 テキスト化の際に加えた説明は〔〕(亀甲カッコ)で囲んで、説明、説明終わりとしています。
2 イラスト・写真の説明は、【】(すみつき括弧)で囲んでいます。

〔表紙 1ページ〕
医療従事者と支援スタッフのためのサポートガイド
「視覚に障がいのある方が新型コロナウイルス[COVID-19]に感染し入院したら」

【イラスト】
左側には、リュックを背負ってマスクをし、困り顔で白杖を持った男性。吹き出しには「コロナにかかってしまった。これからどうなるのかとても不安...」の文字。
右側には、防護服にマスクとフェイスシールドを装着した女性看護師。吹き出しには「こんにちは!私がお部屋へご案内します」の文字。
【イラスト終わり】

障がいの程度や症状はひとりひとり異なります。

【イラスト】
左から、健常な見え方、中心暗点、視野狭窄、まぶしさ(羞明)、全盲の順で、ひらがなの「あ」がどのように見えるかを表したイラスト。
【イラスト終わり】

視覚的な情報が制限されるため、情報を収集すること、空間を把握すること、目的地までの距離や経路を確認することが困難です。
コミュニケーションを大切に、柔軟な対応を心掛けましょう。

〔見開き 2,3ページ〕
病院でこんなサポートがあると見えない・見えにくい方は入院時に安心できます!
まったく見えない人でも、慣れてくると単独で移動できる人もいます。最初に時間を取って、病室・トイレ・ナースステーション等の位置関係を説明してください。
「いつもどのようにされていますか」と聞くと、相手の方も応えやすいです。
目で見える情報を音に変えて、聞こえる情報に変換することが説明の際のポイントです。

誘導
誘導の際は視覚障がい者の半歩前に立ち、肘の上や身長差によっては、肩や手首をつかんでもらいます。 誘導する腕は白杖を持っていない側の腕です。
狭いところでは、介助者の腕を背中側に回し、前後一列で歩きます。

【イラスト】
マスクをして白杖を持った視覚障がいの男性と防護服にマスクとフェイスシールドを装着した女性看護師のイラストが4つ並んでいる。
左から順に、
1.看護師が男性の手のひらに消毒液を吹きかけている。看護師の吹き出しには「消毒液をかけるので手を出してください」の文字。
2.手引きのために看護師が男性の左手を自分の右肘に誘導している。看護師の吹き出しには「ご案内します。肘をつかんでください」の文字。
3.白杖で歩く男性の前で、看護師が廊下に置かれた荷物を片付けている。看護師の雲形の吹き出しには「トイレまでの導線にものを置かない」の文字。
4.狭い入り口の前で、看護師が右手を後ろに回して男性を手引きしている。看護師の吹き出しには「狭くなります。私が前になって一列で歩きます。」の文字。
【イラスト終わり】

診察時のサポート
どのような検査を行うのか、検査の流れや所要時間の目安等を説明してください。
録音、代読等を提案すると安心されます。複数の資料を渡す際は、それぞれ何の資料かを伝えてください。資料の文字は大きめのゴシック体にすると読みやすくなります。

【イラスト】
マスクをした視覚障がいの男性と防護服にマスクとフェイスシールドを装着した女性看護師や検査技師のイラストが4つ並んでいる。
左、中央上、中央下、右の順に
1.説明資料を持った看護師が録音機器を持った男性に検査説明を行っている。看護師の吹き出しには「検査説明をします。記録のために音声を録音されますか?」の文字。
2.PCR検査のため、看護師が男性の鼻に棒を入れて検体を採取している。看護師の吹き出しには、「鼻・喉の奥の粘膜からサンプルを採ります。少々辛抱してください。」の文字。
3.看護師が体温計を手に持ち、男性に体温を伝えている。看護師の吹き出しには「体温は37.8℃です。」の文字。右側には「検温の際は、体温をご本人に対して読み上げてください。」の文字。
4.CTの診察台に横になる男性と隣室から窓越しに話しかける検査技師。検査技師の吹き出しには「機械に入ります。動かないでください。」の文字。
【イラスト終わり】

階段での誘導
手すりを使って一人で上り下りしたい人もいます。事前に手すりを使用するかをたずねましょう。
一人で昇降したい人には手すりに手を誘導します。階段や段差では始まりと終わりで、一旦立ち止まって声を掛けてください。

【イラスト】
マスクをして白杖を持った視覚障がいの男性と防護服にマスクとフェイスシールドを装着した女性看護師のイラストが2つ並んでいる。
左から順に、
1.下り階段の手前、手引きの状態で立ち止まる看護師と視覚障害者。看護師の吹き出しには「下り階段の始まりです。手すりを持たれますか?」の文字。
2.下り階段の終わり、手引きの状態で立ち止まる看護師と視覚障害者。看護師の吹き出しには「終わりです。」の文字。
【イラスト終わり】

病室の位置
移動がしやすいように、ナースステーションの近くや、トイレが病室にない場合はトイレの近くが望ましいです。
ベッドは入り口に近い方が分かりやすいです。

【イラスト】
防護服にマスクとフェイスシールドを装着した女性看護師と視覚障がいの男性のイラストが3つ並んでいる。
左から順に、
1.ナースステーションの受付に座る看護師。看護師の頭上に「電子カルテ等に障害の程度や必要な介助をまとめると、院内共通の対応がしやすくなります。」の文字。
2.病室出入り口に立ち、手引きをしながら部屋の説明を行う看護師と説明を受ける男性。看護師の吹き出しには「2人部屋です。左手にベッドが並んでいます。手前が○○さんのベッドです。」の文字。吹き出しの右横には、「病室の広さ、何人部屋か、ベッドの配置を説明してください。特に入り口とベッドの位置関係を確認、個人で利用できる備品は使い方と位置を説明してください。ナースコール、コンセント、テレビのリモコンの位置、貴重品の管理場所を伝えてください。」の文字。
3.ベッド脇で食事の説明を行う看護師と、ベッドの背もたれを起こして説明を聞く男性。看護師の吹き出しには「3時の方向にあたたかいスープがあります。」の文字。
【イラスト終わり】

食べ物の位置は、時計の文字盤を例にして説明。
【イラスト】
クロックポジションをイメージしやすいように、四角いお盆に配膳された食事とアナログ時計の文字盤を重ねたイラスト。
【イラスト終わり】

同意書の署名
同意書等の重要書類は、拡大文字や録音・点字・データでの提供が望まれます。難しい場合は医療相談室で読み上げるなど、患者さんにあった支援を行ってください。
署名欄を大きくすると、署名しやすくなります。また、「サインガイド」を使うと署名欄が認識しやすくなり、ご本人が手で欄を確認しながら名前を自筆で書くことができます。

【イラスト・写真】
席についてマスクをした男性がサインガイドを使用している。
机の上から直線が引かれ、線の先には10円玉ぐらいの丸枠。丸枠の中にはサインガイドの写真。
【イラスト・写真終わり】

目印・表示の工夫
入口のドアノブにリボン等を巻くとわかりやすくなります。本人が認識しやすい色の紙等を病室の扉、トイレの入口に貼ることも有効です。案内表示は白黒反転等のコントラストの工夫が効果的です。

〔背表紙 4ページ〕
軽症・無症状者の宿泊療養などで配慮すべきこと

【イラスト】
宿泊療養施設の廊下(右側)と居室(左側)を描いた断面図。
廊下にあるエレベーター上部には「移動がしやすいエレベーター近くの部屋が適切です。」の文字。
居室出入り口の廊下側のドアノブにはハンカチが巻かれ、「ドアノブにハンカチ等で目印」の文字からドアノブに向かって矢印が引かれている。
エレベーターと居室出入り口のドアの間には「通路に物を置かない」の文字。
ベッドや電話の置かれた居室内には、手引きをしながら部屋を説明する女性看護師と視覚障がいの男性。看護師の吹き出しには「ベッドの横の扉がトイレとお風呂です。」の文字。
ベッドの上部には「入口の扉を起点に部屋の広さ、ベッド、洗面所の位置関係を説明してください。最後に必要に応じて入口から壁沿いに確認してもらうとわかりやすいです。」の文字。
【イラスト終わり】

合理的配慮のための情報確認は、丁寧な言葉遣いで行い、守秘義務は徹底してください。

お風呂場での注意と確認
つまずきや転倒等の危険が生じないよう整理整頓をしてください。石鹸の置き場所に注意してください。
お風呂のお湯の設定温度を確認し、便器とトイレットペーパー、水を流すボタンの位置、温水洗浄便座の操作方法等を丁寧に説明してください。

目印・表示の工夫
ドアノブにハンカチを巻いたり、ポットのスイッチなどに色や触覚でわかるシールや点字シールを貼ると、認識しやすくなります。
シャンプーとリンスはどちらかにゴムを巻くか、メーカーが提供する点字シールを貼ると区別しやすくなります。

【イラスト】
ユニットバスの断面図。中には輪ゴムが巻かれたボトルを手に持ち、マスクをした下着姿の男性。「ボトルにゴムで目印」の文字からボトルに向かって矢印が引かれている。
トイレ脇の操作パネルから直線が引かれ、線の先には10円玉ぐらいの丸枠。丸枠の中には、おしりの洗浄ボタンに凸シールで目印を付けた写真。写真の上には、「洗浄ボタン等に凸シールで目印」の文字。
洗面台に置かれたポットから直線が引かれ、線の先には10円玉ぐらいの丸枠が2つ。丸枠の中には、それぞれ凸シールの写真と点字シールの写真。写真の上には「凸シールや点字シールでスイッチなどに目印」の文字。
【イラスト終わり】

お弁当の受け渡し
手渡しの場合は中に入っているものを説明してください。
箸やスプーンはひとまとめにビニールの袋に入れておくとわかりやすくなります。
お弁当に限らず、手渡しができない場合はドア付近に置き、内線電話で内容を知らせてください。

【イラスト】
防護服とマスクにフェイスシールドを装着して弁当を配布する女性看護師と部屋を出てドアの前で弁当を受け取ろうとするマスクをした男性。看護師の吹き出しには「お弁当とヨーグルト、お茶が入っています。」の文字
【イラスト終わり】

作成・お問合せ先:令和2年度厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合事業
「障害のあるがん患者のニーズに基づいた情報普及と医療者向け研修プログラムの開発に関する研究」班
研究代表者 八巻知香子
国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供部 医療情報評価室
E-mail:medinfo-disability-sec@umin.ac.jp

以上で 医療従事者と支援スタッフのためのサポートガイド「視覚に障がいのある方が新型コロナウイルス[COVID-19]に感染し入院したら」 リーフレットのテキスト化を終わります。
製作完了令和2年5月
製作 堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センタ