術前CTで小さくなって生検術が不成功になったジャーミノーマ a biopsy failure of neurohypophyseal germinoma due to presurgical CT exam.

  • ジャーミノーマは,放射線感受性が極めて高い腫瘍です
  • ほんの少しのX線被曝で小さくなったり消えてしまったりします
  • 18グレイくらいの放射線で消失して治った例なども知られています
  • CT検査だけで消失することがあります
  • もちろんカテーテルを用いる血管撮影 DSAでも消えることがあります
  • ですから,ジャーミノーマを疑った場合にはX線を用いる検査を行いません

神経下垂体ジャーミノーマの生検不成功例です

11歳で尿崩症で発症,初潮が発来せず,18歳で低身長を指摘され下垂体機能不全とMRIにてLCHを疑われました。HCGは測定限界値以下で経過しました。


左側のMRIは21歳時のものです。発症後10年が経過していました。
下垂体の腫瘍性病変が増大したために,経蝶形骨洞手術 TSS で生検術を計画しました。経鼻手術でしたので,受け持ちの若い先生が,入院後に3Dやらthin sliceやら濃厚なCT検査を2度行いました。

予定どおり生検したのですが,大学病院病理部から帰ってきた返事は「免疫染色を含めて腫瘍細胞はなく,小型リンパ球を中心とした多彩な炎症細胞浸潤を認めることからlymphocytic hypophysitisの可能性は考えられます」という返事でした。

私は,生検術が終わってから初めて,手術前にCT検査が繰り返されたことを知りました。


「生検」術後のMRIです。腫瘍がかなり縮小しています。手術ではトルコ鞍底部の腫瘍をごくわずかに摘出しただけなので,手術前のCT,胸部写真などのX線被曝によって腫瘍細胞が消失してしまったと考えられます。

また経過観察を続けました。患者さんは部分的汎下垂体機能低下症があったもののホルモン補充で元気に暮らしていました。


その2年後24歳の時のMRIです。発症後13年。
トルコ鞍内部の腫瘍はほぼ消失してしまって,視床下部から第3脳室に急激に腫瘍増大しました。仕方がないので,開頭手術ですぐに生検術をしました。


病理所見です。典型的な germinoma でした。

治療は,ICE (IFO/CDDP/VP-16)化学療法を3コースの後で全脳室照射 25.2Gy/12分割を加えました。

治療後8年ほど経ちますが,幸い患者さんは元気でごく普通の社会生活ができています。

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