脳外科医 澤村豊のホームページ

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グリオーマの悪性転化 (malignant transformation):セカンダリー・グリオブラストーマ (secondary glioblastoma)

  • 低悪性度グリオーマが高悪性度グリオーマとして再燃(再発)することです
  • 悪性転化といわれていますが,もともとグレード2でも悪性腫瘍なので,良性のものが悪性になったわけではありません
  • 単に再燃時にグレードが上がると理解した方がいいでしょう
  • 病理学的には,もともと高悪性度グリオーマが,初回診断で低悪性度グリオーマとして誤診されたのみで,特に遺伝子変異 transformation したわけではないと理解されることも多いです
  • 放射線治療をすると腫瘍が悪性化するということがよく言われますが,そうではない場合がほとんどです

いくつかの代表的な再発パターンがあります

  1. グレード2のびまん性星細胞腫が,短期間の間にグレード4膠芽腫として再発する
  2. グレード3の退形成性星細胞腫が,何年か後にグレード4の膠芽腫として再発する
  3. グレード2の乏突起膠腫が,何年も後でグレード3の退形成性乏突起膠腫として再発する

もっとも気をつけなければならない分子診断

IDH wild-type 野生型のびまん性星細胞腫 グレード2と診断された場合です,このタイプは,早期に膠芽腫として再燃することが多いです

退形成性星細胞腫 グレード3の膠芽腫としての再発例

左上前頭回のびまん性グリオーマ diffuse glioma です。手術でほぼ全摘 gross total removalして54グレイの放射線治療とテモゾロマイド化学療法をしました。病理診断は,oilg 2陽性,1p/19q染色体の欠失はない退形成性乏突起星細胞腫 グレード3とされました。全体的にはグレード2であるとの病理医の意見もありましたし,当時は北大病院でもIDHの正確な分子病理診断は行われていませんでした。

5年後です。上前頭回の病巣は落ち着いていましたが,初回にはなかったはずの場所,脳梁前方に急激な再発増大を生じました。また手術で全摘出 gross total removalして,かなり絞った領域に60グレイの放射線治療とテモゾロマイド,アバスチンの投与をしました。病理診断は,IDH wild-tpye, 1p/19q non-codel,  MIB 40%, ATRX positive, MGMT negativeの膠芽腫でした。

その後またしばらく寛解継続できました。

考えられることと不明なこと
  • oligoとしての分化像を含むAA anaplastic astrocytomaが,再発時にGBMになったという事実があります
  • これは最初から単なるGBMであったものではありません
  • oligoの部分像をかなり含む,グレード3あるいは2の diffuse gliomaでしたが,1p/19qの欠失はありませんでした
  • secondary GBMのように,治療反応性がよいものでしたが,再発時にはIDHはwild typeでした
  • 再発は初発部位とはかなり離れた部位で,放射線線量がほとんど入っていない部位でした
  • これを放射線誘発GBMとして捉えるのかどうか不明です
  • 逆に,CTVはかなり広くとてあったので放射線の掛け損ないでの再発ではありません
  • びまん性グリオーマが予想以上にかなり広く浸潤するということを示唆しています

 

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