公衆衛生学は産業革命期の英国で誕生し、その後、英米を中心に発展してきた実践的学問分野である。わが国では、戦後日本国憲法25条第2項により国が公衆衛生の向上・増進に努めることが定められたことから、1947年(昭和22年)国内で最初の公衆衛生学講座として東京大学医学部公衆衛生学教室が設置された。

 人の集団を対象として検討を進める手法は公衆衛生学の変わらぬ柱であるが、その後、疾病構造の変化、医療制度の複雑化、健康寄与要因の多様化、さらにはデータサイエンスの興隆とその適正化のための個人情報保護をはじめとする社会環境、情報技術の発展に伴うデータの収集・解析能力の著しい向上等による研究方法の変化に伴い、公衆衛生学も多様な学問分野として発展を遂げている。

 特に研究対象も伝統的な公衆衛生学が疾病の予防や早期発見を中心として扱ってきたのに対し、近年ではヘルスサービス研究と呼ばれる分野が認知を得るようになり、医療へのアクセス、診療提供体制のあり方、医療資源の配分、医療の質の確保、さらには、疾病とともに生きる生活への支援・対策など、その扱う範囲は多様化している。

 当教室は、時代の変化に対応し、社会のニーズに密着した研究を遂行するとともに、科学的知見を応用して、患者・国民の健康と福利の向上に貢献する総合力を持った人材の育成を目的としている。

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