患者・市民参画はPatient and Public Involvement(PPI)の日本語訳です。
国際的にはその他、Public Involvement(PI)、Patient Engagement(PE)、Patient and Public Involvement Engagement(PPIE)など を用いることもあり、用語が統一されていない状況にあります。
患者・市民参画(PPI)の取り組みに歴史のある英国では、
Patient and Public Involvement (PPI) means actively working in partnership with patients and members of the public to plan, manage, design and carry out research. It is “Research being carried out ‘with’ or ‘by’ members of the public rather than ‘to’, ‘about’ or ‘for’ them”
(National Institute for Health Research (NIHR) , UK)
「患者・市民参画(PPI)とは、患者や市民と共に計画、管理、デザイン、研究の遂行をパートナーとして実行していくことを意味する。市民のためにではなく、市民とともに、市民によって実施される。」
国内の先駆的取り組みの団体であるPPI-Japanでは、
「患者やその家族、市民の方々の経験や知見・想いを積極的に将来の治療や ケアの研究開発、医療の運営などのために活かしていこうとする取り組み」(PPI-Japan ホームページより抜粋)
と、説明しています。
つまり・・・
一つの事柄の“計画の最初”から“普及啓発”までの長い期間において、医療者や専門家に患者・市民がパートナーとして加わることを参画と言い、参加より密接な関係を指します。

平成30年(2018年)のがん対策推進基本計画ではがん研究に以下のように述べられています。

国内では、様々なところで研修が行われるようになりました。
ところが、どのような人材を育成すればよいかという議論がなかったため、それぞれの団体がその時興味があるテーマで研修を開催しています。それでは、効果的な研修にならないことから、私たちは、がん医療、特に、研究などに患者・市民が参画することができるよう体系的カリキュラムを作成することにしました。これによって、多様な研修が繋がるようになることを目指しています。

令和5年(2023年)には第4期がん対策推進基本計画の中で、基盤領域の一つとして、初めて「患者・市民参画の推進」が盛り込まれました。参画できる仕組み(体制整備*)と啓発・育成(教育*)の二つの目標は変わらず、領域についてはがん研究*から一歩展開し、国や都道府県の協議会等行政会議への参画の推進が含まれています。さらに、医療従事者、関係学会にも理解を求めています。
*第3期がん対策推進基本計画での記述

このマナビの広場は、患者・市民参画の目標の一つ、啓発・育成を進めていくために作られました。