
災害時の避難空間をスフィア基準をつかってアセスメントしてみましょう。
今の所、日本の災害時の避難をした人が生活をする場所には、多くの場合、集会所や学校などの公共の施設が指定されています。その施設の殆どは、人が生活をする「お家」のような場所として設計されていません。ですので、生活をするとなると様々な不具合が起きてきます。
その不具合を解消するには、その場所を人が生活をする場所としてアセスメント(評価)し、災害対応をする行政の方たちや、支援をする組織に「必要なもの」が「どれだけ」必要なのかを伝えることが効果的です。
この「施設・避難所等ラピッドアセスメントシート」には、災害が起きた後1週間程度の間の避難所の環境を、誰もがすばやくアセスメントでき、行政や支援組織に正しく伝えることができることを目的に作られたものです。
施設・避難所等ラピッドアセスメントシート 環境項目のスフィア基準指標 (2025年版)
この評価基準は、「こころのかまえ研究会」が2025年3月13日版として作成したものです 。スフィア基準に基づいた評価基準であり、2025年3月31日版の「施設・避難所等ラピッドアセスメントシート」の項目に対応しています 。みなさんが地域で行う防災訓練等でも、このアセスメントシートを使って「我慢をしない生活の場としての避難所」を作ってみませんか?
飲料水
- A. 1人当たり食事とは別に1日3L以上の飲料水量がある
- B. 1人当たり食事とは別に1日2L以上の飲料水量がある
- C. 1人当たり食事とは別に1日1L以上の飲料水量がある
- D. 1人当たり食事を入れて1日1L程度の水分摂取量がある
- E. D以下の状況
食事
- A. 米飯やパンなど主食が1日3回以上、おかずが1回以上避難者全員に提供されている(カレー、豚汁、弁当等含む)
- B. 米飯やパンなど主食が1日3回避難者全員に提供されている
- C. 米飯やパンなど主食が1日1~2回避難者全員に提供されている
- D. 避難者が持参した食料をそれぞれで食べている
- E. D以下の状況
使用可能トイレ
- A. 避難者全てが昼夜問わず不安を感じずにトイレを使用している
- B. 男女別になっており、女性用が男性用に比べて3倍の鍵が掛り明かりのつく個室トイレがある
- C. 避難者20人につき1台の鍵が掛り明かりのつく個室トイレがある
- D. 避難者50人につき1台の個室トイレがある
- E. D以下の状況
新 電気
- A. 冷暖房機器を24時間稼働している
- B. 館内照明が24時間稼働している
- C. 館内照明が一部稼働している
- D. 館内照明が発電機で賄われている
- E. D以下の状況
生活用水
- A. 食器を充分に洗浄できるだけの量がある
- B. 調理器具を十分に洗浄できるだけの量がある
- C. 避難者全員が毎回トイレの後手を洗う事ができるだけの量がある
- D. 避難者全員が1日1回はトイレの後手を洗う事ができるだけの量がある
- E. D以下の状況
過密度
- A. 避難者全てが世帯ごとに最低限の身の回りのものを置くスペースと足を伸ばして寝るスペースを持ち、子どもと大人が手を繋いで歩けるだけの幅の通路が全ての出入り口まである
- B. 避難者全てが最低限の身の回りのものを置くスペースと足を伸ばして寝るスペースを持っている
- C. 避難者全てが毛布1枚分のスペースを持っている
- D. 世帯の誰かは自宅や車など避難所外で寝ている
- E. D以下の状況
毛布等寝具
- A. 避難者全てに最低1枚ずつの季節に合った敷く物と掛ける物が渡っており、必要時交換できるだけの予備がある
- B. 避難者全てに最低1枚ずつの季節に合った敷く物と掛ける物が渡っている
- C. 避難者全てに毛布が1枚は渡っている
- D. 要支援者には毛布が1枚は渡っている
- E. D以下の状況
湿温度管理
- A. 施設内全体で、空調システムが機能している
- B. 扇風機やスペースヒータなど、部分的な空調機器が各世帯にある
- C. 扇風機やスペースヒータなど、部分的な空調機器が要配慮者のいる各世帯にある
- D. 居住スペースの天井までの高さが2m以上あり、その空間全体を換気することができる
- E. D以下の状況
手洗い環境
- A. 排水機能のある手洗い場所が、トイレ付近・洗面施設・調理場すべてに1つはある
- B. 排水機能のある手洗い場所が、トイレ付近・洗面施設・調理場いずれかに1つはある
- C. 使い捨ておしぼりや手指消毒剤が、トイレ付近・洗面施設・調理場すべてに1つはある
- D. 使い捨ておしぼりや手指消毒剤が、トイレ付近・洗面施設・調理場いずれかに1つはある
- E. D以下の状況
新 感染予防・清掃用物品
- A. 消耗品の補給がある状況で、館内の全ての施設の清掃に必要な物品が揃っている
- B. 館内の全ての施設の清掃に必要な物品が揃っている
- C. 吐しゃ物や汚物等を安全に処理するのに必要な物品が揃っている
- D. トイレ清掃に必要な物品が揃っている
- E. D以下の状況
新 個人スペースの区切り
- A. 過密度と調整
- B. 過密度と調整
- C. 過密度と調整
- D. 過密度と調整
- E. D以下の状況
新 簡易ベッド等
- A. 世帯構成者の全員が簡易ベッド等で休息できる
- B. 世帯構成者の一部が簡易ベッド等で休息できる
- C. 乳幼児・子ども・要介護者の全員が簡易ベッド等で休息できる
- D. 乳幼児・子ども・要介護者の一部が簡易ベッド等で休息できる
- E. D以下の状況
新 バリアフリー
- A. 車椅子および移動補助具を用いている人が、館内全ての施設を自力で移動し使用することができる
- B. 車椅子および移動補助具を用いている人が、個人のスペース、玄関、トイレ、食料と物資の配給場所に自力で移動することができる
- C. 車椅子および移動補助具を用いている人が、個人のスペース、玄関、トイレ、食料と物資の配給場所に助力を得て移動することができる
- D. 車椅子および移動補助具を用いている人が、玄関、トイレ、食料と物資の配給場所に近い場所に集約されている
- E. D以下の状況
注
- 現行のシートはAからDまでになります。Dの状況が満たされていない場合でも、空白にせずDを入力することを推奨します。
- 電気の指標については国際基準で明記している資料はないため、国内災害の現状に合わせて筆者が作成しました。
参考文献
- A. Sphere Association スフィアハンドブック:人道憲章と人道支援に関する最低基準、2018年発行 第4版、スイス、ジュネーブ
www.spherestandards.org/handbook - B. Minimum Standards for Age and Disability Inclusion in Humanitarian Action: Pilot Version. Age and Disability Consortium as part of the ADCAP programme. 2015. ISBN 978-1-872590-97-4