災害時の避難空間をスフィア基準をつかってアセスメントしてみましょう。
今の所、日本の災害時の避難をした人が生活をする場所には、多くの場合、集会所や学校などの公共の施設が指定されています。その施設の殆どは、人が生活をする「お家」のような場所として設計されていません。ですので、生活をするとなると様々な不具合が起きてきます。
その不具合を解消するには、その場所を人が生活をする場所としてアセスメント(評価)し、災害対応をする行政の方たちや、支援をする組織に「必要なもの」が「どれだけ」必要なのかを伝えることが効果的です。
この「施設・避難所等ラピッドアセスメントシート」には、災害が起きた後1週間程度の間の避難所の環境を、誰もがすばやくアセスメントでき、行政や支援組織に正しく伝えることができることを目的に作られたものです。
特に、ライフラインと衛生環境についての9項目は、スフィア基準を用いたA, B, C, Dの評価をすることで、より正確に現状を伝えられることが期待されます。
飲料水
- A. 1 人当たり食事とは別に 1 日 3L 以上の飲料水量がある
- B. 1 人当たり食事とは別に 1 日 2L 以上の飲料水量がある
- C. 1 人当たり食事とは別に 1 日 1L 以上の飲料水量がある
- D. 1 人当たり食事を入れて 1 日 1L 程度の水分摂取量がある
食事
- A. 米飯やパンなど主食が1日3回以上、おかずが1回以上避難者全員に提供さ れている(カレー、トン汁、弁当等含む)
- B. 米飯やパンなど主食が1日3回避難者全員に提供されている
- C. 米飯やパンなど主食が1日1~2回避難者全員に提供されている
- D. 避難者が持参した食料をそれぞれで食べている
トイレ
- A. 避難者全てが昼夜問わず不安を感じずにトイレを使用している
- B. 男女別になっており、女性用が男性用に比べて 3 倍の個室トイレがある
- C. 避難者 20 人につき 1 台の個室トイレがある
- D. 避難者 50 人につき 1 台の個室トイレがある
燃料
- A. 避難者全ての食事を 1 日 2ー3 回調理し、暖をとるだけの燃料がある
- B. 避難者全ての食事を 1 日 1 回は調理し、暖をとるだけの燃料がある
- C. 授乳器具を煮沸消毒するだけの燃料がある
- D. 携帯用燃料を一部の避難者が持っている
生活用水
- A. 食器を充分に洗浄できるだけの量がある
- B. 調理器具を十分に洗浄できるだけの量がある
- C. 避難者全員が毎回トイレの後手を洗う事ができるだけの量がある
- D. 避難者全員が 1 日 1 回はトイレの後手を洗う事ができるだけの量がある
過密度
- A. 避難者全てが世帯ごとに最低限の身の回りのものを置くスペースと足を伸 ばして寝るスペースを持ち、子どもと大人が手を繋いで歩けるだけの幅の通 路が全ての出入り口まである
- B. 避難者全てが最低限の身の回りのものを置くスペースと足を伸ばして寝る スペースを持っている
- C. 避難者全てが毛布 1 枚分のスペースを持っている
- D. 世帯の誰かは自宅や車など避難所外で寝ている
毛布などの寝具
- A. 避難者全てに最低 1 枚ずつの季節に合った敷く物と掛ける物が渡っており、 必要時交換できるだけの予備がある
- B. 避難者全てに最低 1 枚ずつの季節に合った敷く物と掛ける物が渡っている
- C. 避難者全てに毛布が 1 枚は渡っている
- D. 要支援者には毛布が 1 枚は渡っている
室温温度管理
- A. 施設内全体で、空調システムが機能している
- B. 扇風機やスペースヒータなど、部分的な空調機器が各世帯にある
- C. 扇風機やスペースヒータなど、部分的な空調機器が要配慮者のいる各世帯に ある
- D. 居住スペースの天井までの高さが2m 以上あり、その空間全体を換気する ことができる
手洗い環境
- A. 排水機能のある手洗い場所が、トイレ付近・洗面施設・調理場すべてに 1 つ はある
- B. 排水機能のある手洗い場所が、トイレ付近・洗面施設・調理場いずれかに 1 つはある
- C. 使い捨ておしぼりや手指消毒剤が、トイレ付近・洗面施設・調理場すべてに 1 つはある
- D. 使い捨ておしぼりや手指消毒剤が、トイレ付近・洗面施設・調理場いずれか に 1 つはある
みなさんが地域で行う防災訓練等でも、このアセスメントシートを使って「我慢をしない生活の場としての避難所」を作ってみませんか?