クラスターアプローチ (Cluster Coordination)は、国連が考えている包括的な支援の在り方です。大きな災害が起きたときに、人の人権が守られるような支援をするためには、最低11の領域が必要だと考えられています。
輸送 :大量のものや人を運ぶ仕組みです。クロネコヤマトや、飛行機会社やJR、日本郵政など。
栄養・食料確保 :食料確保はその国の主食を、非常に大人数に対して確保する領域です。栄養は、必要なカロリーがとれているのか、必要な栄養素がとれているのか支援する領域です。子どものミルクなどの支援も、栄養の領域が担当します。
避難所・仮設住宅運営 :もともと英語では避難所は「Shelter(一時避難所)」、仮設住宅運営「Camp Management(難民キャンプ運営)」と記載されていますが、日本人に馴染みやすい言葉に書き換えています。
保健 :医療・保健・福祉・公衆衛生すべて含まれます。
保護 :災害が起きても、起きたあとでも、被災された方たちの身体的、心理的、社会的、宗教的、政治的なあらゆる被害から保護される権利を持っています。消防や警察なども含まれます。
通信 :あらゆる通信手段の再構築やより良いシステムの構築。
早期復旧 :電気やガスなど、普段生活するときに欠かせないインフラストラクチャーを指します。
教育 :日本では、避難所に学校が指定されていることが多く、避難所が開設されているあいだ、子どもの学ぶ権利、遊ぶ権利が著しく損なわれてしまいます。心理的応急処置(PFA)の視点でも、この教育は大事な領域です。子ども広場(Child Friendly Space)は、子どもにとって遊び場ともに学びの場を確保する大事な支援になります。
水と衛生 :日本では飲水と生活用水の区別がありません。日本は、インフラストラクチャーでトイレに上水道が通っていて、飲水でおしりを毎回ウォシュレットで洗っているのは日本くらいです。他の国の人が感激して自国に持って帰ってもウォシュレットが使えないことが多いです。し尿処理・排泄物処理も含まれます。
国連やWHOは、保健に携わる人達が、単独で「こころのケア( Mental Health and Psychosocial Support : MHPSS )」をすることは効果的でない、と明言しています。ご飯を配るとき、避難所で生活している一部、衛生促進の何かをするとき、予防接種をするとき、教育を再開するとき、などに「こころのケア」が含まれるべきである、と言われています。
MHPSS については、こちらのページをご参照ください。
それぞれの領域において関わる機関が異なり、それぞれの領域で「多職種」連携が必要であり、領域同士の連携も求められます。あなたがもし、支援者として活動するのであれば、この連携を実践するために「自分はどの立場で、どこまでの範囲で、どのような活動を行うか」明らかにする必要があると考えます。
災害前から、これらの知識があれば、発災当初から効率的・効果的に動けているかもしれません。「平時にできないことは,非常時にもできない」と言葉があるように、これは、発災時の対応・復旧・復興だけでなく、平時から防災・減災・準備を意識して行動することが大事です。それぞれのクラスターとのつながりを、平時から考えているのであれば、災害後の協働がよりスムーズになることは、想像に難くないでしょう。
主要なクラスターの「水と衛生」、「栄養」「食料確保」、「避難所」「仮設住宅運営」、「保健」については、スフィア基準に言及があります。詳細は下記のリンクをご参照ください。
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