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こだまの世界

2003年3月中旬号

「[アメリカ人と違って]ヨーロッパ人が戦争を嫌いなのは、 彼らが武器を十分に持っていないからなのか、 あるいは彼らは戦争が嫌いだからこそ武器を十分に持っていないのか」

---Timothy Garton Ash

「われわれが知っておくべきことは、 人生という劇場において観客でいられるのはただ神と天使だけということだ」

---フランシス・ベーコン


主な話題

物欲リスト


11/Mar/2003 (Tuesday/mardi/Dienstag)

真夜中 (午前)

夕方にちょっと寝るつもりが、えんえんと寝てしまう。いかん。

なんかネット依存症気味だ。昔からか。

真夜中2 (午前)

風呂に入る。風呂に入っているときが一番考えが進むな。 今後たとえ風呂でウェブが見られるような設備が安く利用可能になっても、 それだけは入れないようにしよう。

真夜中3 (午前)

う〜。某原稿が書けない。某学会の原稿も早く書かないといけないのに。

英国開発省長官のクレア・ショートが 「国連の決議なし戦争をしたら辞職する」 とブレアを脅して大きな問題になっているようだ (BBC News)。

起きる。昨夜よく寝たせいかあまり寝れず、ずっと退屈な夢を見ていた気がする。

朝食。新聞。

「たばこは文化」「ボクシングはスポーツ」。 WTOのたばこ条約を見ると、たばこは他者危害の原則を越えて、 パターナリズムの立場から規制をかけつつあるように見える。 自己決定の原則を貫くなら、 分煙を徹底させるところまでしかできないはずだが。 ボクシングはやはりパターナリズムからしか禁止は支持できないだろう。

日本に来て苦労して勉強した中国人留学生の話。 日本に来たは良いが、 中国の大学の卒業証書が本物かどうかが問題になり、 そのせいで日本の大学院入学が一年遅れた。

挫折から始まった留学生活で、彼女は最大限の努力をした。 一日三百円の生活費では学食にも行けない。 一日一食をフリカケですませ、 十三時間を勉学に充てた。修士号を獲得、 博士課程在学中に除籍となった。
(荻野アンナ「或る留学」産経本日付2面)。

深く反省して今日から見習え。

お昼前

サラサラ血液を目指してレタスを食べる。簡単に測定する機械はないのかな。

そろそろ行かねば。

メモ: 類推はアルゴリズムと並び問題解決法の一つで、 ヒューリスティック・デバイスと考えられる。 認知心理学とか認知科学という分野でいろいろ研究があるようだ。 また、法学では判例法との関係で研究がなされている。

お昼、カンボジアにおける民主化支援についての某セミナーに出席するために 九段下へ。民主化におけるラジオの役割について考えさせられた。 「カンボジアも日本と同じような仕方で民主化できないのか」 と安易に考えていたが、 内戦があったところとそうでないところとでは、 民主主義に適した市民社会をどう形成するかがかなり異なるようだ。 とくにカンボジアはポルポト政権時代に知識人の虐殺があったから なおさらのようだ。

見知らぬ人だらけなので、あまり交じわりもせずに帰ってくる。 せっかく東京にいるんだからいろいろ情報を集めてセミナーに出席しないとな。

電車の中ではシンガーのOne Worldを読む。あざやかな議論。 シンガーを研究すればよかった。I wish that I knew what I know now when I was younger...

いや、まだ若い。ちゃんと勉強しよう。めざせ一日13時間。

夜2

ちょっと近くのホームセンターで買物。マグカップを二つほど。

Pettitの`The Contribution of Analytical Philosophy'(in Companion to Contemporary Political Philosophy)を読もう。

続きはまた。

真夜中

晩ごはんは、えのきとししゃものバター炒め、じゃこおろし、その他。

眠い。う〜ん。


12/Mar/2003 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

よく寝る。資源ゴミを出す。

朝2

朝食、新聞。誰がタマちゃん(にしたまお)の利益を代弁できるのか。 そのうち「タマちゃんに自己決定権を」なんて意見も出てきそうだ。

昨日の論文の続き。

休憩。この論文、長いな。

お昼前

来客があるので、掃除機を初めて使用してみた。

お昼

またアマゾンから本が来てしまった。

今日の英語: Freedom fries, Freedom toast

かつてはフレンチフライ、フレンチトーストと言われていたもの。 米国では反戦を支持するフランスに対する敵意が高まっており、 フランスの名前を使っているこの二つの名称も変更せよという声が 共和党内で高まっている。

この調子でフレンチ・レター、フレンチ・ポストカードも それぞれフリーダムズ・レター、 フリーダムズ・ポストカードに変更されるだろうか。 いや、そもそもこんな言葉は死語か。

夕方

お昼に某兄夫婦と某母親が訪ねてきたので、 一緒に駅前に行き韓国料理を食べる。 家でしばらくゆっくりしたあと、車で帰っていった。

う〜ん、眠い。

しばらく寝る。

どうもやる気出ず。


13/Mar/2003 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

真夜中 (午前)

風呂に入ったり読書したり。

そういえば、クラッシュの「ラジオ・クラッシュ」と クイーンの「地獄へ道づれ(Another One Bites the Dust)」はそっくりだ。

起きる。某超有名野球選手のように寝違えたのか、頭が痛い。

燃えるゴミを出し、朝食。

新聞。昨日、 「そのうち『タマちゃんに自己決定権を』なんて意見も出てきそうだ」と書いたが、 産経抄がまさにそのようなコメントをしている。

こうしたことの要諦は「放っとけ!」である。 川は確かに汚れてはいるだろうが、 彼は縁あって日本の川をすみかとした。 強制連行されてきたわけでも何でもない。 自らそういう人生、いや"アザラシ生"を選択したのである。(…) タマちゃんを北海へ戻してやろうという試みも人間の善意からだろうが、 動物には大きな迷惑、余計なお世話かもしれない。 その独善に気がつかぬ人は世に少なくない。
(産経抄本日付)

いつもの産経抄からすれば、 「強制連行」より「拉致されてきたわけでもなんでもない」 と書くべきところだと思うが、 それは別として、 このようにアザラシに自己決定権を与えるべきかどうかというのは 難しい問題だ。アザラシに判断能力はあるのか? タマちゃんも人生の実験をしているのだろうか。

なんてことを書くと、き印と思われるだろうからここらでやめておこう。 それでなくてもDQN研究者だと思われてそうだしなあ。 ああ、早く人間になりたい…。

お昼前

どうも頭が痛い。頭痛持ちになったのだろうか。

お昼すぎ

というわけですこし睡眠。まだ後頭部が変な感じだが、なんとか。 休んでばかりいないで勉強しよう。運動もしよう。

そういえば寝てるときに地震があったが、めんどうなのでそのまま寝ていた。 大きい地震が来たら死ぬな。

ご飯を炊いたつもりが、保温になっており、中途半端な炊け方をしていた。 現在、鍋でちゃんと炊けるか実験中。

夕方

おかゆとおこげができる。

苛酷な労働時間が少子化の一因になっているというのは本当のようだ。 最近ベネズエラでは二ヶ月に渡るゼネストがあったが、 そのあいだに飛ぶように売れたのがバイアグラだったそうだ。 性の専門家に言わせると、「ストライキによって高まった国家的な緊張が、 ベネズエラ人のリビドーを高めたのだろう」とのこと (Ananova)。

ひい。電気代が。今後、電気ストーブは使用禁止(もう春だけど)。

バハ(Bach)を聴きながら、ようやく腰をすえて勉強中。 逃避してはいけない。逃避してはいけない。

中国版のForty Licksにはブラウンシュガー、夜をぶっとばせ、 ホンキートンクウィメン、ビーストオブバーデンの四曲が検閲に引っかかり、 収録されていないそうだ。Thirty-Six Licksということになる。

夜2

ミカンにカビが生えていてびびる。ゴミ袋へ。合掌。

夜3

やっと某ボクシング原稿(本になるやつ)が書けた。 4000字だからやれば半日でできるのに、 なぜ一週間も二週間もかかってしまうのか。 この怠惰さをなんとかしなければだめだ。 〆切がこないと行動できないようでは、 他律的だとカント先生に杖でぶたれてしまう。 もっとがんばれ。

今年の抱負を思い出そう。

  1. D論を書くこと (進んでない)
  2. 議論をすること (できてない)
  3. 逃避しないこと (毎日してる)
  4. 知らないことは知らないと言うこと (努力してる)
  5. むやみにタクシーに乗らないこと (そもそもひきこもってるので乗る機会がない)

激しく反省。13時間勉強しろ。

う、鍋の底が焦げてる。まいったなあ。


14/Mar/2003 (Friday/vendredi/Freitag)

真夜中 (午前)

昨夜、遅くに某東急ストアに行き、買物をする。

下宿に戻ってきてから晩ごはんの仕度。 遠い遠い昔に某先輩にもらったレシピに従って、 野菜炒めを作ってみる。野菜は適当に、キャベツ、 (冷蔵庫で朽ちかけていた)もやし、ちんげん菜、 それに厚あげ豆腐、えびを炒め、 味噌と豆板醤その他をまぜたタレをかけて出来上がり。 フライパンからあふれだすくらいのボリュームだったので、 すっかり腹がふくれてしまった。

眠い。明日に備えて『アンティゴネー』を読まねば。

真夜中2 (午前)

ラジオのクイズに出演していた挑戦者二人(両方ともコメディアン)の かけあいがおもしろかった。

DJ「それで、二人は知り合いなの?」

A「ああ、彼とは仲がいいよ。結婚式には招待してもらえなかったけどね」

B「そうだったっけ。すまん。じゃあ、葬式には招待することにするよ」

真夜中2 (午前)

『アンティゴネー』を読む。 自然法の勉強をしているときに部分的に読んでいたが、 ロミオとジュリエットの悲劇を思わせるエンディングは読んでなかったようだ。

起きる。あまりよく寝られず。悪い夢を見ていた気がする。 規則正しい生活を心掛けよう。

燃えないゴミを出す。

朝2

新聞。曾野綾子が最近の銀行合併についておもしろいことを書いている。

この合併の姿は、人間にすればそろばん弾いての政略結婚を思わせる。 銀行が苦境に立ちだしたのは、合併名称の変更で何とか状況を 打開できると思った頃からか。 しかもいい名前をつける文学的才能のある人物が、銀行の世界に一人も いなかったことが証明された。

幸福だのトマトだのあおぞらだのしあわせだの「ふざけないで」 と言いたい銀行名もある。今に、 家族銀行、長寿銀行(マークは杖をついたお年寄り)、 市民参加銀行、ふれあい銀行(女性社員に触らないでください、 という注意がカウンターに出ている)、 うねり銀行、横綱銀行、ノーベル銀行、 おやじ銀行、出会いいやし銀行(出会い銀行といやし銀行の合併)、 野球サッカー銀行、おしん大根銀行(商標は二本の大根のぶっ違いで迫力があ る)、 おむすび銀行(マークがいい)などもできそうだ。
(産経新聞本日付)

最後の部分がよい。くだらないのもあるが、 かっこ内の説明に想像力があってよい。


15/Mar/2003 (Saturday/samedi/Sonnabend)

真夜中 (午前)

昨日は、大学に行くつもりだったが遅くなったのであきらめ、 駅前の某靴屋で今履いている茶色の革靴と同じものを買う。 古いものは引き取ってもらう。

それから駅前の某カプリチョーザで昼食。 ここは味だめ、サービスだめなので今後は近寄らないことにする。

それからしばらく家で休んだあと、 夕方に有楽町に行き、ギリシア国立劇団による『アンティゴネー』を見る。 開演時間を30分勘違いしており、10分ほど遅刻してしまう。あほ。 劇はなかなか良かった。義理と人情の物語、ではないが、 義務の葛藤の話(国への忠誠の義務vs家族の義務、公平の義務vs家族の義務、 忠孝の義務vs愛する人への義務etc)。 が、耳にイヤホンをつけて日本語訳を聴くというシステムは、 慣れないせいか今いちだった。ギリシア語ができたらなあ。

そのあと銀座で某プロントで食事。某カプリチョーザよりはましだったが、 やはりイタめし食べるならもうちょっと店を選ばねば。

遅くに帰ってくる。もう寝よう。

お昼

昼前までフトンから出られず。なんとか脱出して朝食。

昼下がり

新聞。

夕方

うどん。パターナリズムについてすこし考える。 他にも考えるべきことは山ほどあるな。

最近新聞で大リーグの結果を見ることがあるが、 慣れていないので専門用語が難しい。「右邪犠飛」って何だろうと思って 調べると、ライト(右)、ファール(邪)、犠牲(犠)、フライ(飛)という意味だった。 素人目にはほとんど暗号だ。

ちょっと某ダイエーに行き買物。

いろいろなところで使われているはてなアンテナが便利そうなので、 ちょっと試してみる。 これまでつかっていた「たまてばこ」は削除。 crontabコマンド(-eで編集、-rで削除)を使ってcrontabも削除。 ひさしぶりにviコマンドを使ってあわてる。

ちょっと生活が快適になった、かな?

夜2

Pettitの論文の続きを読む。契約論の先鋭化の話と、 善の理論(personalism, solipsism)と正の理論(義務論と帰結主義)の話。 ああ、思想史も勉強しないと。 というか、論文を早く書け。

早く頭が良くなりたい。

夜3

DNAについてのテレビ。離れて暮らしていた双子がそっくりの人生を送っていたとか、 肺・心臓移植を受けたレシピエントがドナーの性格を引き継いだとか。 ホンマに遺伝子によって説明されるんかいな。

メモ。生殖補助医療において兄弟姉妹による精子・卵子の提供は認めないという 方向で厚生科学省の委員会が合意(昨日の産経)。平成12年12月にまとめた報告書では 兄弟姉妹しか提供者がいない場合にかぎり、例外的に認めていた。

真夜中

野菜炒めその他を作る。買ってきたタワシで底の焦げたナベを洗う。 苦労したが、9割方は落とせたようだ。つかれた。手も荒れてしまう。

う、某千葉大で今日からおもしろい研究会がやっているようだ。 ちょっと遠いが明日は行ってみることにしよう。しかし、 9時半からということは、7時半ぐらいに出ないといけなさそうだな。


16/Mar/2003 (Sunday/dimanche/Sonntag)

真夜中 (午前)

Companion to Contemporary Political Philosophyに収録されている David Westの`Continental Philosophy'を読み始める。おもしろい。

とにかくもっと勉強しなければ。

お昼前

しまった、確信犯的に寝過ごしてしまった。行かねば。

真夜中

今日は某公共哲学研究会に午後から少し参加してきた。 法哲学関係の偉い人たちが多数。 共同体主義と共和主義の話だったが今ひとつ関心が持てなかった。 英語だと聞き流してしまうのかな。 某ペティト先生のプレゼン能力には関心したが。

夕方から雨。東京駅で待ち合わせをしていたので、 銀の鈴で本を読みながらしばらく待つ。 いろいろな人がいておもしろい。 ホームレスっぽい人が壁に向かって立ち小便していたが、 あれは犯罪ではないのか。

夜、雨の中自転車を押して帰宅。眠い。


17/Mar/2003 (Monday/lundi/Montag)

真夜中 (午前)

メモ: 「〜のように思われる」のように控えめに書くのではなく、 「この立場の誤りは…」とか `What's wrong with this theory is ...'のように挑戦的に書くこと。 そのように書く心構えがないと批判的に思考する習慣が身に付かない。

真夜中2 (午前)

センの勉強。潜在的能力アプローチのすばらしさがまだわからない。 「何の平等か?」をあと百遍読むこと。

真夜中3 (午前)

腹が減ったので、こないだ某母にもらったレトルトカレーとパックごはんを 電子レンジで温めて食べる。

メモ: ベンタムは障害者については言うべきことはなかったのか。 カンポス-ボラレヴィの本には言及がない。 そもそも当時は障害者というカテゴリーは存在したのか(狂人の一種?)。

夜明け前

ついこんな時間まで本を読みふけってしまう。 次々と連想的に本棚に手を伸ばして読書するのは楽しい。

昼下がり

某千葉大学にて。今日も確信犯的に遅刻してしまった。 お昼に駅前でそばを食べてから来た(某土風炉というところ。 雰囲気も味も良い)。

以下、電車で新聞を読んでいたときのメモ。 某広告の「98%全裸」という表現はおもしろい。 もちろん「論文は9割完成しています」というような表現もあるので、 格段に特別な表現とは言えないが。 顔と手だけ出てる写真を「5%全裸」と表現するとどうだろうか。 「博士論文はもうすでに5%完成しています」とか。

産経の投稿欄に、タマちゃん(ニシタマオ)騒動の件。曰く、 目的が手段を正当化するという考え方は間違えている。ごもっとも。 ちゃんと手続的正義を実行すべきところだ。 あ、そうすると国連の決議の話ともつながるな。

「拉致はテロか」という問題は、 ある行為がテロであるための必要条件は何かというおもしろい話題だ。 テロと言えば市民の無差別攻撃で、 とくにパレスティナの自爆テロやオウムの地下鉄テロを連想するが、 市民を無差別に誘拐して恐怖に陥れるのもテロと言えないことはない。 ただし、北朝鮮による拉致は、 フィリピンのイスラム過激派の誘拐やパキスタンの米国ジャーナリストの誘拐と 違い、主義主張を宣伝するために行なっているわけではなく(身代金目的もあるが)、 情報収集の手段という違いがある。警察庁の見解では 「誘拐当時に不安を引き起こさなかった」ことからテロではなく誘拐であるそうだ。

昼下がり2

うそ、ピーター、ポール&マリーのマリーってこんなになっちゃったの? パパスアンドママスのママ・キャスかと思った。

研究会は早々に抜けてきて、 駅前で買物をして早目に帰宅。 ダニエル・ベルが寄稿している国際NGOの四つのジレンマの話が おもしろかったので帰りの電車ではそれを読んでいた (タイトルにある共同体主義の話ではなく、 差替えのペーパーの内容もまったく違っていたので、 たぶん間違って印刷されたものと思う)。

勉強部屋があまりに寒いので(11度)、ストーブを付ける。

う〜ん、カンポス=ボラレヴィはベンタムの所有権の安全の考慮を あまりに反動的と捉えすぎている気がするな。

真夜中

ちょっとご飯。眠いので風呂にも入る。

どうももうすぐ戦争が起こりそうだ。 戦争して兵隊と市民が犠牲になってでもフセインを排除すべきなのかどうか。 いつまでも説得という手段に頼るわけにはいかないだろうが、 すべての方法は尽くされたのだろうか。 やはりせめてもう一度国連決議を通してほしいところだ。


18/Mar/2003 (Tuesday/mardi/Dienstag)

真夜中 (午前)

タコ入りペペロンチーニを作る。 ちょっと麺が塩辛くなってしまったが、うまい。 ホウレン草のおひたしも作ってみたが、 いつもの倍の量を一度にやったので、 あくが抜けてなかった。

お昼すぎ

やっと起きる。洗濯、朝食。

フセインが48時間以内に国外退去しない場合は、戦争が始まるそうだ。

ブッシュがスターリンのいる冷戦時代に大統領になっていたら、 「独裁者が大量破壊兵器を持っている」という理由で先制攻撃を主張しただろうか。 今回は明らかに勝てるケンカだから強気に出ているのだろうか。

小泉首相は日本は戦争には参加しないという。しかし、 言葉の上では米国を支持し、金まで払っているのだから、 「参加していない」というのは欺瞞だ。 個人に責任があるかどうかは難しい問題だが、 無関係とは言えない。

「結局、君は今回の戦争に賛成なのか、反対なのか」

「事実関係をよく知らないので態度表明をするのは気が引けるのですが、 イラクが外国の侵略を始めるまで武力介入はしないというのが筋のように 思います。今回はアルカイーダと違って特定の国家が問題になっているので、 あえて先制攻撃をする理由が弱いと思います」

「しかし、イラクも北朝鮮も国際平和にとって脅威だから、 さっさと独裁者を片付けてしまった方がいいんじゃないのか。 北朝鮮では市民も飢餓に苦しんでいるし」

「北朝鮮は中国との関係もあるから、米国が先に手を出すかどうかは疑問ですけどね。 それに国内問題で言えば、ジンバブエのようなひどい国だってある。 米国が介入する理由は、国内問題でなく、自国の脅威になるかどうかでしょう」

「まあ、帰結主義的に考えると、イラクを民主化あるいは傀儡政権化することに よって米国の脅威が取り払われるかという問題もあるな。またぞろテロ組織の 活動が活発化するかもしれん」

「まあ米国もバカじゃないからそこらへんはきっと対策を立てていると 思いますけどね。しかし、ほんとに踏み絵状態ですね。小泉首相はさっさと 『日本は米国の味方です』と言ってしまいましたが、独仏のことを考えると、 米国の`us or them'という踏み絵によって今後の国際関係が大きく変わった と見るべきではないでしょうか」

「国連安保理の権威も失墜するだろうしな。EUも一致団結して米国に対抗できない ことがわかったし、今後は世界警察の米国が暴走しないのをただただ祈るばかりだな」

「祈るだけでなく、行動しないと」

「君だってやってないくせに」

昼下がり、大学に行き、新聞を読んだり某教授と話したりする。

夕方、ちょっと渋谷に行き、買物。 それから自由ヶ丘に戻ってきて、 夕食を食べてから帰宅。小雨。つかれた。

『市民ケーン』がやっているので少し見る。

戦争が起こったらポルトガルに行くのをやめるべきかどうか、 真剣に考えなくては。


19/Mar/2003 (Wednesday/mercredi/Mittwoch)

お昼すぎ

お昼まで寝てしまう。うう。

クレア・ショート英国開発省長官が辞任しないことにしたそうだ。 ロビン・クックはすでにブレアの方針に反発して辞任。 他にも労働党内で辞任が相次いでいるようだ。

ガーディアン・ウィークリーがここ二週間ほど到着していない。どうしたことか。

昼下がり

「しかし、この執拗なフセイン一族への攻撃、 まるで大阪冬の陣、夏の陣みたいだな」

「どういう意味でそうなんですか」

「だって、国連査察で大量破壊兵器が見つからなかったら、 今度は一族が亡命しないかぎり攻撃するとかさ。しかも、 亡命しても戦争裁判を行なって裁くとか言ってるんだから、 フセイン一族としては悲愴な決意で戦うしかないじゃないか」

「そうですね。このまま行ってフセインが死ぬと、 殉教者扱いされるかもしれませんね」

「すでに中東では反米の象徴のようになっているみたいだからな。 しかし、イラク問題が片付いても、まだパレスティナ問題もあるし、 オサマ・ビンラーディンも臥薪嘗胆を決めこみ、 どこかに潜伏しているかもしれない。 北朝鮮だって米国の脅威には違いない。 これらを国連の協力なしに米国はぜんぶ片付けてしまう気か?」

「どうなんでしょうかね。 それよりぼくは自分がポルトガルに行くべきかどうかの方が心配で…」

「ええい、自分のことばかり考えおって。情けない」

「いや、戦争のことは自分の意志ではどうにもならないので。 ストア派の諦念ですよ」

「そんなことはない。反戦だったらデモをするのだ」

「でも…」

「でもじゃないっ」

夕方、果物を買いに行こうと近くのスーパーに行ったらすでに閉まっていた。

小泉首相は声を裏返しながら党首論戦を行なっていた。いや、ただそれだけ。


20/Mar/2003 (Thursday/jeudi/Donnerstag)

真夜中 (午前)

ベンタムの勉強中。 いつのまにやらモンテスキューの『法の精神』を読んでいる。 おもしろい。民主主義における市民的徳は、平等と倹約(勤労)だそうだ。 「民主主義の腐敗は平等が足りないことからも生じるが、 悪平等からも生じる」(第8巻第2章)と述べる彼は、産経新聞的保守主義者だと思う。

「資本主義」の定義が気になって、手元にある辞書を引いてみる。

封建制に次いで現れる経済体制。生産手段を資本として所有する 資本家が、利潤獲得を目的として、自己の労働力しか売るものをもたない 労働者から労働力を商品として買いとり、商品生産を行う経済体制。
(小学館国語辞典 Bookshelf version 2)

う〜ん、マルクス主義者だな、これを書いたのは。

Capitalism is an economic and political system in which property, business, and industry are owned by private individuals and not by the state.
Collins COBUILD

「資本主義は国ではなく個人によって財産、企業、産業などが所有されている 経済政治体制」となっている。これは社会主義と対立させた定義だな。

まあ、A Dictionary of Political Thoughtを参考にすると、 資本主義とは、(1)生産手段としての資本を持った個人、 (2)市場経済、(3)分業の三つの存在を前提しており、 労働力を売りたがっている人々に対して資本家が給料という形で資本を用い、 労働によってできた生産品を市場で売ることにで利益を上げる、 という制度のことと言えるようだ。

真夜中2 (午前)

C.W.Everettの`The Constitutional Code of Jeremy Bentham'(1948). ハートのベンタム紹介論文のように、情報量豊かで、おもしろおかしく ベンタムの思想を紹介している。おどろくのは、 世論裁判所のことをほとんど一言も触れていないこと(最後に一度言及があるだけ)なぜだろう?

昼下がり

サーバが落ちていたようだ。原因は不明。

朝、ニュースを見ていると戦争が始まる。 朝食を食べながらニュース。 NHKの軍事評論家の某江畑さんは髪型が気になって話に集中できないので、 帽子でもカツラでもかぶってほしい。

昼、郵便局に行き科研費関係の書類を速達で出す。 コンビニで電話代その他を払う。 ついでに近くのスーパーで野菜や果物も購入。

戻ってきてからちょっと部屋の掃除。よけい汚なくなったかも。

今日の日本語: マルクス・ボーイ

戦後しばらくは広く存在したが、現在はほぼ死滅した人種。 若いころはマルクスに没頭し社会主義の理想を掲げて生きていたが、 マルクス中年、マルクス老人になるにつれて現実の成行きに幻滅し、 ソ連が崩壊するとともにマルクス全集を古本屋に売り飛ばしてしまった。 臨終の言葉は「全国の労働者は団結しなかった」。

なお、マルクス・ボーイに近い人種に文学青年がいるが、 これも近年WHOによって絶滅危惧品種に指定されたため、 現在は主に旧帝大文学部によって保護されている。

昼下がり2

米国はピンポイント攻撃でサダム・フセインを殺そうとしているようだ。 米国の技術力をもってすれば成功するかもしれない (オサマ・ビンラーディンはまだうまくいっていないようだが)。 これこそ暗殺あるいはテロという感じがするが、 最も進化した形の戦争と言うべきなのだろうか。

(ゴルゴに頼めばいいのに)

昼下がり3

大リーグでの日本人選手の活躍についての新聞記事で困るのは、 「イチローは3の2」のように選手の成績は報道するが、 しばしば勝敗については言及されないことだ。 たとえば朝日の この記事とか この記事。 まあたしかに勝敗なんて関係ないと言えば関係ないのかもしれないが、 選手の活躍が勝利につながったのかどうかぐらいは知りたくないのだろうか。 なんとなく、「外国で飛行機墜落。邦人の死傷者はゼロ」 というのと同じ報道姿勢が背後にあるような…そんなことないか。

夕方

リズボン行きをキャンセルしてしまった。うう、これで良かったのか。 しかし、もう決めたから後悔しないことにしよう。また二年後。勉強勉強。

夕方2

三日に一度は掃除機をかけること。

今は「ケアリスト」という職業もあるのか。 ちなみに、英語辞書にはcarerという単語はあるが、 caristという言葉はないようだ。 「ケアラー」はアムラーみたいで真面目そうじゃないから、 なんとなく専門職っぽい響きがある「ケアリスト」にしたのだろうか。

(辞書には`-ist is used to form count nouns referring to people who do a particular kind of work'とある)

今日の英語: decapitation

首を落とすことだが、転じて、 イラク戦争に勝利するためにサダムフセインをピンポイントで殺害すること。 今回の戦争のキーワードになりそうだ。

こないだもらった蕎麦を作って食べる。 その他、ちりめんじゃこ、プチトマトなど。

ひどく眠い。

真夜中

風呂。

ThinkPadのハードディスクがいっぱいだ。どうしようか。 とりあえずそろそろバックアップを取っておこう。

科研費の実績報告書を書いていると嫌になってきた。 今年はもっとしっかりしたものを書こう。 って、毎年言ってるんだよなあ。修業修業。

真夜中2

英米人が「彼はナショナリストだ」と言ったら批判である。 一方「あなたはペイトリオティストですか」と英米人に尋ねたら、 怪訝な顔をされるか、怒鳴られるだろう。 「あなたは正直者ですか」と尋ねるようなものだからである。
(本日付産経新聞正論より)

「あなたはペイトリオティストですか」と尋ねたら、おそらく返ってくる答えは、 「ペイトリオットという言葉はあるがペイトリオティストという言葉はない」 だろう。以上、揚げ足とり。産経がんばれ。

祖国愛(愛国心)、共和主義、共同体主義、どれも向かうところは同じで、 人々が公益(公共の福祉)を顧みず私益の追求に専心していることを嘆いているようだ。 しかし、資本主義は私益の追求を奨励する制度だから、 これが民主主義の徳である公共精神(公共心)を損なってしまうというか、 つねに民主主義と資本主義が緊張関係にあるというのが問題なんだろうなあ。 ああ、なんか大きな言葉を使ってしまった。


何か一言

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KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Tue Mar 21 00:12:14 JST 2006