権利論用語集
はじめに
(道徳)権利論についての用語集も作ってみました。
自分の勉強のための覚え書きのようなものですが、
ひょっとすると何かのお役に立つかもしれません。
凡例
  - 用語
      (ひらがな表記 英語名)
  
 - 説明
      (クロスリファレンスされている場合は、
      マウスで色の違う部分をクリックしてください)
 
か
  - 外的選好
      (がいてきせんこう external preference)
  
 - 
き
   - 義務
      (ぎむ obligation, duty)
  
 - 
  
 - 義務を基礎におく政治理論
      (ぎむをきそにおくせいじりろん duty-based political theory)
  
 - 権利を基礎におく政治理論の項を見よ。
  
け
   - ゲワース
      (げわーす Gewirth, Alan)
  
 - 
  
 - 権利
      (けんり right)
  
 - 
  
 - 権利の還元性
      (けんりのかんげんせい reducibility of rights)
  
 - 権利に関する言明と同一の内容を、権利という言葉を使わずに、
      義務などの別の語を使うことによって表現できるかどうか、
      という問題。
      (08/20/99)
  
 - 権利の切り札説
      (けんりのきりふだせつ trump theory of rights)
  
 - 
  
 - 権利の選択説
      (けんりのせんたくせつ choice theory of rights)
  
 - 
  
 - 権利の利益説
      (けんりのりえきせつ benefit theory of rights)
  
 - 
      
  
 - 権利を基礎におく政治理論
      (けんりをきそにおくせいじりろん right-based political theory)
  
 - 権利基底的政治理論とも。
      
こ
   - 功利主義
      (こうりしゅぎ utilitarianism)
  
 - 個々人の利益や権利よりも社会全体の利益を優先させるという欠陥をもつ思想。
      (08/20/99)
  
 - 国連人権宣言
  
 - 日本語のものが、
      国連のページで見れます。
      (08/21/99)
      
し
   - 自然権
      (しぜんけん natural rights)
  
 - 一般に、政府による実定法の成立に先立って存在するとされる権利のこと。
      通常、自由権、平等権、所有権、抵抗権などがそこに数え入れられる。
      自然権論によれば、
      政府の主たる目的はこれらの自然権を保護することであり、
      自然権をどのていど保護しているかによって、
      政府の善し悪しが決まるとされる。
      そして、自然権を保護しない悪い政府には抵抗することが正当化される。
      自然法の項を見よ。
      (08/20/99)
  
 - 実定道徳
      (じっていどうとく positive morality)
  
 - 社会で実際に受け入れられている道徳。慣習道徳。
      これに対し、実定法や実定道徳を批判的に評価するための基準を、
      批判道徳(critical morality)と呼ぶ。
      N・マコーミックによれば、
      これはジョン・オースティンなどの功利主義者が用いた用語を、
      ハートが復活させた。
      以下はハートの『法・自由・道徳』からの引用である。
      「私は、前世紀の功利主義たちが愛用した用語法を復活させたいと思う。
      それは、「実定道徳」--つまり、
      ある社会集団によって現実に受容され共有されている道徳--を、
      実定道徳を含めて、現実の社会制度を批判する際に用いられる
      一般的な道徳原理から区別する。
      われわれは、そうした一般的原理を「批判道徳」と呼んでよい……」
      (N・マコーミック、『ハート法理学の全体像』、角田猛之編訳、
      晃洋書房、1996年、129頁)
      (08/22/99)
  
 - 自由尊重主義
      (じゆうそんちょうしゅぎ libetarianism)
  
 - リバタリアニズムの項を見よ。
  
 - 人権
      (じんけん human rights, rights of man)
  
 - 道徳的権利の中でも、
      人間すべてが、人間であるがゆえに持つとされる、普遍的な権利。
      通常、自由権、平等権、拷問を受けない権利などが挙げられる。
      親が子に対して持つ権利や、被告が裁判官に対して持つ権利など、
      特殊な関係から生じる道徳的権利と区別される。
      (08/21/99)
せ
   - 制度功利主義
      (せいどこうりしゅぎ institutional utilitarianism)
  
 - 
      
た
   - リチャード・タック
      (たっく Tuck, Richard)
  
 - 
ど
   - ドゥウォーキン
      (どぅうぉーきん Dworkin, Ronald)
  
 - カタカナ表記が難しい思想家の代表格。
      (08/21/99)
  
 - 道徳的権利
      (どうとくてきけんり moral rights)
  
 - 法によって生み出される法的権利とは異なる、
      道徳上の権利。
      かつては自然権と呼ばれた。      
      ファインバーグからの孫引きだが、
      レイモンド・フレイは次のように定義している。
      「[道徳的権利とは、]
      共同体における立法や社会的慣行の産物ではないものであり、
      それを否定するような立法や慣行に直面した場合でもしぶとく生き残り、
      さらに、
      個人にしろ共同体にしろ、その全体的な目的の追求に当たって、
      踏み超えてはならない境界を定めるような権利のことである」
      (Joel Feinberg, Freedom and Fulfillment,
      Philosophical Essays, Princeton UP, 1992, p. 200)
      これに続けてファインバーグは、
      道徳的権利が、法的権利と異なるだけでなく、
      慣習道徳によって成立するような権利とも異なることを強調している。
      すなわち、道徳的権利は、
      法的権利や慣習道徳による権利を批判し基礎づける「真の」権利なのである。
      (08/21/99)
      ファインバーグの用語に従って、
      実定道徳(慣習的道徳、常識道徳)において認められている道徳的権利を
      慣習的な道徳的権利と呼び、
      実定法や実定道徳を批判する基準としての道徳的権利を
      批判的な道徳的権利と呼ぶといいかもしれない。
      この場合、後者が自然権に当たる。
      (08/22/99 追記)      
   - 道徳的権利の願望説
      (どうとくてきけんりのがんぼうせつ the optative theory of rights)
  
 - 「わたしはXに対して道徳的権利を持つ」という表現が意味するのは、
      「それが法的権利であればよいのに!」という願望であるとする説。
      ベンタムの
      「権利のようなものがあればよいがあればよいと願う理由は権利ではない。
      ある権利が確立されたらよいと願う理由はその権利ではない。
      不足は供給ではない。空腹はパンではない」という主張がよく引用される。
      しかし、ファインバーグは、
      この説明では政府に対する抵抗権が説明できないとする。
      というのは、抵抗権の存在を主張することを、
      「抵抗権が法的権利であればよいのに」
      という主張であると解釈することは難しいからである。      
      (08/22/99)      
      
の
   - ノージック
      (のーじっく Nozick, Robert)
  
 - 『アナーキー・国家・ユートピア』を書いた人。
      リバタリアニズム
      の立場を取る人として知られている。
      (08/20/99)
      
は
   - ラッセル・ハーディン
      (らっせる・はーでぃん Hardin, Russel)
  
 - なんでも制度功利主義を主張している人らしい。
      (08/20/99)
  
 - ハート
      (はーと Hart, H.L.A.)
  
 - Herbert Lionel Adolphus Hartという長い名前を持つ思想家。
      (08/22/99)
  
 - 批判道徳
      (ひはんどうとく critical morality)
  
 - 実定道徳の項を参照せよ。
ふ
   - ファインバーグ
      (ふぁいんばーぐ Feinberg, Joel)
  
 - 
  
 - フランス人権宣言
      (ふらんすじんけんせんげん the Declaration of the Rights of Man and
      of the Citizen)
  
 - 正式名称は、「人と市民の権利宣言」。
      
ほ
   - 法実証主義
      (ほうじっしょうしゅぎ legal positivism)
  
 - 自然法や自然権といった、
      非-実定的な法や権利は存在しないという立場。
      この考えはしばしば、「実定法一元論」
      という言葉で要約される。
      ただし、「実定法一元論」というのは、裏から見れば、
      自然法論ないし自然権論という規範的枠組みを否定する
      見方であったことを理解する必要があろう。
      (08/22/99)
も
   - 目的を基礎におく政治理論
      (もくてきをきそにおくせいじりろん goal-based political theory)
  
 - 
ら
   - ラズ
      (らず Raz, Joseph)
  
 - 
      
り
   - リッチー
      (りっちー Ritchie, David George)
  
 - 19世紀末のスコットランドの思想家。
      まだあまり詳しいことは知らないが、
      「進化論的功利主義者」などと呼ばれるらしい。
      自然権思想を批判しており、
      「権利と義務を持つ人間は社会が生み出したものであり、
      それゆえ、
      個人の権利は社会全体の視点から判断されなくてはならないのであって、
      社会が個人の視点から判断されるのではない」などと論じてるらしい。
      自然権思想を批判した書として、
      Natural Rights: A Criticism of Some Political
      and Ethical Conceptionsという本が知られている。
      (08/22/99)
      
  
 - リバタリアニズム
      (りばたりあにずむ libetarianism)
  
 - 
ろ
   - ロレン・ロマスキー
      (ろれん・ろますきー Lomasky, Loren)
  
 - 
 
KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Sat Oct 24 07:54:11 JST 2015