新聞記事の要約です。 固有名詞の訳はあんまり調べてません。 間違ってるのがあれば教えてください。
This is a summary of recent news articles relating (directly or indirectly) to applied ethics.
今年2月、バングラデシュ政府はすべてのポリ袋の使用を禁止したが、 生産者は年間数百億ドルもうかる産業を守ろうと圧力をかけている。
バングラデシュでポリ袋が登場したのは1980年代はじめと比較的最近のことである。 それまでは、ジュート(黄麻)や紙の袋が使われていた。 ポリ袋は数年で飛躍的に使用が増加し、1984年に16しかなかった工場は 1990年には300になった。
しかし、非分解性(non-degradable)のポリ袋は、 下水をせきとめてしまい、 1988年から1998年にかけて起きた洪水(国土の3分の2が水浸しになった) の原因を作ったと考えられている。 首都ダッカでは毎日1000万のポリ袋が使われ、 ゴミ箱に入るのはそのうちの20%である。
それだけでなく、農場の土の中に埋まったポリ袋は、 土中の栄養分を減らしてしまうという研究も発表された。
さらに、ポリエチレンの生産とリサイクルにかかわる人々の健康に対する被害も 大きな問題になった。 工場で働く人々は、ポリエチレンが燃やされるときに出てくる ダイオキシンとシアン化水素(hydrogen cyanide 青酸ガス)が主な原因で、 呼吸器系の問題、目の痛み、めまい、皮膚ガンなどの疾患を訴えた。
ポリ袋産業は既得利益を守るためにさまざまな手で法的規制を妨害しようとした。 彼らは、下水の問題は政府の問題で、ポリ袋を禁止するのは不当だと主張し、 また、ポリ袋の生産を中止することによって、大きな失業問題が発生すると論じた。
しかし、政府は失業問題は一時的なものだと反論し、ポリ袋産業のかわりに 従来のジュート産業の復興を目指すと主張した。実際、 人々はポリ袋の規制後は、従来の紙やジュートの袋を使うことになれつつある。
ただし、1993年にポリ袋が最初に禁止されたとき、 ポリ袋産業は政治的圧力によって禁止を撤廃することに成功しているので、 今後の展開はまだわからない。
政府が3月に国会に提出した法案によると、 ポリ袋の生産を止めない人は10年の実刑判決と17000ドルの罰金を 支払わなければならず、ポリ袋を使った人も9ドルの罰金を払わされる。
分解性のポリ袋を作るという手もあると思うが…。 かなり徹底した法を作るので感心した。うまく行くといいけど。
最近中国政府が発表した2000年の国勢調査の結果によると、 生まれてきた新生児の男女比は116:100であることがわかった。
自然の男女比は105-7:100であると考えられており、 この結果は、 女の子の胚は男の子を生むためにしばしば中絶されることを意味している。 1990年の国勢調査では比率は111:100であった。
中国の中央部の農村地帯で行なわれた調査によると、 多くの女性は妊娠後に超音波スキャンを受け、 男児が生まれてくることを確認する。 調査をした820人の女性のうち、 300人以上が中絶を行なったと回答した。
中国は一人っ子政策を行なっていることで知られているが、 多くの農村地帯では二人目の子供を持つことが許されている。 しかし、経済改革によって労働力の需要が高まったことにより、 男児の方を好む傾向が強まっている。 都会の中流階級の家庭も、 一人目が男児であればそれ以上は生まないという傾向がある。
国勢調査で明らかになった新生児の男女比は、地方でも格差が大きく、 五つの省では男女比は女の子100に対して男の子125以上である。 とくに、広東省では100:130、海南省では100:135という高い比率を記録している。 中国の専門家の中には、 中国全体では男性の方が女性よりも7000万人多いと考えている者もいる。
中絶の問題と、男女比がのちに生みだす社会的問題というのがあると思う。 中絶は人工妊娠中絶による生み分けの技術が発展し安価になれば (倫理問題は別として)解決するが、 男性が多すぎることによる社会的問題はそれでは解決できない。
最新の人口の統計的研究によれば、先進国における平均余命は今後さらに高ま ると考えられており、各国政府は福祉政策の見直しを迫られることになる。
従来、科学者の多くは20世紀に起きた平均余命の劇的な増加(たとえば、 英国では1901年の男性の平均余命は48才、2000年では75才であった。 女性はそれぞれ49才、80才)は21世紀には続かないと政府に回答していた。
しかし、先日英独(ケンブリッジ、マックスプランク研究所)の研究者が 科学雑誌サイエンスに発表したところによれば、 今後も平均余命は増加の一途を辿ると考えるべきである。 米国政府の見解によれば、2070年における米国の女性の平均余命は83.9才であるが、 彼らの結論によれば、101才にまで上がる可能性がある。 また、今年フランスか日本で生まれた女の子は、 50%の確率で100才まで生きると述べられている。
これが正しいとすれば、政府は年金、医療などの福祉政策の大きな見直しを する必要があることになる。とくに、健康寿命(healthy life expectancy)が 平均余命ほどは増加しないかもしれないことを考えると、 高齢者のための医療や社会的サービスの大きな増加が見込まれる。
20世紀のあいだ、多くの科学者が平均余命には絶対的な限界があると主張してきた。 1928年、米国のある人口統計学者は平均余命64.75才を超えることはないだろうと 述べた。1990年には、ある統計学者は、老化を止める決定的方法が見つからない限り、 平均余命は85才を超えることはないと述べた。しかし、6年後、 日本の女性の平均余命はこの数値を超えたのである。
科学的な知見が政策に大きく関わる一例。鯨にしても、温暖化問題にしても、 いろいろな利害関心が関係してくるので科学的な統一見解を出すことは難しそうだ。