こだまの(新)世界 / 文学のお話

筒井康隆『脱走と追跡のサンバ』


内容

脱走してやるぞ!
どんなことがあっても、脱走してやる。 このいやらしい世界から逃げ出してやる。 こんなところにとじこめられていてたまるものか。
まさに汚物の墓場の下水管を通り抜けマンホールから こっちの世界に入りこんだものの、 いまやあっちの世界へ脱出だ! もう脱出するための行動しかのこされていないのだ。
奇想天外な発想で現代をパロディ化し、 現実と虚構の世界を渾然一体に描いた著者会心のSF長編小説。
(カバー裏から引用)


感想

知り合い達からの前評判が良かったので、 期待して読み始めたのだが、予想に反してつまらなかった。

なぜつまらなかったのかを考えると、

などなどの理由からだろうか。 とにかく最後まで読むのが辛かった。

この作品のもつパロディ性が理解できるほどの、 背景知識が豊富な方にはお勧めなのかもしれない。

(注: 一応、ぼくは筒井康隆の大ファンであることを断っておきます)


名セリフ

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「ああそうか。やっとわかった」
「最近よく『わからないこと』をいう人がいます。 そういう人に『わかりませんが』と訊ねると、 きまって『わからなくていいのです』と答えます。 するとあなたもそういった『わからないことをいう人』のひとりなのですね。 はっはっはあ。そうでしたか。わかりました。 いや。やっとわかりました」(60頁)


08/19/98-08/21/98

B-


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Sat Aug 22 21:31:37 JST 1998