(ぴーたーしんがー Singer, Peter)
動物は人間と平等であると言うピーター・シンガーは間違っています。 うちでは猫が明らかに進化の階梯の頂点に立っており、 われわれはさまざまな役割を果たすべくよく調教されています。 家禽は高度に労働組合化されており、 朝の熱いポリッジや晩の氷入りの水など、 つねにもっと良い労働条件を要求しています。 それどころか野生のカンガルーでさえ、 毎日オーツの食事を要求してきます。 つかれはてたわたしの夫とわたしができることと言えば、 動物と平等でありたいと夢想することだけであります。
---ガーディアン・ウィークリーの投書欄から
シンガーは「居心地のよい信念に風穴を開ける」のが好きで、 明らかに自分がソクラテス的伝統に立つものと考えている。 この伝統によれば、 哲学者の役割はその時代の基本となる前提を問い正すことである。
シンガーはこの役割に適任である。 彼はいちじくの葉を見つければかならずそれをはぎとり、 その下に隠れているものを明らかにする。---Helga Kuhse
「わたしが[『動物の解放』を]書いたとき、 わたしはこの本が世界を変えると本気で考えていた。 今日ではちょっと大それたことに聞こえると思うけれど、 当時はまだわれわれにとっては60年代が続いていたんだ。 本当の変革が可能であるように思えたし、 わたしはこの本によってその一つが達成されると思っていた。 ちょっと街に出てマクドナルドに行ってみるといい、 わたしがそれほど成功しなかったことがわかるから」
---Peter Singer
もう一つ現代人の精神安定剤になっているものがある。 ヘロインほど習慣性がなく、アルコールほど害もない偉大なトランキライザー、 だが環境面から見ると問題ありと言わざるをえないもの、 それはショッピングである。 ショッピングの目的は必要なものを買うことではなくて、 その娯楽性にあることは多くの人が認めるだろう。 大量に服用すれば、それは抑鬱を解消するのに役立つように思われる。 ショッピングは、伝統的な狩猟や採取活動の代替物として現代が提供するものである。 昔の狩りの場が現代のショッピング・モールである。 乾燥した地帯で木の根や種、実を集める作業は一日かかったが、 ショッピングも一日の膨大な時間を占める。 そこで人は特殊な知識や技術を発達させることができる (いかにいい品物を選ぶか、いつ、どこで買ったら本当にお買い得なのかというのも、 一つの技術、知識である)。 ショッピングはまた、きちんとした目的のある活動だと言っても通用する。 一日ゴルフをして遊んだ場合にはとうてい無理だが、 ショッピングなら、 遊びの部分を隠したり否定したりすることもできるからである。
---ピーター・シンガー
我々が人間以外の動物を食い物にしているのは、ダーウィン以前の、人間と他 の動物の間の境目を誇張した過去から受け継いだものである。そのことを認識 し、人間以外の動物により高いモラルをもって臨み、自然に対する我々の優位 という人間中心的な見方をとらないようにすること。
---ピーター・シンガー
オーストラリアで最も有名な哲学者。 歌手ではないので注意。 動物解放論や生命倫理学関係の著書が多いが、 ヘーゲルやマルクスなどについての著作もある。 モナシュ大学のヒューマンバイオエシックス研究所 の創立時の所長、 国際生命倫理学会創設時の会長。 彼の著作にはいろいろお世話になってます。 『実践の倫理』は楽しく読める倫理学の本としておすすめ。
現在は米国プリンストン大学の先生。
2002年度の授業のPPTファイルも参照せよ。
11/Jan/2002追記; 26/Sep/2004
上の引用は以下の著作から。