ペイリー

(ぺいりー Paley, William)


英国の道徳哲学者・神学者(1743-1805)。英国東部のピーターバラ生まれ。ケ ンブリッジで学び、そこで教え、最終的には聖職者になった。

彼の『道徳と政治哲学の諸原理(The Principles of Moral and Political Philosophy)』(1785)はいわゆる神学的功利主義の代表作で ある。道徳的義務は神の命令と来世の報償と刑罰によって作り出され、命令の 内容は聖書と理性によって知ることができる。神は人間の幸福を望んでいるた め、行為の正・不正はそれが一般的幸福を増大させるか減少させるかによって 決まるとされる。

また、『キリスト教の証拠に関する一見解(A View of the Evidences of Christianity)』(1794)では、宗教的な奇跡を批判したヒュームの 反駁が行われており、さらに『自然神学(Natural Theology)』 (1802)では、ヒュームが批判した神の存在に関するデザイン・アーギュメント が展開されている。この著作にある有名な時計と時計職人の比喩のように、自 然界には目的を持って作られたと思われる物が溢れており、それらを創造した 強力で賢明で善意ある設計者の存在を推論せざるをえないとされる。

ペイリーのいくつかの著作は19世紀に入ってもイギリスやアメリカで教科書と して使われ続けた。

31/Dec/2005


KODAMA Satoshi
Last modified: Sat Dec 31 02:29:22 JST 2005