(ひゆーくりっどきかがく non-Euclidean geometry)
大辞林を見ると、「ユークリッド幾何学における平行線の公理「直線a上にない 一点pを通ってaに平行な直線はただ一本しか引けない」を否定し、「aに平行 な直線を無数に引くことができる」という公理に置き換えて成立する幾何学」 と書いてありますが、これは正確ではない。 非ユークリッド幾何学は多数存在しうるからである。
一方、広辞苑には 「ユークリッド幾何学における平行線の公理を否定し、他の形の平 行線の公理を採用することによって成立する幾何学。ボヤイ・ロバチェフスキー の幾何学(双曲幾何学)とリーマンの幾何学(楕円幾何学)との2種が成立す る。これらの幾何学の成立する空間はユークリッド幾何学の成立する空間とは 性質を全く異にし、たとえば、三角形の内角の和は2直角にならない」 と書いてあり、こちらの方がより正しい説明といえる。
通常、ユークリッド幾何学における第五公理(平行線の公理)を否定し、 別の公理や要請を採用することによって構築された幾何学のことを、 非ユークリッド幾何学と呼ぶ。 「一点Pを通って、この点を通らない直線aに平行な直線は、 一本、そしてただ一本ひける」というのが平行線の公理であるが、 「二本以上引ける」という公理を採用したのがロバチェフスキー幾何学で、 「一本も引けない」という公理を採用したのがリーマン幾何学である。
19世紀に非ユークリッド幾何学が登場したことで、 ユークリッド幾何学がその絶対的地位からひきずり落され、 幾何学と空間との関係 --すなわち、現実の物理的空間はどの幾何学によってもっともよく説明されるか-- が検討されるようになった。
より詳しくは、 スクラーのまとめを参照のこと。 (29/Jan/2000)