イドラ
(いどら idola [単数はidolum])
偶像とか幻影と訳される。
ベーコンは、
人間が知識を得る過程で誤ちを犯す原因として四つのイドラを挙げた。
要するにイドラっていうのは、色メガネのことであり、
われわれは次のような色メガネを通して世界を眺めているから
しばしば間違いを犯す、とベーコンは言うわけである。
- 市場のイドラidola fori--言語の色メガネ
- 洞窟のイドラidola specus--個人的偏見による色メガネ
- 劇場のイドラidola theatri--伝統的な思考法による色メガネ
- 種族のイドラidola tribus--人間本性から生じる色メガネ
しかし、もちろんこれらの色メガネは、
ある程度改良することはできても外すことはできないので、
われわれは常に色メガネを通して世界を眺めているということを承知しておく必要がある。
(05/17/99)
参考文献
- ベーコン、『ノヴム・オルガヌム』、桂寿一訳、1978年
この本の註(213頁)によれば、イドラを「偶像」と訳すのは誤訳で、
「幻影・虚想」と訳すべきらしい。
KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Mon Sep 22 22:02:16 JST 2003