(ほんしつ essence)
ある存在が持つ性質のうち、「それがなくてはそのものが存在しなくなる」ような、 重要な性質のこと。「それがなくてはそのものが存在しなくなる」というのは ラテン語ではsine qua non (英語で直訳するとwithout which not)と 言われる。
このような本質的な性質に対して、偶有的性質(accidental or contingent property) というのが考えられる。偶有的性質は、仮にある存在がその性質を失っても、 その存在が存在し続けるような、ある意味どうでもよい性質のこと。
たとえば、(ロックバンドの)クイーンからヴォーカルのフレディ・マーキュリーが いなくなると、 たとえ商業的理由から同じ名前で存続しているとしても、 以前クイーンであった存在は存在しなくなってしまう。この場合、 フレディ・マーキュリーはクイーンという存在の本質を構成していたと言える。 一方、ローリング・ストーンズからベーシストのビル・ワイマンがいなくなっても、 ローリング・ストーンズは依然として存在していると考えられるが、 この場合、ビル・ワイマンはローリング・ストーンズという存在の偶有的性質 だったと言うことができる。
本質と偶有的性質の間にこのような区別が成り立つという立場を 本質主義(essentialism)と言うが、本質主義が成り立たないという批判は、 科学哲学の方面や、フェミニズムの方面でなされている。
10/Dec/2014