ディレンマ

(でぃれんま dilemma)


両刀論法と訳される。ジレンマとも。

平たく言うと、 選択肢が二つあるがどちらも好ましくない結果を生みだすため、 にっちもさっちも行かない状態のこと。 たとえば、 「学校に行くとジャイアンにいじめられる。 かといって家で寝ていればママに怒られる (大前提)。 学校に行くか家にいるかのどちらかである (小前提)。 いずれにしてもぼくは苦しむことになる (結論)」というのがそれである。

またこのとき、 (1)「学校に行ってもジャイアンにいじめられるとは限らない」 とか、「家で寝ていてもママに怒られるとは限らない」 などと言ってこのディレンマを逃れるか、 あるいは (2)「学校に行くか家にいるか以外にも選択肢がある (たとえばどこでもドアでどこか遠いところに逃げるなど)」 と言ってこのディレンマを逃れる方法がある。 (1)のように大前提に現われる選択肢の一方をやっつけることで ディレンマを逃れる方法を「角を押える」 (grasping the argument by one of its horns)と言い、 (2)のように小前提の選択のあり方を問題にすることで ディレンマを逃れる方法を「2つの角のあいだを逃れる」 (going between the horns)と言う。

さらに大前提の形式や小前提の形式で単純または複合、 構成的または破壊的という区別がなされるが、 詳しくは『岩波哲学・思想事典』のディレンマの項などを参照のこと。 (07/22/99)


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Fri Aug 22 06:58:18 JST 2003