(よっきゅう desire)
欲望のうち、或るものは自然的でかつ〈必須であり、或るものは自然的だが〉 必須ではなく、他のものは自然的でも必須でもなくて、 むなしい臆見によって生まれたものである。
---エピクロス
すべての欲望にたいし、つぎの質問を提起するべきである、 すなわち、その欲望によって求められている目的がもし達成されたならば、 どういうことがわたしに起るであろうか、 また、もし達成されなかったならば、どういうことが起るであろうかと。
---エピクロス
単に欲求に突き動かされるのは奴隷であり、 自分が作った法に従うことこそが自由である。
---ルソー
行為をするさいの原動力となる「〜したい」という心理的状態。欲望とも。 ただし、「欲求」がニュートラルな意味で用いられるのに対し、 「欲望」にはしばしばマイナスのイメージが伴う。
倫理学的には、欲求が理性による批判をどの程度受けるかが問題になる。 たとえば、「ごはんが食べたい」という欲求を「あんたそれ不合理な欲求だよ」 と言うことはできるだろうか。これは難しいが、では「くじらが食べたい」 という欲求はどうだろうか。これは、「くじらを食べたいという欲求は、 『クジラは人間が食べてよいものである』という誤った信念に基いている」 という風に批判できるかもしれない(その批判が正しいかどうかはおいておくとして)。 詳しい議論はまたにするが、このように、欲求がどの程度批判できるか、 というのが倫理学では熱心に議論される。
01/Feb/2002
上の引用は以下の著作から。