(あわれみにうったえるぎろん appeal to pity)
ある論点を正当化するために、 その論点とは無関係な「お涙頂戴」の事実に訴えること。
たとえば、「道端に倒れている子猫が死にそう(でかわいそう)だから、 子猫にエサをやるべきだ」というのはもっともらしい理由であるが、 「道端に倒れている子猫が死にそう(でかわいそう)だから、 あなたはわたしに交通違反のキップを切るべきではない」 というのは正しい理由とは言えない。 子猫が死にそうだという事実がいかに悲しみをもたらすにせよ、 そのことと交通違反とは無関係だからである。
同様に、「あの娘さんのお父さんは立派な代議士だったが、 目的を果たせずに病で死んでしまった。 したがって、あの娘さんを立候補させて代議士にすべきである」 という議論も、その娘が代議士と同様に立派であるとか、 代議士の志を継いでいるという証拠がないのであれば、 やはりおかしいことになる。
(02/May/2000)