異種移植

(いしゅいしょく xenotransplant)


ブタなどの臓器を人間に移植すること。

1960年代はじめに、米国でヒヒやチンパンジーの腎臓を移植する試みが 行なわれたが、免疫拒絶反応が生じたため、 生着率(移植された臓器が正常に機能する割合)が非常に悪かった。 霊長類間の臓器移植はブタからの臓器移植に比べると免疫拒絶反応が 緩やかであるという利点があるが、 臓器のサイズや希少性(霊長類の中には絶滅が危惧されている種もある)や 人獣共通感染症の点から問題がある。

その代わりとしてブタが候補になるのは、臓器のサイズが適当である、 家畜として長いあいだ飼われているので疾患についての研究が進んでいる、 大量生産が可能、食用としても用いられているので倫理的問題が少ない、 などの理由がある。現在クローン技術を利用して免疫拒絶反応の生じない クローン豚の作成が進んでいるが、 まだ人体に移植する実験のメドは立っていない。

20/Oct/2002


参考文献


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Thu Jan 10 22:18:35 2002